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ジャック=アンリ・ラルティーグ作品展/ファラオと大ピラミッド展他感想

写真歴史博物館 企画写真展
世界でもっとも偉大なアマチュア写真家 ジャック=アンリ・ラルティーグ作品展
in六本木フジフィルムスクエア写真歴史博物館
入場無料

FUJIFILM SQUARE 公式サイト

フランスの裕福な家庭に生まれたジャックは、写真好きの父からカメラをもらい、子供のころから写真つき日記をつけていました。
彼が69歳の時に初ブレイク。展示会ではそのうち約25枚の白黒写真が見られました。
華やかな装いに身を包んだ上流階級の女性たちや、車のレース。ベルエポックと呼ばれた時代の豊かな暮らしが生き生きと撮影されています。
全体的に、動きのありあまった構図になっています。当時のカメラは、シャッタースピードがどのくらいだったのでしょうか。
マイケルJの、ゼロ・グラビティみたいに斜めになっている写真がありましたが、長いことポーズを取ったか、または編集やなんらかの仕掛けがあったのでしょうかね。何かの風に対抗しているというキャプションのあった気がするので、本当にあんな姿勢だったのかもしれません。
ジャックの兄が半透明になっている幽霊を模した作品がありました。こういった、合成写真は、かなり昔からあるようです。他の、おそらく同時期だろう写真集でも見たことがあります。

同じ建物内で、ナショナル ジオグラフィック「地球の真実」展も開催されていたので少し見てみました。鍾乳洞の写真が迫力ありました。
TBSテレビ60周年特別企画 国立カイロ博物館 所蔵
黄金のファラオと大ピラミッド展
in六本木ヒルズ森タワー52階 森アーツセンターギャラリー
入場料 一般 当日券 1800円
休館日 2015年11月24日(火) ※この日は開いてないので注意

黄金のファラオと大ピラミッド展公式サイト

ピラミッド建設は奴隷ではなく、農民に給料を出して作らせたのではないか、という説を採用していたようです。
建設に使用されたとする道具が展示してありましたが、想像より遥かに素朴で洗練されておらず、小型でした。
縄文時代に発掘されたようなものと大差ありません。
水平を図るための道具は、後の測量にも通じそうな発想でした。
このようなアイテムでコツコツと巨大建造物を作っていったのだとしたら、本当に世紀の大工事ですね。

古代エジプト人の死生観は、紹介されていた範囲では穏やかで、「そりゃもしそうだったらいいよね」と共感できるものが多くありました。
パー…人の人格や魂、カー…生命力の概念、精霊
この二つは肉体へ宿りますが、死とともに分離し、パーは冥界に旅立っていく。
生き返るにはパーとカーを合一化しなければならない。
ピラミッドは王の復活を助けるためにあるらしいのです。内部の呪文テキストが、太陽神やオシリスの力を借り、王との合体を促します。
このピラミッド・テキストには、言葉遊びがあるというのが意外でした。同音異義や韻踏みがあるようです。
そのリズムが呪術的であるとすれば、現代のラップリリックにほんの少しだけ似ていることになります。
王の墓で洒落たことをなさる…。
びっしりと、絵や、絵のような文字の書かれた状態は、大変芸術的です。職人たちは、当時からアートや美術、装飾というつもりで作ったのでしょうか。

女性たちの装身具は、現在でも作られ売られているものと、センスが大差ありませんでした。より派手なものもありますけど。使われている宝石がおなじみのものでした。「あらこれかわいい」とよく見たら、スカラベモチーフでした。確かに糞を転がす姿が神と同一視されたとは言いますが、虫と気づいてからは、素敵なアクセサリー、という目で見られなくなりました。

書記は、高官になれるそうです。女性の高官が見当たらないことについては、地位が低かったわけではなく、男は仕事、女は家事と子育て、というように役割が違っただけであり、子を産んだ母親、特にそれが長男である場合、ファラオのごとく権力があったというようなことが書いてありました。
一夫一婦制であるため、男女で対になった像も複数あります。

壺や化粧道具が充実していました。注ぎ口がついていたり機能性もあります。
動物の形をしたシリーズでは、やけに正確な立体化となっています。

たくさんの砂岩等による像が展示されていました。等身大か少し大きいくらいでしょうか。
彫刻を担当した人、非常にレベルが高いです。目やその周りにはガラスが使われているなど質感を考慮していますし、他の材質としっかり接着できています。
また、造形自体がリアルで、大昔の人も今の人と同じ形をしていたのだと、生生しく感じることができます。
足の指など、型をとったかのようです。
人間像を作るのも上手ですが、それ以上にライオン、猿などのフォルムが安定しています。
見たものをそのまま写し取れる当時の職人には感服します。

漆喰のヒエログリフは、主線の色が場所によって違っていました。
色や面ではなく、まず線でりんかくを取るところが、西洋より東洋、日本の絵に通じます。
文字とはいえ、鳥の形だったりするのですが、そのシルエットが、単純化された鳥として大変バランスがよいです。
彫りこむタイプの文字は、その凹凸により影ができるため、線に強弱が感じられます。
計算しているのか不明ですが、一定の箇所だけ線を太くするフォントのようで、よくできています。

ミイラは、魂にあたるもの、パーなどが戻ってきた時、現世に体がないと困るから生み出された技術のようです。
死者は、まず鳥となり、棺のそば、墓にあらかじめ内蔵された偽扉から冥界に旅立ち永遠に生きるのだといいます。
死は新たな生だということです。本当にそういう仕組みになっていたら嬉しいんですけどね。死んでからが本番で。

ミイラを入れるための木棺や、ミイラカバーには、細かい文字や絵がびっしり刻まれ、これまたアートとして高い水準になっています。彩色もされてます。棺の中には死者が納まった時に翼を持つような柄になっています。
副葬品なども、みんな、来世に持っていくため入れてあるようです。

王や高官だけでなく、パンやビールを作る人々の像がありました。生活の一場面を切り取っているものも興味深かったです。
生地を伸ばしている途中など、数千年、人間のやることは変わりません。目は二つ、鼻はひとつ、耳と口があって、足の指は片側五本です。(もちろん何らかの理由でそうではない人もいますが、基本形の話です。)

なぜ太陽神を崇めるか。それは、沈んではまた昇りそれを繰り返すという意味で、循環する永続性を見出したためのようです。
死後永遠に航海を続けるといわれる「太陽の船」復元プロジェクトとして、模型がありました。
しかし、国自体が衰えてくると、もう、永続性が見いだされなくなり、王や神の力も求心力が落ちていったようです。
いつまでも続くものはないんですね。
王達は、時代によって扱いが変わります。一時は、現人神にまでなっています。太陽神と同一視されたこともあります。
途中から、太陽神の息子という考えが現れ、それがオーソドックスだった時期があるようです。

黄金の仮面は光り輝き、おそらく人の顔より少し大きかったです。

図録やグッズ売り場には、メジェド様ガチャガチャも設置してありました。

鑑賞後、同フロアのミュージアム カフェ&レストラン ザ・サン&ザ・ムーンにて、本展示とのコラボメニュー「ファラオが愛した食文化のピラミッドカレー」を食べました。

ピラミッド型のごはん

十種類以上のスパイスを使っているということですが、日本人好みの食べやすい味ですし、辛くなかったです。
鶏と茄子の串刺し、オクラのトマト煮、ひよこ豆のコロッケと、味、栄養のバランスがよさそうでした。
ピラミッド型のターメリックライスもパクパクいけました。
私は、小さいSサイズにしました。それだとお値段1490円。
安くはないですが、地上52階のレストランで、美術館のおまけということになれば、こういう価格設定にもなるでしょう。
記念に食べて損はないと思いました。

ちなみに、一度も外を見なかったため、52階にいた実感がわきませんでした。予約すれば、窓側の席が取れるのかもしれません。
また、別途、展望台という楽しみ方もあるでしょう。
エレベータは、速く、すぐ着く割に、上昇も下降も負担を感じませんでした。ただ、私を含め数名が、耳の痛みなど違和感を訴えていました。
高度が変わることによる気圧の変化でしょうか。すぐ直るので心配はしなくてよいですが、これにより唯一、高層ビルにいると自覚できたようなものです。
反対に言えば、高所恐怖症の人でも見に行ける美術館ということになりそうです。

テーマ:展示会、イベントの情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2015/11/15(日) 01:45:48|
  2. 日記

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