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綾辻行人「十角館の殺人」

十角館の殺人 十角館の殺人
綾辻 行人 (1991/09)
講談社

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【あらすじ】
大学の推理小説(ミステリ)研究会のメンバーが、孤島の建物「十角館」を訪れる。
一方その頃本土の「河南」の家には、謎の手紙が届く。
手紙の差出人は、「中村青司」。

【途中までネタバレなし感想】
1987年発表された作品です。
まだ、パソコンや携帯は普及しておらず、ワープロも珍しい時代でした。

この物語では、「島」と「本土」での様子が交互に描かれています。
「十角館」という奇妙で閉ざされた空間に、自分までいるような気がして、どちらかというと「島」編の方が読む時緊張しました。

建築家「中村青司」は存在感が大きかったです。

日本文学の古典や、月と兎の関係など、物語の本筋とは関係ないトリビアが入っています。
それらによって、知的な大学生の会話って感じがよく出ていました。

【以下、ネタバレあり】







ああー、また騙されたー。
最近叙述トリックの小説読んだばかりだったのにー。
「守須」のニックネームが「ヴァン・ダイン」だったとは…。
「島」での「ヴァン」と「本土」での「守須」が同一人物だったわけです。
こりゃあ映像化不可能ですね。
「十角館」の火事で全員死亡したと知り、「あぁ、ヴァンも死んだなー」と思ったのに…。
本土の人々から見て、「十角館」に行ったのは7人ではなく6人という事になっていたんですね。
ミステリー作品は、「騙されたー」「やられたー」と言いたいが為に読んでいる側面があるので、良作だったと思います。短時間で読めましたし。

「中村青司は実は生きている」説は、疑いつつもちょっと信じそうになりました。

探偵役が事件の真相を語るのではなく、犯人の独白により、事件の詳細が明らかになりました。
そういうミステリもあるんですね。

ニックネームで呼び合っていた彼等ですが、新聞に載った本名が普通過ぎて、なんだか面白かったです。

この作品より、後に書かれた「時計館の殺人」の方を先に読みました。
「十角館」は、「時計館」よりはトンデモ物件ではありませんでした。
ですが、十角形の建物、十角形のホール、十角系のカップ、台形の部屋、という不安定な感じの不思議空間が、物語を魅力的にしていたと思います。
十一角形のカップ、十一個目の部屋というカラクリも、遊び心があると思いました。
  1. 2007/08/03(金) 12:36:29|
  2. 読書感想文(小説)

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