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桜庭一樹「ブルースカイ」

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)
(2005/10/07)
桜庭 一樹

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【あらすじ】
西暦1627年、ドイツのレンス、ライン川沿いの水車小屋に、10歳の少女マリーと祖母が住んでいた。
広場で、若い修道士が叫んだ。「バビロニアで<アンチ・キリスト>が生まれた!終末の日は近い!」
レンスの町で、魔女狩りが始まった。

【途中まで、ネタバレなし感想】
3部構成です。
少女とは何か、考えさせられます。

「少女」「ゴシック」「崩壊」「セーラー服」に特別な感情を抱いている人にオススメの一冊です。

【以下、ネタバレあり感想】





近未来のコンピューターシステムより、中世の魔術の方が、格が上という世界観なようです。

マリーのおばあちゃんが、実は若い男だったのは驚きです。
本名はマクシミリアンでした。

マリーは、本当は黒髪ではなく金髪でした。
おばあちゃん、こと、マクシミリアンが調合した染料で洗髪していたから、黒くなっていたのです。

てっきり、第2部で制作しているゲームの中身が、まんま第1部なのかと思っていました。
つまり、第1部のマリーは、オンラインゲーム・仮想現実の中のAIキャラクターなのかと。
マリーもゲームの中のゴス少女も「わたしは誰?」って言ってますし。
でも、ドイツの場面は、リアルにドイツだったようです。
青井ソラ(AV女優みたいな名前)は、確かにドイツにいて、その後シンガポールに行ったようです。

最初若い男だったゲームキャラクターを女性にし、それにテクスチャーをつけて老婆にしたところや、金髪の女の子を作成してから黒髪にした所、水車小屋、教会など第1部とゲーム内の共通点が多いです。
それだけ類似点があるのなら、マリーの両親の名前が、マム・チャムとモーリスでも不思議ありませんね。
3Dキャラクターの原型は、モーリスに顔が似ているというので。

神様的なものからしてみれば、この現実世界も、AIで動く人間達の箱庭なのかもしれません。

少女=セーラー服=クリーチャー=近代の産物=<アンチ・キリスト>=子供の女って感じでしょうか。
第3部では、少女本人の視点から話が展開されます。
鹿児島の女子高生なので、少し方言があります。

せかい、システムにアクセスするため触媒は、その時代や場所によって異なるようです。
現代だと、携帯電話で繋がってしまうことがある模様です。

ブルースカイってマリーの事だと思ってました。青い空みたいな瞳をしているというので。

魔女狩りってやるせないですね。
作物の不良や子供の死が魔女のせいだと本気で思ってたんでしょうか。
町の人々が信じるのは分りますが、ブイルマンみたいな魔女派遣委員とかどこまでマジなんでしょうか。
魔女裁判を受けた人は、どう転んでも死にますよね。

<アンチ・キリスト>こと、ブルースカイ=青井ソラが、硫黄の臭いをさせているのは、桜島火山の爆発により穴の中に飛ばされたせいでした。
最後、死ぬべき場所に戻されるってかわいそうですね。
もうちょいずらした位置に戻してはもらえないのでしょうか。それだと、歴史が変わってしまうので、時空管理局的にまずいんでしょうね。
時空の狭間に消えていった若者たちを、元どおり死なせるのは、第2部のゲームで言うところのバグ取りみたいなものらしいです。

神がクリエーターだとすれば、時空管理局はデバッガーといったところですね。

第2部で、青年が、ロリータ・コンプレックス時代の後、対象物の喪失に陥ってしまう様子が書かれています。
自分達が大人になれないから、特定の異性を愛することが出来ない。
現代でもすでに「女の人はみんな怖い、好きになれない」と言っている男子がいますからね。
ロリコンは、対象物の年齢が、自己と共に成長していかないことによって起こるようです。
例えば50歳過ぎた男性が、全員熟女好きかといえば違うわけで、若い女の子が好きだということが多いのですから、性的対象物の年齢がある時点でストップしてしまうのは、普通に起こることだと思いますが、ロリコンの場合はそれが早いのです。
実際のロリコンの場合、大人になってから幼女に目覚めてしまうという事がありそうですが、どうなんでしょう。

この小説では、少女→青年(去勢されたような若い男)→強化老人が、クリーチャーの系譜になりそうだとしています。
特徴としては、どんどん増え続け、社会においてあまり役に立たず、カルチャーを作り出す、という点があるようです。

読後、作者が女性だと知りました。

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/11/03(月) 17:42:13|
  2. 読書感想文(小説)

コメント

それぞれに繋がりがあるような、ないような、不思議な作品でした。

トラックバックさせていただきました。
  1. 2009/05/16(土) 16:35:36 |
  2. URL |
  3. 藍色 #-
  4. [ 編集]

トラックバックありがとうございました。
てっきり、2部で制作されたゲームの中身が1部なのかと思っていましたが、通して読んだ限り違うようです。
  1. 2009/05/16(土) 16:56:23 |
  2. URL |
  3. 舵木 #-
  4. [ 編集]

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ブルースカイ 桜庭一樹

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  1. 2009/05/16(土) 16:34:32 |
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