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同人漫画サークル

東野圭吾「毒笑小説」

毒笑小説 毒笑小説
東野 圭吾 (1999/02)
集英社

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読みやすくてスイスイ読了。
いじわるでブラックなお笑い短編12本。
筒井康隆系ブラックユーモア。(東野氏は、巻末対談の中で「僕は自分の作品にユーモアってことばってあまり使われたくないですね。」と述べていますが使ってしまいました。すいません。)
筒井作品ほどは、滅茶苦茶じゃないし、人が大量に死んだり、何かが爆発したりはしません。
でもかなり奇想天外な話ばかりだと思います。
藤子F不二雄先生的「SF(すこし・ふしぎ)」感がありました。
以下、各話あらすじと簡易感想。(ネタバレなし)
【誘拐天国】
じいさんが勉強漬けの孫を誘拐する話。

ネーミングセンスがすごい。
子供の描写に社会風刺が効いてます。
【エンジェル】
新生物「エンジェル」の話。

「エンジェル」に対する人間の扱いが次々変わっていきます。
最後のお前ら誰だー。
捕鯨問題や環境問題を連想したりしなかったり。
【手作りマダム】
ティーパーティーで富岡夫人の手作り品が配られる話。
富岡夫人は料理も裁縫もとにかくセンスが悪く、貰った皆が処分に困ってます。

犬も食わないソーセージがすごくマズそうです。
こんなティーパーティーには参加したくないです。
この物語の中で富岡夫人が最後に手作りしたものは●●●でした。
なるほどー、そうきたかー。あーあーやっちゃったー。
あ、でも●●●は上手く作れたってことですかね。
【マニュアル警察】
妻を殺して自首しに行ったのに、警察署が完全マニュアル化していて自首もままならないという話。

犯人だと名乗っているのに、「被害者の夫」としての役割を押し付けられたり、マニュアル化したことでかえって面倒なことに…。
最後ひでぇ。あそこがマニュアル化してることはそんなに問題ないと思うんですが、主人公はストレスが爆発したんですね。
【ホームアローンじいさん】
じいさんが、家族の留守中に孫の持っているAVを見ようとする話。

ラストの次のシーンを想像すると気まずさMAX。
【花婿人形】
母親の言いなりで育った良家の息子が結婚式をする話。

これまたラスト気まずいよー。
笑ってあげるのが正しい読み方なんだろうけど、かわいそうで…。
【女流作家】
女流作家が妊娠したので休載する話。

この話のようなことが実際あるかもなーと思いました。
流石にこの話と全く同じ方法を取る事は不可能でしょうが。
【殺意取扱説明書】
「殺意取扱説明書」を手に入れ、女子大時代の友人に殺意をつのらせる話。

最後のニ行が非常に好き。この手のオチというか、言い回しは好きです。
「殺意取扱説明書」の内容も好きです。
単純な「殺人マニュアル」ではなく、「殺意」という気持ちの取扱いについて書かれているのが良いです。

≪ネタバレ追記≫「世にも奇妙な物語」は、主人公の性別と性格設定が違ったので、原作とはオチも全く異なります。(玉木宏 主演)
TVドラマだと、殺そうとした相手も殺意取扱説明書を持っていて返り討ちエンドだったんですけど、小説だともっとゆるくて地味です。
(本が手元になくてうろ覚えですが)ものぐさで健康器具でもなんでも飽きてすぐ押入れにしまい埃を被せてしまう主人公が、殺人を諦め、殺意取扱説明書にも飽きて押入れに入れておくという終わり方です。
上記で好きと書いた最終二行というのは、大体こんな感じでした。
「私の殺意は今、押入れの中で埃をかぶっている」
【つぐない】
いい歳したおっさんが突然ピアノを始める話。
ピアノを始めたのは、ある男への償いの気持ちからだった。

巻末対談によると、おっさんがピアノを弾くという状況が滑稽だと思って書き始めたのに、切ない話になっちゃったそうです。
そうですね、おっさんがあまりに真剣なので、おっさんを笑おうとは思いませんでした。
「ある男」の正体が超意外でした。
【栄光の証言】
口下手な男が殺人事件を目撃し、警察に証言したことをきっかけに饒舌になる話。

うわー、途中から凄く哀れ…。
ラストもこの男を笑っていいものやら…。
何か必死だもの。この男にとって、事件はとても大きいものだっただけに…。
【本格推理グッズ関連ショー】
亡くなった父から譲り受けた棒は、とある殺人事件に関連した品らしい、という話。

「お宝鑑定団」みたいな番組が登場します。
名探偵が推理し解決した事件に因んだ品を鑑定するショーです。
父から貰った謎の棒の鑑定額は意外なものでした。
が、さらに続きがあって、真相が明らかになります。
【誘拐電話網】
子供の居ない独身男が、誘拐犯からの電話を受け、「子供を預かった」と脅迫される話。

責任の所在を他人に擦り付けろ!
誰が1番手なワケ?
【巻末特別対談 京極夏彦VS東野圭吾】
二人とも文才があって男前。
天はニ物を与えたんですね。
「笑い」の地位の低さに疑問を呈したり、「笑い」「ギャグ」の難しさ、「他人の不幸が面白い」といったことについて語ったりしています。
  1. 2007/07/06(金) 22:47:38|
  2. 読書感想文(小説)

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