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手塚治虫「漫画の奥義」聞き手・石子順

漫画の奥義   作り手からの漫画論 (知恵の森文庫 a て 1-4)漫画の奥義 作り手からの漫画論 (知恵の森文庫 a て 1-4)
(2007/12/06)
手塚 治虫石子 順

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石子順氏が聞き手となり、手塚治虫が漫画について語った本です。

戦前、手塚以前にも漫画が沢山あったのですね。

手塚先生は、幼い頃より様々な漫画を読んできたようです。
手塚先生の父親が、漫画を沢山所有しており、また、自身も漫画を描いていたそうです。
(手塚父は、手塚母へのラブレターに自作漫画を描いていた)

手塚「なぜ、漫画家の漫画評論がないのかっていうと、漫画の描き手が同時に評論家であるということは、ありえないことでもあるからなんです。
その一つには、ほとんどみんな、他の人の漫画を読んでいないからです。ですから、自分の漫画しか知らないんです。
 なぜ読まないのかっていうと、他人の作品を読むのは腹がたつということもあってね。他人の漫画を読んで“こんちくしょう”と、必ず思うわけです。“自分よりおもしろいものを描いてやがる”というコンプレックスと、それから同時に対抗意識があるからなんですよ。」

上記の一文を読んで、さすがは一部から「嫉妬神」と呼ばれているだけあるなぁと思いました。
(手塚先生が、絵の上手い人や、若い才能に嫉妬する様子から「嫉妬神」の呼び名がついたらしい。)

手塚先生が、いじめられっこだったという話や、戦時中のエピソードが語られていました。

チャップリン映画の影響を受けているそうです。

「のらくろ」の話題が多く出ていました。
私は、「伍長」と「小隊長」ともう一つ、あわせて3冊は読んだと思います。
この本で語られていた、初期と後期は読んでいません。
途中で、のらくろが軍隊を辞めていたとはしりませんでした。

手塚「ぼくは、漫画を描かないのは死んだと同じだと思うんだよ。」
   「ぼくなんて、ここで漫画を取り上げられて、死ぬまで描くなといわれたら、そこで死んだも同じですよ。」

手塚先生にとって漫画=人生と言いますか、漫画にかける想いが半端ありません。

気になった会話。
手塚「今の子どもが『キン肉マン』を見たりしても、子ども時代の消えない思い出とはならんでしょうな。」
石子「そうですね、『キン肉マン』などを見てる子どもが『キン肉マン』の真似をするかもしれないけれど、漫画家になろうなどとははたして思いつづけていくかどうか…。」
手塚「それだけのインパクトはないでしょう。時代がそうさせたということもありますから。」

ええー、キン肉マンは、いまだにグッズ出てますし、キン消しは人気ですし、しっかり子供時代の思い出になってる人も多いでしょうし、キン肉マン読んで漫画家になった人もいると思いますよ?

ちなみに、この本では、キン肉マンを完全否定しているわけではありません。
「一時代を作ったと言われる作品には、時代の先取りがある」例として、キン肉マンを挙げ、評価しています。

ブラックジャック執筆にあたり、毎回4つ以上のアイディアを出していたというのが凄いです。

この対談は、手塚先生が亡くなられた事で、途中終了しています。
手塚先生は、連載開始の際、最終回の結論をあらかじめ用意していると語っています。
それが、語られなかったのは残念です。

聞き手の石子氏が、対談で聞こうと思っていたけど、それが実現しなかったのは、以下のような事柄だそうです。
「新人漫画家とかれらの作品をどう思っているか」「“劇画”と呼ばれる分野を生み出した青年漫画家について」「美少女像はどこからだれの影響で生み出されたのか」etc...

大変興味深いです。むしろ、ここからが本題といった感じです。

本の内容と関係ないのですが、ページによって印刷が濃かったり薄かったり(と言うか、太字だったり細字だったり?)というのが、気になりました。

  1. 2008/06/15(日) 05:27:58|
  2. 読書感想文(小説)

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