野良箱

同人漫画サークル

和田竜「のぼうの城」

のぼうの城のぼうの城
(2007/11/28)
和田 竜

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カバーイラストは、漫画家のオノ・ナツメ先生によるもので、帯には「この城、敵に回したが、間違いか。」と書いてあります。

【あらすじ】
成田長親は、周囲の武士や百姓などの民衆から「のぼう様」と呼ばれていた。
「でくのぼう」を略して「のぼう」、それに「様」をつけて「のぼう様」である。
のぼう様の城に、石田三成率いる豊臣秀吉の軍勢2万が襲い掛かる。

【途中まで、ネタバレなし感想】
のぼう様のキャラクターが大変面白かったです。
ほっとけないタイプの駄目男でありながら、決める時は決め、時々別の顔を覗かせます。
かっこいい!かと思えば、やっぱり情けなかったり、滑稽だったりもします。

子供に話しかけるため不恰好に腰を曲げ首を伸ばすのぼう様の姿を見た農民が(…のぼう様、膝をお曲げなされ、膝を)と内心ツッコム所に笑いました。
のぼう様は、馬にも乗れない、農作業もまともに出来ない、武技も出来ない、とにかく不器用なんだけれども、それゆえに何かしてあげたくなる存在で、皆から愛されています。

そんなのぼう様の忍城が戦に巻き込まれていくわけですが、のぼう様の秘めたる将才は発揮されるのか?って感じの話です。

のぼう様以外のキャラクターも個性的です。

内面に弱さを抱えつつも、傍から見れば優れた剛強の者である、正木丹波。朱の槍を持っていて、超強い、成田家一の家老です。

同じく成田家家老の酒巻靭負(さかまきゆきえ←微妙に漢字が違います)は、二十二歳で自称「毘沙門天の生まれ変わり」「戦の天才」ですが、まだ戦の経験がありません。兵書を読み漁った男です。

柴崎和泉守(しばざきいずみのかみ)は、6人の子を持つ巨漢で、二十以上年の離れた幼な妻がいます。
彼もまた成田家の家老で、丹波をライバル視しています。

脇役の百姓達もいい味だしてました。かぞう、たへえ、ちよ、ちどりなど、何人か名前のあるキャラクターがいました。

作中のヒロインは、甲斐姫です。大変、勇ましく武芸に長けたお嬢さんです。
のぼう様は、甲斐姫をどう思っているのか。これは、最後まで読まないと掴めません。

【以下、ネタバレあり感想】






のぼう様の「戦いまする」発言には驚きました。
まぁ、最初から降伏したら小説にならないわけですが、それにしても、秀吉と内通してるから戦はないらしいよモードで読んでいたので、ここから戦いに突入して大丈夫なのかよー!しかも城代がのぼう様って…と心配でした。

家老たちの戦いぶりがすごく、よくぞこんなに優秀な人が集まったなという感じでした。

作戦会議中、「わしはどこを守ろうか」と言ったのぼう様について、皆が(こんなのに来られたらえらいことになる)という空気になったのが面白かったです。

ちょっと話が遡りますが、のぼう様が麦踏みを手伝ったシーンの「一列だけ綺麗に破壊されていく長親の労働の成果」という言い回しも面白くて笑えました。

石田・豊臣軍の戦い方は、水攻めとか一夜城とかスケールがでかいです。

総大将のぼう様は、試合に負けて勝負に勝った、みたいな感じですね。
水攻めされて舟で出て行って、伝楽踊りをするとか、奇想天外な行動です。で、鉄砲で撃たれました。
それが、水攻めを破ることに繋がったわけです。

のぼう様が伝楽踊りをしつつ、自分を狙う銃口を認めて微笑みを浮かべる箇所など相当かっこいいと思いました。
と同時にゾっとしました。底知れないものを感じました。

かぞうは、敵に加勢したり、やっぱり味方に戻ってきたりと複雑な人物でしたが、作中大きな働きをした一人だと思います。

北条家の支城で落ちなかったのが、のぼうの城一つだけだった、というのがこれまたクールでしびれました。

のぼう様と甲斐姫は実は両思いだったっぽいですが、甲斐姫は、秀吉の側室になってしまいました。
戦国時代は、こういったことが沢山あったのでしょうね。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2008/08/20(水) 22:39:45|
  2. 読書感想文(小説)

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