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寺山修司 未発表歌集「月蝕書簡」田中未知・編 解説・佐佐木幸綱

月蝕書簡―寺山修司未発表歌集月蝕書簡―寺山修司未発表歌集
(2008/03)
寺山 修司

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父から貰った本です。
寺山の未発表作を集めた歌集です。

完成した短歌なのか、未完成で発表するつもりのなかった短歌なのか微妙な作品もあったそうですが、それらも収録されています。

1ページにつき1首掲載されています。ページの使い方が贅沢です。

同じ部分を含む短歌が連続したりします。
例えば
「父と寝て背中あわせに読みつづく地球空洞説の一節」
「父と寝て目をあけている暗黒やたった一語の遊星さがし」
「父と寝て虐げられている夜の寝台の果て沈む木の船」
「父と寝て父の寝顔を見し夜より行方不明の風見鶏かな」
といった風に。
これをわざとやっているのか、この中の一首だけに絞ろうといくつか書いたのかは分りません。

短歌一つ一つでも作品になっていますが、複数の短歌のイメージが続いていて、物語のようにもなっています。
上に挙げた最初の短歌を引き継ぐ一首として次のようなものがあります。
「父二夜かえらざる夜を手でまわす地球儀の内なる空洞」

父シリーズの他に、母、姉、おとうとのシリーズ等もあります。
また、猫や蝶等同じモチーフが繰り返し登場します。
「一夜にて老いし書物の少女」から始まる短歌がいくつも連続します。

帯や解説の佐佐木さんは、
「義母義兄義妹義弟があつまりて花野に穴を掘りはじめたり」
という一首について、読者がイメージを膨らませ、偽家族が集合して穴掘りにいたる物語を楽しむことが出来るのだとおっしゃってます。

寺山文学に慣れ親しんでいる人が読むと、既視感のある寺山ボキャブラリーが並んでおり、過去の自己作品を模倣しているような印象があるようです。
しかし、今までにない新たな部分もあったとのことです。
私は、まだ1~2冊しか寺山作品を読んでいないので、そこら辺分りませんが。

奇怪でシュールでダークな作品が多く、短歌というものに対するイメージが変わりました。

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/09/07(日) 21:08:56|
  2. 読書感想文(小説)

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