野良箱

同人漫画サークル

ビアス「新編 悪魔の辞典」西川正身・編訳

新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)
(1997/01)
アンブローズ ビアス

商品詳細を見る

【概要】
辞典形式の箴言警句集。
悪魔に関する辞典ではなく、一般的な単語について、皮肉めいた定義を与えているもの。
【単語】―【意味】の順で書いてあり、それが「あ」~「わ」まで続く。

【感想】
筒井康隆の短編小説「馬は土曜に蒼ざめる」内で引用されていたので、気になって読んでみました。
→筒井康隆「出世の首」(「馬は土曜に蒼ざめる」収録)感想はこちら

カバー折り返しの説明によると芥川龍之介の「侏儒の言葉」に大きな影響を与えたとあります。
→芥川龍之介「侏儒の言葉」感想はこちら

一つの単語に対しての説明文は、ほんの数文字のものから数十行にわたる長文のものまで様々です。

捻くれた目線から繰り出す、いじわるな毒舌の数々が収録されています。
風刺というやつだと思います。

様々な人種、国、性別、職業、宗教等々について、失礼なことを書いてます。
けちょんけちょんです。
沢山ある項目や説明のどれか一つは自分に当てはまるでしょう。
傷つきやすい人や、自分を悪く言われるのが大嫌いな方にはおすすめできない本です。

以下、印象に残った文章を引用します。

【悪人…人類を進歩させていく最も重要な要因。】
珍しい悪人の捕らえ方です。

【辞書…ある一つの言語の自由な成長を妨げ、その言語を弾力のない固定したものにしようとして案出された、悪意に満ちた文筆関係の仕組み。とはいうものの、本辞典に限り、きわめて有用な製作物である。】
自著だけは、悪しき辞書というものから除外しています。
このように、自分や自著を褒め称えたり、これらを悪く言う人を攻撃している文章が多いです。
冗談でしょうが、半分本気っぽくもあります。

【慈善…養老院に入っている自分の年老いた祖父の救済に役立つようにと、5ドルの金を寄付すると同時に、その行為を新聞に公にすること。】
新聞に公表する所まで含めて慈善なのですか。
最後の一文が大変嫌味です。
でも、あるある。

【十一月…一個の疲労困憊(ひろうこんぱい)を十二分したものの第十一番目。】
1年=一個の疲労困憊ですか。
なんて後ろ向きなんだ。

【正気…殺人の直前と直後に見られる精神状態。】
ええええ。

【想像…事実がしまいこんである倉庫。詩人と嘘つきの両方が所有する。】
想像という倉庫には事実以外も入っている気がします。

【中傷する…他人に対して偽りを言う。他人に対して真実を語る。】
本当のことを言うと傷つけてしまうことってありますからね。

【追伸…ご婦人の手紙の中で、急いでいるときにはそこだけ読めばよい部分。】
追伸部分に対してのみ返信することで、会話が成り立ったりしそうです。

【封筒…書類を納めておく棺桶。勘定書に嵌めておく鞘。為替の受取りを入れておく殻。恋文が身につける寝間着。】
最後がすごくロマンティックです。

【ベラドンナ…イタリア語では「美しい婦人」の意、英語では「猛毒」の意。この二つの国語が本質的には同一であることを物語る顕著な一例。】
へぇー。
「美しい婦人」と「猛毒」が同じ綴りなのは面白いですね。
女で身を滅ぼすタイプの人間にとって、確かに美人は猛毒です。

【要約…誰かある他人の文学作品の簡潔な概要。ただし、その場合、要約するものが抱いている確信と相容れない部分は、スペースが足りないからとの理由で省略される。】
このブログに書いてある、読書感想・映画感想・ラジオ感想等は、感想文とは言い難く、あらすじをなぞっただけの要約であることで気づきました。
感想になってなくてすいません。

【恋愛…(一)一時的の精神異常だが、結婚するか、あるいは、この病気の原因になった影響力から患者を遠ざけるかすれれば、簡単に直る。(以下略)】
これ、どこかで聞いたことあります。
涼宮ハルヒも似たようなこと言ってました。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2008/03/04(火) 23:00:59|
  2. 読書感想文(小説)

FC2Ad