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谷崎潤一郎「谷崎潤一郎犯罪小説集」

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫 た 28-2) (集英社文庫 た 28-2)谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫 た 28-2) (集英社文庫 た 28-2)
(2007/12/14)
谷崎 潤一郎

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【概要】
谷崎の犯罪小説を集めた短編集。
4編からなっている。
舞台は大正時代の東京らしい。

【途中までネタバレなし感想】
精神病やDVなど、現在的な要素が多く、大正という設定を忘れるほどでした。
貨幣価値が現在と違う事から、金銭関連の記述が出てくると、ああ昔だなぁと思い出します。

陰鬱で、どこか歪んでいて、それでいて美しく、面白かったです。
友情を強調した、明るい部分もありました。

犯罪者心理や変態心理の描き方が鮮やかでした。

殺人事件発生→探偵が推理 というような流れの探偵小説とは、少しタイプが違っていました。

【以下、ネタバレあり感想】
【柳湯の事件】
殺人をしてしまったかどうか分らないまま、殺人を告白し始めるという曖昧な始まり方が、狂気じみていました。
青年の見ていた世界と、現実の世界には、大分ズレが生じているようです。
ぬらぬらしたものが好き、というのは珍しいですね。
彼女への折檻方法が異常過ぎる…。
青年は、殺される、殺される前に殺してやる、という状態に陥っていました。
本人の言うとおり、精神疾患なようです。
そういった患者視点での物語は、なんとも不思議なものでした。
実際に恋人に暴力を振るう男性の心理ってどんなものなのでしょうか。
作中、青年の恋人に対する態度は、「折檻し、愛溺し、崇拝し、懇願する」とあります。

【途上】
一見、前妻を愛し、労わるように見える行為の積み重ねで、前妻が死ぬよう仕向けていた、という話のようです。
偶然の中の危険に相手を追いやり、必然的な死の訪れる可能性を増加させる。
このことが犯罪かと言われれば、多分違うでしょう。

【私】
無実なのに、疑われた事だけで、自分が盗人になってしまったような気がする…という話かと思いきや、本当に盗人でした。
正直、中村が犯人なのかと思ってました。
疑ってごめんなさい。

【白昼鬼語】
暗号文や、探偵役、語り手、という要素が出てくるので、4作の中では一番探偵小説っぽいです。
が、殺人事件は狂言というか、見せ掛けだけのものでした。
園村のドMっぷりがすごいです。
サディズム、マゾヒズム、女の妖艶な美しさ、友情といった要素が独特に交じり合っていました。
読者は、語り手と一緒に振り回され、騙される形になりました。
話の黒幕は、園村の所の書生Sでした。
男を惚れさせるための手段として殺人を演じる、という発想がすごいです。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/03/06(木) 20:26:01|
  2. 読書感想文(小説)

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