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横山秀夫「クライマーズ・ハイ」

クライマーズ・ハイ クライマーズ・ハイ
横山 秀夫 (2006/06)
文藝春秋

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【あらすじ】
1985年、御巣鷹山にて航空機墜落事故が発生した。
地元新聞記者の悠木は、日航全権デスクに任命される。

【ネタバレなし感想】
新聞社社員達の、立場・派閥・主義主張・好き嫌いによって衝突し合う様が、まるでノンフィクションであるかのように細かく描写されていました。

日航機事故が起きてからの怒涛の日々は、まさにクライマーズ・ハイ状態で進んでいましたね。
クライマーズ・ハイは、登山中に興奮が極限に達して、なにも怖くなくなる状態だそうです。
そして、興奮が切れた時が怖い…。不安や恐怖が一気に来て、その場から一歩も動けなくなるという…。

首相の靖国参拝や自衛隊について、記事でどう扱うかによって、新聞のスタンスが問われるわけですね。
記者雑感や読者投書欄でもその新聞のありかたが表れてしまいます。
我が家でとっている新聞は、時々「社説がおかしい(主張が偏っている)」と2ちゃんねるでスレが立ったりしてるわけですが、その社説が載るまでにも紆余曲折あるんだなぁと思いました。

「大久保事件」「連合赤軍事件」という過去の栄光にすがる古株記者。そのプライドに傷がつく描写がいくつか見受けられました。
新しい世代の記者との温度差のようなものがリアルで面白かったです。

デスクって仕事はきっついですね。
直接現場に足を運んで取材したり、記事を書いたりはしませんが、誰がどこに何を書くか指示し、上がってきた記事に赤を入れ、取捨選択する。
輪転機が回る(印刷する)までの時間との勝負です。
これは大変ストレスフルですよ。
他の記者達への責任もありますし。

新聞社での戦いがメインでしたが、家族というもの、登山というものについても描かれていました。

途中に入ってる子守唄というか童謡の歌詞が怖いです。

【以下、ちょっとネタバレあり】


安西の「下りるために登る」は、「北関をやめる(山の世界に帰る)ために登る」と解釈されたようです。ラスト付近で。

私は言葉の意味通り読んでましたよ。
「2人で一緒に山に登って、ちゃんと生きて下りてくる。その為に登る。」
そんな風にとりました。
安西は、以前ザイルパートナーを亡くしているわけですし。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2007/08/02(木) 12:58:01|
  2. 読書感想文(小説)

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