![]() | 悪人 吉田 修一 (2007/04) 朝日新聞社出版局 この商品の詳細を見る |
殺人事件の犯人が初めのほうから明らかにされているミステリーです。
犯人の動機はなんだったのか、悪とはなにかが描かれています。
単純な事件かと思いきや、小さな嘘や個人の思惑、勘違い、偶然によって警察の捜査がこじれていきます。
舞台が九州なので、登場人物のセリフが方言です。
【以下、ネタバレ感想あり】
物語の最後で、犯人清水祐一の事を「悪人」と述べていますが、この物語には様々な悪人が出てきます。
警察に嘘をつく人、清水の前から突然姿を消したヘルス嬢、付き合っていない男を彼氏であるかのように偽る女、子供を置き去りにする母親、自首しようとする犯人を引きとめ一緒に逃げようとした女、女を買う塾講師、漢方を押し売りしようとする男達、被害者の遺族を中傷する人々、女を車から蹴りだし被害者の父親を蹴った挙句笑いものにする男、殺意を煽るように罵った女、娘を蹴った男をスパナで殴ろうとする父親(未遂)。
被害者のような女の仲間と思われたくなくて、警察に清水の事を伏せ嘘をつくことは小さな悪でしょう。
そのことによって捜査が難航するだけでなく、被害者の親が人違いの犯人に対して憎悪を燃やし、無罪と知り落胆したりしたからです。
ヘルス嬢の場合、清水を怖がるというか避けるのも無理ないと思いました。
清水も悪気はなかったと思いますが。
清水も結果としては殺してしまったわけですが、色んな経験を経て、かつ、被害者に罵倒されたわけですから、完全に悪人とは言えないと思います。
清水の供述(回想形式の部分)は、嘘ですよね?
光代を無理やり連れまわしたりなんかしていませんから。
光代のことは本気だったかと思います。
他の悪人達も漢方押し売り男たち以外は、そんなに悪い人間ではないと思います。
大学生の増尾圭吾はかなり性格が悪いですが、法的には犯罪じゃないレベルなのがなんとも憎い所です。
ちょっとした虚栄心や寂しさや過去のトラウマから、大小さまざまな罪を犯してしまう人達。
途中で出てきた血まみれの男の幽霊の正体が、読み進めば判明するのかと思っていましたが、どうやら本当に幽霊か、何かの見間違いだったようです。
清水のキャラクターは、アンバランスで不思議な感じがしました。
無口でボソボソ喋り、会話がつまらない、それでいて金髪に派手な色の服を着ている、さらに性欲が強くエロ方面のテクニックはある。











