野良箱

同人漫画サークル

ジョン・ダニング「災いの古書」

災いの古書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)災いの古書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2007/07)
ジョン ダニング

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【あらすじ】
古書店を営むクリフォード・ジェーンウェイは、恋人の弁護士エリン・ダンジェロの頼みで、殺人事件の調査をする。
事件の被害者は、珍しいサイン本をコレクションしている男性で、エリンの元カレである。
容疑者は、殺された男の妻で、彼女は、エリンの元親友であるローラ・マーシェルだった。
ローラは、自分が夫を殺したと自白するが…。

【途中までネタバレなし感想】
量的にも内容的にも読み応えがありました。

ジョン・ダニングという作家は、書物にまつわるミステリを得意としており、自身も古書店を経営しているそうです。
古本についての薀蓄が入ってますし、古本市のシステムについても書かれていて、興味深かったです。

引用されていた映画は、DVDをレンタルしたけれど、見ないで返却したものでした。あれを見ていれば、よりよく本作品を理解できたのに…と少し悔しいです。

レニー・ウォルシュ保安官代理が困った奴でした。
意地が悪く、権力を振りかざしている上に、おっちょこちょいです。

スラングが多かったように思います。
初めて見る罵倒語や煽り文句がありました。

【以下、ネタバレあり感想】






結局、最初の容疑者ローラが犯人でした。
推理小説では、一番疑わしくて、証拠過多で、はじめから自白しているようなキャラクターは、真犯人ではなかったり、途中で殺されたりすることが多いように思いますが、本作では、それを逆手に取っており、かえって意外性がありました。

ローラは、養子のジェリーをかばっているように見せかけて、ジェリーを犯人に仕立て上げ、結果、親子共に罰せられない…それを狙っていたのです。
別にジェリーが憎くてやったことではありません。

ジェリーは、言葉が話せない代わりに、驚異的な記憶力で精密な絵を描く能力を持っていました。
サヴァン症候群です。
ジェリーは、犯行現場を描いており、それが、事件解決へのヒントになったようです。

ジェリーの養父でローラの夫であるロバートは、サイン本を捏造しては、売って儲けていました。
ジェリーに偽物のサインを書かせていたのです。
我が子(養子)を金を生む道具に使う夫に苛立っていたローラ。
ロバートがジェリーを連れて行くと言った事が殺人のきっかけでした。

つまり、殺人の動機も犯人の偽装工作も事件解決の糸口も、全てジェリー絡みだったのです。

ローラは、エリンからロバートを奪った形になったのに、何年経っても、優秀なエリンに強烈な劣等感を抱いていました。一方で、エリンを愛しているというのも本当らしく、エリンの活躍記事をスクラップしたり、親友であったことを光栄に思ったりしていたようです。
女同士の不均等な友情が描かれています。

古本に関するエピソードは、話の味付けとして面白かったと思います。
怪しい本屋(<牧師>と双子)が出てきたことで、犯人が第三者である可能性も仄めかすことが出来、読者を惑わせる仕掛けになっていました。

キング牧師やケネディー大統領のサインが、本人のものではなく、側近による代筆のことがある、というエピソードがありましたが、実話なのでしょうか。

主人公は、ローラの無実を信じて、犯人探しに奔走していただけに、この結果はショックだったと思います。
しかし、お陰で、私達読者が、事件の全容を知ることが出来ました。

「災いの古書」というタイトルだけ見ると、「呪われた本が殺人を引き起こした」というような、オカルトっぽいイメージですが、超常要素はありませんでした。
原題は、「THE SIGN OF THE BOOK」なので、直訳すると「本のサイン(署名)」となります。まんまですね。邦題の方が、書店で興味を惹きそうです。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2009/02/20(金) 23:10:25|
  2. 読書感想文(小説)

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