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同人漫画サークル

笹生陽子「ぼくは悪党になりたい」

ぼくは悪党になりたい ぼくは悪党になりたい
笹生 陽子 (2004/07)
角川書店

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帯には「少年期の葛藤を軽妙な筆致で描いた、傑作青春小説。」と書いてあります。

【あらすじ】
兎丸エイジは17歳の高校生。
弟のヒロトは9歳。
母親のユリコは未婚の母。
父親はいない。
母ユリコは、息子二人を残して長期海外出張する。
そんな中、弟ヒロトが熱を出した。
明日からエイジの修学旅行なのに。
母には連絡がつかない。
果たしてエイジは修学旅行にいけるのか?

【途中までネタバレなし感想】
上に書いたあらすじは、ほんのさわりです。
この後話が動いていきます。

サクサク短時間で読めました。
一冊を休みなしで読み通せたことは、面白かった証拠だと思います。

エイジの幼馴染、超美形男子の羊谷が面白いキャラでした。

メールやケータイが出てくる現代的なお話です。

話の中に映画「ギルバート・グレイプ」が出てくるのですが、私は未見です。
この作品におおまかなあらすじが書いてあるので、「ギルバート・グレイプのネタバレは一切見たくない」という方は注意して下さい。

前にもこのブログに書いたセリフですが、
私にはこんな青春なかった!

【以下、ネタバレ感想】未読の方は見ないで下さい。


イケメンでエロくて女の子にモテモテの羊谷が、まさかロリオタに転身するとは。(ゲームキャラの顔がロリ系というだけであって、正確にはロリコンじゃないと思いますが)
ゲームの中の二次元少女に恋した羊谷が面白いし可愛かったです。
羊谷の弟がアニメおたくで同人誌やフィギュアを楽しんでいるという描写は確かにありましたが、まさか羊谷がヲタになるとは思いもよりませんでした。

ゲームに登場する少女の名前は、「チヨコ・ミルフィーユ」。通称チイ。
メイド・ロボット育成ゲームだそうです。
無垢で日本語がちょっと変で可愛いです。
チイのセリフだけ字体が違うんですね。

羊谷は「皆俺の顔しか見ていない。チイは俺の顔を見られない。チイが認めてくれたのは俺の顔じゃなくて、中身じゃん?」というような意の事を言っています。
顔が良い人ならではの心の隙間に、ゲーム内の美少女が入り込んだんですね。

チイと出会う前と後の羊谷くんでは、断然後の方が好きですね。
チイに言われたからと禁煙し、女遊びはせず、ゲームの続編を買うためにアルバイトをする。
悪口言ったり悪態つくのも大分おさまったようです。
最初の方は、酷いですからね。
人をデブ呼ばわりした挙句、反対にボコられるという情けなさ。
そのカッコ悪さも楽しいキャラですが。

杉尾さんが言った「こんなに早く会えるとは思ってなかった。」を読んだ時、すぐに「この人エイジのお父さんか?」とピーンと来ましたが、話は「弟のヒロトのお父さん」であるかのように進んでいき、また、歳の計算で「杉尾さんがヒロトの父親だとすると、大学生の時の子供」というように書いてあったので、「それでも若いなぁ。じゃあやっぱりヒロトのお父さん?」と思い始めていた頃、エイジのお父さんであることが判明しました。
なんと13歳の時の子供だそうです。若い!若すぎるよ!

母ユリコの出張先からの最後のメールに、彼女の子供や恋人に関するスタンスが現れてましたね。
面白い人生送ってますね。

近藤さんの奥さんこと斉藤さんは、離婚済みだから、もしエイジと斉藤さんが付き合うことになっても不倫じゃないですね。
最後の会話を見る限りいい雰囲気です。

エイジは、話の冒頭とラスト付近では大きく変化しています。
そして最後で、また元のエイジに戻りつつも一皮剥けたって感じですね。
突然目の前に現れた実父杉尾さんと、羊谷の彼女(元カノ)、アヤちゃんの存在が大きいですね。
精神面の葛藤や成長といった点では、杉尾さんに寄る所が、肉体面の成長や変化といった点ではアヤちゃんに寄る所が大きいと思います。

最も嫌いな女の代表例だったアヤちゃんとこのような関係になるとは…。
  1. 2007/07/18(水) 07:36:23|
  2. 読書感想文(小説)

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