野良箱

同人漫画サークル

今敏原作・総監督アニメ「妄想代理人」感想

妄想代理人(1) [DVD]妄想代理人(1) [DVD]
(2004/04/28)
能登麻美子飯塚昭三

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【あらすじ】
マロミという癒し系キャラクターでヒットを飛ばしたデザイナー・鷺 月子が次回作の制作に追われる中、通り魔に襲われた。
犯人は、ローラーブレードを履き、帽子をかぶり、曲がった金属バットを持った少年だと言う。
「少年バット」は、次々に人を襲う。
刑事の猪狩と馬庭が少年バット事件を捜査する。
少年バットに襲われる人々の共通点とは?少年バットの正体とは?

【途中まで、ネタバレなし感想】
レンタルDVDで見ました。
大変面白く、2日間で全13話を視聴しました。

毎回違うキャラクターにスポットがあたる、主人公リレー形式です。
話は繋がっています。
途中、本編から外れた、少年バットにまつわる数話が入りますが。

オープニングの「夢の島思念公園」、エンディングの「マロミのテーマ」は、共に平沢進さんの曲です。
作中音楽も平沢さんが担当されているようです。
思念公園の歌詞は、外国語、もしくは、造語だと思っていましたが、日本語だったんですね。
晴れやか過ぎて狂気!という感じの独特でかっこよい曲です。テクノヨーデル的な。

第3話の冒頭がエロスなので、家族で見ていて気まずかったです。
同じ三石琴乃ボイスということで、エヴァンゲリオンのミサトさんと加持さんの件を思い出しました。
エヴァの時は、家族が出かけていて一人で見ていたのでセーフでしたが。

ミステリアスなストーリーなので、先へ先へと見たくなりました。
それでいて、あちこちに笑える場面がありました。

何度もカオス!と言ってしまいました。
現実と妄想が交じり合っていてどちらだか分らない場面があります。
何よこのノリwwwという部分もあり、ツッコミながら見てました。

絵や動画は全編綺麗でした。声も合っていました。

若い方の刑事・馬庭の見た目が、「攻殻機動隊」のトグサに少し似ていました。
性格は違うと思います。

アニメ制作を舞台にした回がありました。過酷!死屍累々。

オススメの作品なので、レンタルショップなどで見かけたら是非ご覧になってみて下さい。

【以下、ネタバレあり感想】

最初に月子の事件があった時点で、狂言疑惑が出ていましたが、通り魔が連続したことで否定されました。
そこに、「月子はあの日ずっと一人だった」とのおばあさんの証言。
再び浮上する自作自演説。
では、他の被害者は誰に襲われたのか?
面白い展開でした。

月子が子供の頃狩っていた犬マロミを死なせてしまい、その時に生み出したのが少年バットでした。
父親に怒られたくないと、架空の通り魔を作り出したのです。

少年バットとマロミが同じものであるということは、作品の初期から匂わせていたそうです。
( 「妄想」の産物/インデックス今敏による解説 ネタバレありまくり)
全く気づきませんでした。

最終話で犬のマロミが死んだシーンは悲しかったです。
フィクションの中で人間が死んでも何ともないことが多いのに、動物が死ぬと泣きそうになるのは何故でしょうか。
犬を飼ったこともないのに。

子供の頃の月子は、保身ばかり考えていましたが、大人になった月子は、ようやくマロミの死を悲しみ、自分の責任について謝ることができました。

急にドラクエ風になったときは、なんじゃこりゃー、これが少年バット事件の真相か!?と思いましたが、違いました。
逮捕された偽少年バット(狐塚 誠)は、本物の少年バットに殺されました。

若い方の刑事・馬庭を色んな意味で怪しんで見ていました。
オープニングで一人だけ回転し、落ちながら笑っているし、エンディングで一人だけマロミに対して垂直だし、なにか特別なキャラクターなのだと…。
総監督の解説によれば、エンディングでは、キャラクター達が「?」マークに並んでいるとのことでしたので、馬庭が縦なのには意味がないっぽいです。
深読みしすぎました。
また、月子が子供の頃通り魔に襲われたことがあったとして、その時の犯人が少年時代の馬庭なのかもとも思いました。
が、違いました。少年バットは、純然たる妄想の産物だったのです。

ずっとアスファルトに数式を書いているおじいさんがいましたが、馬庭が後を継いだようです。
普通の青年だった真庭ですが、やがて電波なヒーロー「レーダーマン」になり、最終的にはあっちの世界に行ったきり帰ってきませんでした。
ここの解釈も間違えてました。
てっきり、最初から数式じいさん=真庭で、この物語全体が真庭の妄想なのだと思ってたんです。

中年刑事(途中から刑事じゃないけど)・猪狩が、昭和30年代「3丁目の夕日」的平面世界から戻ってくるシーンはかっこよかったです。

ネットで自殺仲間を集める回がありました。
あれ?影がない。ひょっとしてこの人達死んでる?と思いましたが、やはりそうだったようです。どのシーンまで生きていたのかは分りません。最初から幽霊なのかも。見直せば、影の有無で分りそうです。
巨体のゼブラは、ゲイだそうです。

ホテトルまりあに、「お父さんと呼んで」と言っていた警察官・蛭川 雅美は、娘・妙子を盗撮していました。
それを知った妙子は、少年バットに殴られて記憶喪失になりました。
常に薄笑いを浮かべていて、心が壊れてしまったようです。
その方が、彼女にとって幸せだったのかもしれません。

通り魔に襲われる事で救われ安堵する。
異様なのに共感できました。
「自分は悪くない」という方法で現実から逃れたい、というのは、誰しも考えた事があるのではないでしょうか。

少年バットは、追い詰められた人間の元に現れる。
マロミは、人々の心を癒す。
しかし、少年バットやマロミの与える救済はまやかしだ。
現実から逃げるな、受け入れろ。
というのが、物語全体を通してのテーマかと思います。

理解できていない部分や謎な所もありますが、言わんとしてることは伝わってきて、かつ、説教臭くなく、終始楽しんで見られました。
  1. 2009/04/30(木) 16:42:51|
  2. 未分類

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