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有栖川有栖「絶叫城殺人事件」

絶叫城殺人事件 (新潮文庫)絶叫城殺人事件 (新潮文庫)
(2004/01)
有栖川 有栖

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【あらすじ】
犯罪社会学者の火村英生(ヒムラ・ヒデオ)が探偵役、推理小説作家の有栖川有栖(アリスガワ・アリス)が助手役のミステリー。
建造物にまつわる、6つの物語。
表題作は、「絶叫城」というカルトホラーゲームを模倣したかのような連続殺人事件を描いたもの。

【途中まで、ネタバレなし感想】
火村・有栖コンビの話を読むのは、これで3作目だと思われます。いや、4作目かも。
有栖は、関西弁です。
火村は、黒手袋をしていて、キャメルの煙草を吸っていて、若白髪がある、というのが特徴なようです。彼は、英都大学の助教授です。

「有栖川有栖」で検索すると検索候補に「火アリ」と出ます。
ヒム×アリとアリ×ヒムだと、ヒム×アリの方が一般的なんでしょうか。
漫画だと二人とも美形ですね。(表紙しか見たことない)
アリスが少年のように描かれているイラストを何度か目にしたことがあります。
ファンの方は、作中の有栖川有栖と、現実の作者であるところの有栖川有栖さんを完全に切り離してイメージしているようです。

【以下、ネタバレあり感想】





「黒鳥亭殺人事件」
真樹ちゃんが、死体を食べたのかと思いました。
<二十の扉>の答えは「雪」でした。

「壷中庵殺人事件」
「壷中天」の話は、最近読んだ「ユートピア」に関する本に出てました。
壷のような部屋で、壷をかぶって死んでいる。異様ですね。
錘ですか。

「月宮殿殺人事件」
ホームレスの作ったごみの城の名前が「月宮殿」なのかと思いきや、それは、サボテンの種類でした。
サボテンの名前、知らないものばかりでした。マジカルでファンタジックなものが多いですね。
「拙者が推理作家と知っての狼藉か?」って…アリス、何時代の人ですか。

「雪花楼殺人事件」
落下する途中の人に瓶が当たるとは、なんたる偶然。
予想できませんでした。
「偶然に意味を与えるのが作家の仕事」ということです。
この作品は、どうでしょう。
作者は、身を寄せ合うの男女の運命を象徴するがごとく、この事件を描いていたと思います。

「紅雨荘殺人事件」
最初の方の文章は、作中映画「風さえ知らない」の内容なのでしょう。
「バルコニーの手すりに布団を掛けると美観を損ね、マンションのグレードが低下する」。
確かにそのようなことを書いてありましたが、読んだそばから忘れていました。
上記の部分が、物語ラストで、「主人の死により屋敷の資産価値がダウンする、だから死体を移動させよう」という考えとリンクしたところが面白かったです。

「絶叫城殺人事件」
ホラーゲームと殺人事件の因果関係をとりただし、マスコミがゲームやホラーを叩くのは毎度のことです。
この作品では、ホラーゲーム制作者の立場からの反論も描かれています。
名作「サロメ」と比較し、ゲームをちょいと高尚な所まで持ち上げすぎてますが、そこまで詭弁でもないと思います。
物語早々に「犯人は男だろう」と決め付けている点と、「絶叫城」のラストでプレイヤーが怪物ナイト・プローラー(夜、うろつく者)になり城を継ぐ、という点から、犯人は女であり、一見被害者に見える人物なのだろうと予想しました。つまり、大和田雪枝が犯人なのだろうと。
ほとんど外れでした。
最後の被害者大和田雪枝は、真犯人の弟をかばい、自らが犯人ナイト・プローラーであるかのように工作して、自殺したのでした。
雪枝は、実際、ナイト・プローラーになりました。自分の死の場合に限り。
謎を解き、破滅し、ナイト・プローラーになって死ぬ。
ゲーム「絶叫城」の結末と同じですが、「絶叫城」の制作者は、何を思いこんなラストにしたんでしょう。
作中では、「意外性を狙っただけやないですか」と書かれてます。
3人を殺した真犯人大和田英児の動機は、「『ヴァーチャルとリアルの境目が分らなくなる』っていうのはどういうものか知りたかった」です。
つまり、テレビのコメンテーターやどこかの教育者、作家、精神科医、そこのあんた、の言葉が、この殺人者を生んだのだという話。なようです。
大和田英児は、実際に、仮想現実と現実の区別がつかなくなったわけではないのです。
ゲーム制作者もコメンテーターも殺人者も誰も彼もがナイト・プローラーであり、次々と絶叫城を受け継いでいる、というニュアンスでしょうか。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/09/17(水) 20:14:22|
  2. 雑記

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