野良箱

同人漫画サークル

大槻ケンヂ「リンダリンダラバーソール」

リンダリンダラバーソール (新潮文庫)リンダリンダラバーソール (新潮文庫)
(2006/08)
大槻 ケンヂ

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【あらすじ】
僕は大槻賢二、20歳。
女子と話した時間が総合しても10分以内という暗黒の高校時代を送り、専門学校を経て、三流大学にもぐりこんだ。
「筋肉少女帯」というバンドをやっていた僕は、ライブハウス「ラ・ママ」の前で、ラバーソールを履いた少女コマコに声をかけられた。
「ねぇ、ブルーハーツって知ってる?」
「筋肉少女帯」は、メジャーデビューし、バンドブームの渦に飲み込まれていく。
大槻ケンヂの自伝的小説。

【ネタバレあり?感想】
すごく読みやすくて面白かったです。
実在のミュージシャン名や具体的なエピソードが沢山登場するので、完全にエッセイだと思って読んでいましたが、フィクションも含まれているそうです。

派手なバンドマン達が髪を立てるのに使用していたのがダイエーで買ったスプレーというのが微笑ましかったです。

バンドブームの最中と終焉、その後が描かれています。
あの熱狂はなんだったのか、それについて、オーケンは次のように語っています。
「新旧交代のジョイント」「音楽業界史における“ひずみ”」「世代交代劇の捨て石」。

「のび太的万能感」についての話は、興味深かったです。
中身はダメ青年のままなのに、ブームという超常の力で、等身大以上に自我を肥大させてしまうというような内容でした。

オーケンの彼女コマコが、いい事言うんですよ。
そして、オーケンもちょくちょく深い事を思うんです。
全体的には、バンドブームをめぐるドタバタ喜劇といった感じなのですが、その中にまっすぐな、感動的なメッセージが混じってます。
それが全然クサくなくて、素直に沁み込んで来るのが、オーケンの文章のうまいところです。

よく、映画や小説・ドラマを見て、「この二人はお互い何が良くて付き合ってんだろう?」と疑問に思うことが多いのですが、オーケンとコマコは、お似合いのカップルでした。
波長が合うし、なぜ惹かれあうのかが分る感じがしました。
どちらも魅力的な人物なのです。

が、このコマコ、実在しないそうです。
http://park12.wakwak.com/~pikari/repo/ootsuki/hmv060702.htm
上記のページは、「ナゴム小決起集会」というトークイベント(?)のレポートです。
オーケンがコマコはいないと言っています。
また、以下のブログでオーケンの「20年間わりと全仕事」というCD付き書籍について書かれています。
http://vanpamusic.seesaa.net/article/103323425.html
>ちなみに私も「リンダリンダラバーソウル」のコマコは実在の人物だと思ってました・・
>うーん、残念?
とは、ブログ主のコメント。

じゃあ、コマコが言ってたイイ台詞って創作なのかよ!
がっかりするどころか、なおさら感心です。
もしかしたら、実際誰かに言われた台詞をコマコに転用したのかもしれませんが、実話の中に自然とそれを組みこんでいるところがすごいです。

あとがきが熱いです。
ひきこもりの青年からもらった本書の感想
「栄光なんて一時の幻なんでしょうか?オーケンさん、だったら最初からロックなんてやるもんじゃないんでしょうか?」
に対するオーケンの返事が実に良いです。

みうらじゅんさんの解説は、次のような書き出しです。
「人はミーハーを隠して生きている。
自分は決してミーハーじゃないと言い訳しながら生きている。
そのくせ本物を目指しているわけでもなく、人に笑われないよう“そこそこ”の人生を送ろうとしている。」
バンドブームの頃のミュージシャンって、文才ある人多いですね。
あと、漫画やイラスト、演劇方面にも活躍されてたり。
音楽に限らず、なにかを表現したいという気持ちが強いのでしょう。
で、それに才能が伴いつつも、劣等感や非モテの精神(実際はモテてたりするけど)などちょっとネガティブな要素を持ち合わせていて、いい塩梅の作品を生み出せるのだと思います。

リンダリンダ~本編で出てきた次の一節が印象的でした。
引用の引用になりますが、
「本当は、表現したいという衝動があるだけで、表現したいものなど、実は何一つないのである」(by末井昭)
ううっ、痛いところを付かれた!という感じがしましたが、この本を読み終えたころには、衝動があるだけいいじゃねーか。なんだかんだで結局、その初期衝動に回帰してくんだから。と思えました。

「長島温泉マンダム事件」に笑いました。
うううううううううん!
マ~ンダ~ム!

テーマ:読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2008/09/13(土) 22:10:02|
  2. 読書感想文(小説)

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