![]() | 絵のない絵本 (新潮文庫) (1952/08) 矢崎 源九郎、アンデルセン 他 商品詳細を見る |
【あらすじ】
貧しい若者の部屋に、月が訪れて話をしてくれる。
月が見てきた事を語り、それを若者が絵にするという形で2ページから5ページほどの短編が連続する。
月は必ずしも毎日現れるわけではない。
全部で第三十三夜まである。
【感想】
上の画像は、私が買ったものと装丁が違います。
幽霊、葬式、自殺、死骸など、死に関する単語が結構出てきます。
もっとほのぼのした本かと思っていたので意外でした。
月が人に光を落とす事を「キス」と表現しているので、「キス」も頻出単語です。
中には、登場人物が全く救われない話がありました。
人生の厳しさが出てました。
文学界の裏側を辛辣に描いたような話もありました。
批評家って昔からいるんですね。
1本1本の話を引き伸ばして膨らませていけば、立派な長編になりそうなのに、惜しげもなく消費していくのが贅沢でした。
タイトル通り、挿絵はありませんでした。