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映画「トランスアメリカ」感想

トランスアメリカ [DVD]トランスアメリカ [DVD]
(2007/01/27)
フェリシティ・ハフマンケヴィン・ゼガーズ

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【あらすじ】
ブリーは、性同一性障害の男性で、女性として暮らしている。
性転換手術を間近に控えたある日、スタンリーの息子を名乗る少年トビーから電話がかかってくる。
スタンリーとは、ブリーの本名だ。
自分に子供がいることをはじめて知ったブリーは、拘留所にいるトビーの元に向かう。
トビーの釈放代を払ったブリーは、父親であることを隠し、教会から派遣されてきたと嘘をつく。
トビーは、まだ見ぬ父親と暮らすのが夢で、アメリカ横断の旅に出る。ブリーもそれに同行する。

【途中までネタバレなし感想】
性同一性障害の父親と男娼でジャンキーの息子が旅をする、ロードムービーです。

この映画DVDを借りたのは、レンタルショップでパッケージを見かけ、昔、お気に入りサイトでオススメされていたのを思い出したからです。

ツッコミ所や笑い所が多くて楽しかったです。

息子トビーからブリーにプレゼントされた帽子には「敬虔なるクリスチャン」という文字がプリントされていました。
仮に本当にキリスト教徒だったとしても、実際にかぶるのはなんか嫌かも…というデザインです。

トビーは、ブリーが一度だけ女性と関係を持った時にできた子供です。

ブリーが旅先で、見知らぬ女の子に「あんた女?男?」と言われたことに酷く動揺し落ち込んでいたのに笑いました。
それよりもっとショックを受けるべきことがあったろ!
実の息子が義父に暴力を振るわれ性的虐待を受けていた事実とか!!

「純真な娘になんてことを!」ってセリフがありましたが、全然純真じゃねぇ。

途中、日本の話題が出てきました。
そこで息子トビーが「つーか、忍者に内臓抜かれる」と言うと、父親ブリー(父だということも男だということも隠している)が「『つーか』って言うのやめなさい。『忍者に内臓抜かれる』。これだけでいいのよ?」と諭していたのが面白かったです。
忍者の件は訂正しないんだ!っていう。

ヒッピーが占いで見たという自分の死に様に笑いました。
「俺は、月の植民地で、空気圧の差異により死ぬ」。
いきなりSFすぎる!

トビーは「ロードオブザリングは、ゲイの物語だ」と言っていました。
まず、指輪物語に出てくるものがゲイ絡みのメタファーだと言い、その後、普通にストーリーを語ります。
フロドがどうの、ゴラムがどうの。
で、突然「な、ゲイだろ?」。
ええええええ、何今の話の流れ。

先住民に関するセリフが多かったです。
とある精霊を自分達の祖先と信じる部族がいるとか、性別を越えた者を崇める部族がいるとか。

ブリーを演じているのは、女優さんだったのですね。
ブリーは、顔の女性化手術や喉仏除去手術を終えていますし、女性ホルモンで胸が膨らんでいますから、女性が演じても全く問題がなかったのです。
ずっと、男性俳優さんが女装しているものと信じて疑いませんでした。
手も顔も男っぽく見えましたし。

基本的に女性らしく振舞っているブリーでしたが、腰掛ける時、足をがばっと開いてダルそうに背中を丸めているシーンがありました。
完全におっさんの座り方。

【以下、ネタバレあり感想】

旅の途中、車内で小突きあっていたブリーとトビーは、本当に仲が良さ気でした。
保護者と被保護者、母と子、友人同士、どれがしっくりくるか分りませんが、見ていて和みました。

ブリーの家族が下品すぎて笑いました。いちいちセリフが酷いです。
ブリーの妹は口が悪いです。
ブリーの母親は、最初トビーのことを「薄汚い不良少年」という感じに扱っていました。
トビーをブリーの彼氏かもしれないと勘違いした際には、一層嫌悪感を露にしていました。
それなのに、トビーが自分の孫と知るや態度が豹変。
祖母として、トビーをもの凄くかわいがるようになりました。現金と言うかなんと言うか。

息子が父親に結婚を迫るとは、なんという超展開。
トビーは、ブリーが男だと分った上で、「セクシーだ」と言っていました。どうやら本気のようです。

ブリーは、性転換をすれば、それが一生で一番幸せな日になると信じていました。
しかし、女性の体を手に入れられても心が痛いままだったのです。
息子のトビーが、自分が父親だという真実に怒り、失踪していては。

トビーが出演しているゲイポルノムービーがアホ過ぎて笑えました。
何が「性教育だ」だ。
ポルノ映画のタイトルは「牡牛の穴」。馬鹿っぽいですねぇ。

トビーが最後まで所謂「更正」をしなかったのが新鮮でした。
獣医は目指さないし、麻薬をやるのも体を売るのも多分辞めていません。
少なくとも、物語中盤以降までは、薬も男娼も続けていました。
普通の映画だったら、こういった旅を通し、少しずつ真人間になっていくっていう筋にしますよね。でもそうではありませんでした。

金髪になったこと以外は、以前と大して変わらないトビーが、そのままの自分で父親と再対面したのがよかったです。
自分の出ている映画についても卑下することなく誇りに思って宣伝しているようなので、好感が持てました。
また、ブリーも息子の男優業を否定しなかったのが良いです。
トビーがブリーの家を訪ね再会した時に言った「勘違いするなよ。まだ許したわけじゃないんだからな。」ってセリフがツンデレっぽいです。

ラスト、ブリーからトビーに立派な帽子がプレゼントされました。
帽子というのは、父性を象徴しているのでしょうか。

親子が断絶したままではなく、再び繋がりを持っていけそうなので、希望の持てる終わり方でした。
父と息子ではなく全く別の形でもいいので、新たな関係を築いて欲しいです。

テーマ:DVD - ジャンル:映画

  1. 2009/05/30(土) 23:00:12|
  2. 映画感想

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