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同人漫画サークル

海野弘「ホモセクシャルの世界史」

ホモセクシャルの世界史 (文春文庫)ホモセクシャルの世界史 (文春文庫)
(2008/08/05)
海野 弘

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【概要】
古代ギリシアから現代まで、ホモセクシャル(主に男性の同性愛者)についての歴史を解説した本。

【感想】
ギリシアの愛、というものは、年長者の男性が年少の美少年を愛するという形式をいいます。
単に少年を愛好するのではなく、学問を教えたり、人間として成長させたりする友愛精神に溢れていたそうです。
古代期のギリシアでは、少年愛は期間限定とされていました。12歳から髭が生えるまでです。
しかし、実際には高齢ゲイカップルもいた模様です。

プラトンは、「ギリシア悲劇に登場するアキレウスとパトロクロスを愛する者と愛される者として描いたのは間違いだ」と述べました。これは、「二人を同性愛の関係として書いたのは間違い」と解釈されがちなのですが、この本によると、プラトンは、二人の関係が逆だと言っているのではないかというのです。
アキレウスの方が年下なので。
つまり、
プラトン「アキレウス×パトロクロスじゃなくて、パトロクロス×アキレウスだっての!受け攻め間違ってるよ!逆カプ!(逆カップリング)」
という感じです。

ギリシアの他、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、アメリカにおける同性愛事情も書かれていました。
ゲイの王様が結構いてびっくりです。

ケンブリッジなどの名門大学におけるゲイの秘密結社の話も載ってました。

軍隊、ボーイスカウト、ワンダーフォーゲル、監獄などをホモソーシャルと呼んでいました。
これは、ゲイの社会というわけではなく、男ばかりの社会という意味のようです。
そのような場所では、同性愛が起こりやすいとのこと。

ゲイフォービア(フォビア=嫌悪、恐怖)から、女性的なもの、女性的でなよなよした男性を排除しようとする→より男らしい、体育会系でマッスルな、男だけの集団が成立する→その中で同性愛が多発する 
という流れが、歴史上何度も発生しているそうです。
ゲイを逃れようとした結果、ゲイが増加してしまうというサイクル。

音楽家や小説家、芸術家のゲイって滅茶苦茶多いんですね。有名な数学者も。
ただし彼等の作品が同性愛を扱っているとは限りません。男女間の愛を描いているものの方が多いみたいです。

同性愛者で知られ(女もいけるらしい)そのせいで逮捕された作家オスカー・ワイルド先生が大活躍でした。
彼の裁判は、多くのゲイに影響を与えました。ワイルドの逮捕は、見せしめ要素が強いものでした。
(該当ページは見失いましたが)自分の性的志向に悩んでいたとある有名人をオスカー・ワイルドが導く形で、ゲイという自覚を促したこともあるそうです。

ホモセクシャルという概念は、19世紀末に生まれたようです。
その頃、同性愛は罪とされましたが、やがて性科学が進むにつれ、病気という扱いになりました。
罪を犯すも犯さぬも自分の意思によるのに対し、病気となると自分ではどうすることもできず、先天的なものと見なされやすいので、より、差別と偏見が生まれたりしたらしいです。

日本の戦国時代のお稚児さんは、同性愛扱いではないようです。
お稚児さんを寵愛していても、その武将はゲイとは言わないのです。(この本では)

近代までは、ホモだ変態だオカマだと扱われるのは、女装者や性的に女役である男性だけを指していたそうです。
売り専ボーイなどが、水兵さんをお相手にしたとして、その水兵がゲイ扱いされることはありませんでした。
しかし、現代では、タチ・ネコ両方がゲイと見なされます。

ハリウッドのスターがゲイである場合、事務所やマスコミは、女優とのデート報道をしたり、偽装結婚をさせたりしたそうです。同性愛は歪めて公表されるか、隠されるかしかないのです。

同性愛への考え方は、この先もどんどん変わっていくと思います。

テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2009/07/08(水) 21:39:24|
  2. 読書感想文(小説)

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