野良箱

同人漫画サークル

アゴタ・クリストフ「悪童日記」

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
(2001/05)
アゴタ クリストフ

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【あらすじ】
戦争中、【魔女】と呼ばれる祖母に預けられた、双子の少年。
彼らは、「作文」をし、大きなノートに書いていった。
そのノートの中身こそが、本書である。

双子は、精神を鍛えたり、乞食の練習をしたり、盲と聾の練習をしたり、断食の練習をしたり、残酷なことの練習をしたりする。

【途中まで、ネタバレなし感想】
あとがきで、作者が女性だと知りました。
男性が書いた物だとばかり思っていました。

wikipediaによると、色々な酷い描写は、単に想像で書かれたのではなく、ある程度史実に基づいているそうです。(wikipediaを完全に信用するわけには行きませんが。)

本書の中では、地名や国名、時代をぼかしてありましたが、注釈によると、第二次世界大戦中のハンガリーが舞台で、ナチスドイツによるユダヤ人の迫害やジェノサイド(集団殺戮)、解放軍「ソ連」などの要素が描かれていたようです。

おっといきなり18禁。って感じの本でした。
健全な青少年にはオススメできません。
変態さんオンパレードでございます。

残酷描写もあります。
が、淡々と客観的な、まるで観察日記のような文章なので、グロ耐性がなくても読めてしまいました。

おばあちゃんのキャラクターが濃いです。
不潔で、かつて夫を毒殺をした疑惑があって、ノーパン主義者で、性格がひんまがっています。
そのわりに、仕事や家事はしっかりやっているようです。

主人公の少年達は、根は素直な子供なのだと思います。
その行動とは裏腹に、あまり、不良って感じはしません。
非常に大人っぽい、理知的な喋り方だからでしょうか。

【以下、ネタバレあり感想】

「精神を鍛える」で、最初は汚い言葉で罵倒しあっていました。
これは、罵倒に耐える心を鍛えるということですんなり理解できます。
しかし、「私の愛しい子!最愛の子!」といった母の言葉もまた、心に痛いのだということは、盲点でした。
彼らは「私の愛しい子!最愛の子!」を言い合い、繰り返すことで、言葉の意味を無くしていきました。

双子、何人も殺しちゃってますね。

二人は、おかあさんが亡くなるのを目の当たりにしているわけですが、あくまでも「大きなノート」に書く文章は、淡々としています。
余計な感情を書き込むと、「不可」になってしまい、清書できないのでしょう。

お母さんと妹(赤ちゃん)の骨を部屋に飾るとか、ナチュラルに狂ってる感じがします。
愛情からの行動なのでしょうか。

盲と聾の練習は、役立ちましたね。
障害者ということで、通学義務を免除されました。

「二人で一つ」な双子ですが、ラスト離れ離れになってしまいました。
一人で生きていけるのでしょうか。
学校時代は、離れるとバランスを失って失神してましたよね。

続編があるそうですね。気になります。

最後に「大きいノート」に国境超えを記述したのは、祖母の家に戻った方の少年でしょうか。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2008/06/16(月) 20:19:59|
  2. 読書感想文(小説)

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