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吉行淳之介「美少女」

美少女 (新潮文庫)美少女 (新潮文庫)
(2007/12)
吉行 淳之介

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【あらすじ】
ハーフの少女、三津子は、城田祐一の紹介でホステスになった後、失踪した。
三津子には、星と月の刺青があるという。
刺青のある女は他にも居て、彼女達の足には、女王の冠を被った蜂の絵柄が彫り込まれていた。

【そんなにネタバレなし感想】
レズビアンと混血児と刺青とメイドと。

帯に「愛と性を描く」と書いてありましたが、そんなに官能的ではないです。
主人公の城田は、女性に手を出しまくりますが、主な目的は刺青を確認することなので、描写があっさりしています。

百合好きの人が読んでも萌えない可能性が高いです。かなり男性が介入しているので。

「偽の同性愛が治った」というような文章がありました。
「偽の」をなくして考えると、「同性愛が治った」という表現になります。
これだと、同性愛=ステータス異常、異性愛=正常、という意味にもとれますが、本物の同性愛者や百合愛好者が読むと気分悪いものでしょうか。
それとも、「同性愛は、治すべき異常」扱いなのが、逆に良いものなのでしょうか。どうでしょう。
文中の「治った」は、「偽の」にかかっている可能性もあります。
似非の同性愛で、しかも一時的なものだったから、それが元に戻った、ととった方がいいかもしれません。

大正生まれの作家が描いたとは思えない、現代的な文体でした。

失踪者あり、不審死ありで、ミステリ要素があります。
刺青の意味は?刺青を入れたのは誰?というのを推理しながら読むと楽しいと思います。

愛は、一対一のものとは限らない。複数対複数の可能性もある。といった描写がありました。

「透明人間ごっこ」というのが、作品全体を通して描かれていました。
そうやって遊んでいると、だんだん、本当に見えない誰かがいるんじゃないか、という気分になってきそうです。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/02/26(木) 08:13:35|
  2. 読書感想文(小説)

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