野良箱

同人漫画サークル

桐野夏生「残虐記」

残虐記 (新潮文庫)残虐記 (新潮文庫)
(2007/07)
桐野 夏生

商品詳細を見る

【あらすじ】
作家「小海鳴海」は、自分は少女誘拐監禁事件の被害者だったという手記を残して失踪した。
少女が監禁生活を終えてから育て続けた毒の夢とは。

【そんなにネタバレなし感想】
幼女監禁ものなのは分っていて読みましたが、まさかショタやおい要素もあるとは思いませんでした。

完全に、自分の実感として理解できるはずのない事柄に関する、純粋な想像の強さと密度、といったものを感じました。
巻末解説では、BLを愛好する腐女子に通じると書かれていました。

主人公は、もともと自分の生活に違和感があり、また、母の事を周囲から浮いていると思っていたわけですから、家に帰してもらえたからと言ってハッピーエンドではないのだろうと思っていました。どちらにしろ、元の暮らしとは変わってしまうわけですが。

「みっちゃん」には、二重三重の意味があったようです。

主人公が、手記や小説で書いたことが事件の真相だとすれば、なんと倒錯した世界なのでしょうか。

この手記にはいくつかの嘘がある、というのは読んでいてすぐ気づきました。
夫がいるはずなのに、独身となっていたので。

実際の事件や体験からネタを広げて、より強固なフィクションを作り出す。
それ自体が、想像というものの力や愉しさを表せていると思います。
想像は時として、残酷な形となって現れるのですが、それすら暗い楽しみなのでしょう。

作中、他人の性的妄想を想像することを「性的人間」と表現していました。
自分自身が関わる性的妄想ではない所が、ますます腐女子っぽいような気がします。

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/05/09(土) 03:11:32|
  2. 読書感想文(小説)

FC2Ad