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オスカー・ワイルド「幸福な王子」訳・西村孝次

幸福な王子―ワイルド童話全集幸福な王子―ワイルド童話全集
(1968/01)
ワイルド

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【あらすじ】
オスカー・ワイルドによる童話短編集。全9編。

「幸福な王子」
町の高い円柱の上に、幸福な王子の銅像が立っている。
ツバメが王子像にとまると、幸福な王子は涙を流していた。
王子はなぜ泣いているのか。

「ナイチンゲールとばらの花」
若い若者が、恋人(まだ片思いの相手?)に捧げるための赤いばらを欲しがっている。
恋人は「赤いばらを持ってきてくださったら踊ってあげましょう」と言ったのだ。
それを聞いたナイチンゲールは、赤いばらを探して飛んでゆく。

「わがままな大男」
わがままな大男は、子供たちが自分の庭で遊ぶ事を禁止した。
春になっても夏になっても秋になっても、大男の庭は冬のままだった。

「忠実な友達」
「自分に忠実な友達にどんなお返しをするのか」と小鳥が聞くと、川ねずみは「おまえの言う事はわからん」と言う。
「その問題について、ひとつお話をしてあげましょう。」と紅雀は、小さいハンスという男とその友人の粉屋の話をする。

「すばらしいロケット」
皇太子が結婚し、花火が打ち上げられることになった。
王室の庭で、花火たちが会話をする。

「若い王」
若い王が戴冠式を迎えるにあたり、睡眠中3つの夢をみる。

「王女の誕生日」
王女の12歳の誕生日に、王女のための余興が行われた。
闘牛、アフリカの奇術、ジプシーによる歌と熊の芸。
その中、王女が最もおもしろいと思ったのは、醜く小さな侏儒(こびと)の踊りだった。

「漁師とその魂」
人魚を愛した漁師。
人魚に愛されるためには、人間の魂を捨てなければならない。

「星の子」
貧しい樵(きこり)2人の側に、星が降ってきた。
星が落下したと思われる箇所を見に行くと、そこには小さな子供がいた。
樵はその子供を育てる事になった。

【ネタバレなし感想】
富める者と貧しい者、美しい者と醜い者、慈悲深い者と無慈悲な者、と言った正反対の人間が両方描かれています。
中には相反する両方の要素を持っている者もいます。(途中で改心したり、身分が変わったり)

動物も花も鳥も花火も銅像も、皆が言葉を話すという寓話的世界観です。

東洋や中東などエキゾチックな要素を含んでいました。
【以下、ネタバレあり感想】
「ナイチンゲールとばらの花」
「幸福な王子」に引き続き、鳥が死んでしまうお話でした。
ナイチンゲールが命をかけて作り出した赤い薔薇は、結局学生の恋人に受け取ってもらえまず、最後には溝に落ちて車輪に轢かれてしまいました。
ナイチンゲールの献身が実を結ばなかった残酷な結末です。

「忠実な友達」
小さな恩を着せて、ひたすらハンスに要求ばかりする粉屋。
「友達甲斐がない」と粉屋に思われたくなくて言いなりのハンス。
粉屋は忠実な友達であるハンスに、色々して貰っているのに、お返しをしないのです。
粉屋はやけに上から目線で、「友情」というものを語っています。
「友情というのは遠慮を知らないものだ」「他人のためにしてあげる仕事ほど楽しいものはないんだ」「(ハンスだって)そのうち、友情の理論も物にするだろうよ」とか言って、面倒ごとをハンスに押し付けるのです。
結局ハンスは死んでしまいます。
ハンスの葬式の喪主は粉屋が勤め、いかにも一番の親友ぶっています。
こういう、対等ではない友人関係って実際ありそうですね。
ハンスは、粉屋の言う「友情」を逆手にとって、ずうずうしくしていれば死なずにすんだのかもしれません。
しかし、いい人なハンスだからこそ、葬式に沢山の人が訪れたのでしょう。

「すばらしいロケット」
同じセリフが繰り返されると印象に残りますね。
「ロマンスは死にましたわ、ロマンスは死にましたわ、ロマンスは死にましたわ」

「王女の誕生日」
侏儒(こびと)が自分の醜さに気付いてしまったのは悲劇でした。
王女は、こびとの醜さが滑稽で笑っていただけなのです。
残酷ですし、冷たい女だとも思いますが、悪気はなかったのだと思います。

「漁師とその魂」
魂が語った旅の内容がやけに細かいですが、本当に魂が見てきたものなのでしょうか。
それとも、漁師と一つに戻るため、漁師をそそのかす為だけの作り話なのでしょうか。
「愛は、知恵にも富にも勝る」という強い信念を抱いていた漁師ですが、「踊る少女のむきだしの足」には反応してしまいました。人魚は足がありませんから。
愛>むきだしの白い足>富=知恵 ってところでしょうか。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/01/23(水) 00:21:47|
  2. 読書感想文(小説)

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