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桐生操『世界禁断愛大全 「官能」と「耽美」と「倒錯」の愛』

世界禁断愛大全―「官能」と「耽美」と「倒錯」の愛 (文春文庫)世界禁断愛大全―「官能」と「耽美」と「倒錯」の愛 (文春文庫)
(2009/07/10)
桐生 操

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【概要】
「ホモ・セクシュアル」「近親相姦」「ロリータ・コンプレックス」「サディズム」「カニバリズム」の五章からなる、世界人物伝。

【ネタバレあり感想】
「ホモ・セクシュアル」の項で先頭切って登場したのが、作家のオスカー・ワイルド先生です。裁判のことが書かれています。
その他、ゲイの作家が多数出てきます。
ジャン・コクトーは、ラディゲという詩人を世に送り出したといいます。
コクトーは、単に美しい人とラヴるだけではなく、才能を見出しそれを育てました。同性愛者にも色々いますね。
以前、別の本を読んだ時にも思いましたが、ゲイの作家は、意外と男女の愛憎小説を書いたりしますね。
本人のセクシャリティーと物語は別ということでしょうか。
男性同士の恋愛小説にしないのは、周りの目や社会的圧力もあるでしょう。
また、異性間の恋愛を描いた方が、若干普遍性が高いものとも思われます。

「近親相姦」の章は、なんだか芸術性を感じるエピソードが多かったです。
実話がそのまま文学にできそうです。
バイロンの異母姉との近親相姦はガチだそうですが、「嵐が丘」作者のエミリ・ブロンテが本当に兄と関係を持ったかどうかは、憶測の域を出ないようです。
私は「嵐が丘」未読なのですが、この作品は読み方によっては、近親相姦の可能性があるのだそうです。
少し話が戻りますが、バイロンの妻が、夫とその異母姉との関係を裏付ける資料を集めたというのが面白かったです。それは、現在「ラヴレス文書」と呼ばれているとのことで、読んでみたいです。
実の父に捨てられ、父に焦がれながら、奔放な男性遍歴をたどったアナイス・ニンの「日記」は、神話的ですらあります。

「ロリータ・コンプレックス」の章では、最初に語源となった小説、ウラジミール・ナボコフの「ロリータ」について書かれてます。
「ロリータ」は既読でしたが、ストーリーをほとんど忘れていたので、本書にかかれたあらすじを読んで、「こんな話だったのか」と再確認しました。
「ロリータから教えられるものはなにもないから無意味な作品だ」という批判に対して、作者ナボコフが放った「教訓的小説というものは読みもしないし書きもしない。わたしにとって文学作品は直截に美的悦楽とでもいうべきものを与えるのみ存在する」というのは名言です。
チャップリンとヒトラーもロリコンの章で語られていました。
ロリータ的な幼い映画女優達の写真が載ってるのですが、確かにかわいい。これは魅力的ですよ。
少女監禁・暴行・殺人の話題も出てきて、ここら辺りから不穏な空気が漂ってきました、この本。
「デンマーク児童性愛者協会」が、合法組織である所がすごいです。

「サディズム」の章トップバッターは、数百人の少年を惨殺したジル・ド・レ男爵です。
今まで読んだジル・ド・レ関連の文章で、一番残酷で陰惨な描写です。ひいいい。
まず部下達に少年をいたぶらせ、「それを助けてあげるやさしい私」といった風に登場。少年が笑顔を取り戻すと、抱きしめてナイフで刺す。
ひでぇーーーー。その後の展開は、グロテスクすぎてここには書けません。
告発されたジルが、拷問されると聞いてあっさり口を割ったのがヘタレです。
人に残虐行為するのは大好きだけど、自分がされるのは恐ろしいんですね。
「サディズム」の項の中では、その語源となったマルキ・ド・サド侯爵などかわいい方でした。
彼は、人を鞭で打つのが好きなサディストであると同時に、鞭打たれる事をも望むマゾヒストでもあったのです。あと、男性に対しては「受け」だったりもしたみたいです。

「カニバリズム」は、人間が人肉を食べることです。
当然、殺人が付き物です。
各人、好きな「部位」がある様子。
人肉嗜好の他に、同性愛やロリコン、サディズムなど別の変態性欲・ストレートではない性的指向も持ち合わせている場合が多いようです。

というわけで、様々な愛の形が書かれた本書ですが、第三章「ロリコン」の後半以降は、それを愛と呼んでいいものか疑問な、暴力的かつ猟奇的なものが多かったです。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/09/01(火) 18:20:15|
  2. 読書感想文(小説)

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