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東野圭吾「超・殺人事件 推理作家の苦悩」

超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)
(2004/04)
東野 圭吾

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【あらすじ】
推理作家や推理小説の出てくる、ブラックギャク短編集。

「超税金対策殺人事件」
ハワイ旅行や妻の洋服代等を全て「取材費」として扱う為、小説の筋を大きく変えて、無理やり様々な場所・物を登場させていく。

「超理系殺人事件」
話に不必要な理系の理論が沢山出てくる小説を読む男。

「超犯人当て推理小説殺人事件」
4人の異なる雑誌の編集者の内、小説の犯人を最初に当てられた者だけが、大御所小説家の新作原稿を手にできる。

「超高齢化社会殺人事件」
作家が歳を取ったため認知症になり、彼の書く小説の中身は、破綻している。担当編集者は、それを修正する。

「超予告小説殺人事件」
マイナーな連載小説と全く同じ状況の殺人事件が立て続けに起こり、小説家は脚光を浴びる。

「超長編小説殺人事件」
長編じゃないと、書店の目立つところに置いて貰えないし売れない、ということで、一つの話を無駄に引き伸ばす。

「魔風館殺人事件 (超最終回・ラスト五枚)」
推理小説の最終回なのにトリックが思いつかない作家の苦悩。

「超読書機械殺人事件」
あらゆる小説を短時間で要約でき、また、書評を書くことのできる機械がある。

【ネタバレなし感想】
短時間で面白く読めました。

どれも、メタ・フィクション的手法を用いています。
「現実」だと思って読んでいた部分が作中作である場合もあります。
また、作中作と現実が密接に交じり合っているものもあり、頭がグルグルします。

タイトルページが伏線になっている作品がありました。

「税金対策」と「長編」の話は、どちらも作中小説が、極端に滅茶苦茶なので、ありえなくて笑えます。
ただし、「長編」最初の引き伸ばしは、さほど間延びしているようには感じませんでした。実際、この手法で、中編小説を長編に仕立て上げてる作家がいそうです。

「犯人当て」で、配られたネクタイに、盗聴器が仕掛けられていると思ったのですが、全然違いました。そういうレベルじゃなく、もっとカオスな展開でした。

オチのうまい作品が多いです。

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このブログの読書感想は、「ショヒョックス」で言うところの「ふつう」か「甘口」のようです。
そもそも、毎度、テーマや文体・作風にほとんど触れてないので、書評になっていないのですが。

「本を読んだという実績だけがほしい」「自分を知的にみせたい」「本を読まないことに罪悪感」「本当の読書好きなどいない」…だそうで。そういう部分って、あると思います。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/02/23(月) 08:19:54|
  2. 読書感想文(小説)