野良箱

同人漫画サークル

町田康「夫婦茶碗」

夫婦茶碗 (新潮文庫)夫婦茶碗 (新潮文庫)
(2001/04)
町田 康

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2本収録
【あらすじ】
「夫婦茶碗」…仕事も金もない主人公が、メルヘンを書くことにする。
「人間の屑」…元パンクロッカーが、祖母の旅館で猫を観察する。祖母に働けと言われる。

【ネタバレなし感想】
どちらの主人公も、清々しい位にだめ人間です。
2人とも、金にならんことに熱中します。
「夫婦茶碗」の主人公は、冷蔵庫の中の卵並べに拘り、「人間の屑」の主人公・清十郎は、野良猫の家系図作りをします。

働けば、それなりにデキる人達なのですが、根気がありません。
両方の話で、主人公が自分の為すことに芸術性を求める傾向があったと思います。

文体が大変面白いです。
「はは。」「ね。」といった、あまり意味が無く、短い一文が、あちこちにはいってます。
基本的には「だ、である」形なのですが、ていねい語になっている箇所もあります。
「夢が叶いました。」とか「夢がこわれました。」とか。

「夫婦茶碗」は、一人称が「わたし」なのに、時々「僕」になるのが気になりました。
わたしとゾルバ(メルヘンの主人公に据えた熊)が微妙に一体化している箇所が、「僕」で書かれているのでしょうか。

作中、一番気に入ったセリフは、「あっ、また罵倒ですか。」です。

日の差込み方や翳り方が、主人公の心境や状況と重ねて描写してあったようです。
こういう所は、文学の技っぽいです。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2008/10/16(木) 00:12:28|
  2. 読書感想文(小説)

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