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クラフト・エヴィング商會 「ないもの、あります」簡易感想

ないもの、ありますないもの、あります
(2001/12)
クラフト・エヴィング商會

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【あらすじ】
「先輩風」「針千本」「転ばぬ先の杖」など、良く聞く言葉だけど実際見たことはない、そんな商品を取り扱ったお店がある。
本書は、イラスト入りのカタログであり、商品説明や使用上の注意も書かれているので、購入の際はお気をつけて。

【感想】
今、手元に本が無いのでうろ覚え感想です。

「先輩風」は、単なる香水にしか見えません。その他の商品も、形状的にはそこらにあるものと変わりませんけど、あくまでも、「ないもの」を具現化した商品なのです。そう、言い張っています。
「先輩風」の場合は、シュッと吹かせるのに効果的な場面、多用しすぎた場合のリスクなどが書いてあったと思います。
人間は、生きていれば誰しも先輩になるのです。しかし、同時にすべての人が後輩でもあることを忘れてはいけません。

このように、商品説明を模したエッセイとなっております。
ありがちな痛い言動、人の起こす過ちなどを丁寧語で、オブラートに包みつつ辛辣に書いていて、ブラックユーモア・風刺として笑えるものとなっています。
良い濃度の毒で、まさに、慇懃無礼というはそういうことなんだろうな、という内容です。

人間関係のトラブルを避ける上で、有効な戒めになるでしょう。

他にも、絶対に使わないという事においてのみ有効な品もあったり、生きている内に中身を見てはいけないというアイテムもあったりします。

お客様へのお願いと称し、下手(したて)に出ているようで、言ってる事をフランクに翻訳すれば、「おまえの人生は思ったよりもしょぼいものだと知ってがっかりするかもなw」だったりします。
しかし、キツイ冗談の裏に、だから、後悔せぬよう精いっぱい生きろよというメッセージを感じさせるなど、ただただ人を小馬鹿にして笑いものにするのとは、一線を画していそうです。

「金字塔」は、細長い塔として書かれてましたけど、実際にはピラミッドですよね。
ここでは、「金字塔を打ち立てる」を具現化しているので、ピラミッドそのものではなく、「後世に残る偉業」を表しています。ですから、このタワー型でもいいかな、と感じました。より、「それっぽい」です。

「針千本」飲ませる、の絵には静かな狂気と迫力がありました。普通の縫い針が夥しい数並べてあるのです。平面図を真上から見ただけ。重ねて置いてある高さのある絵よりもよっぽど何らかの意図を感じます。
他の商品図ならこの枠内に収まっている、という領域をはみ出してました。
この量を…約束破りとはこんなにも責任重大なのか…!と視覚化されたインパクトありました。

「舌鼓」「相槌」あたりは、音がうるさそうなグッズです。
相槌を打つ適切なタイミングについても、指導が載ってたように記憶してます。

厚みが少なく、文字も多くはないハードカバー本で、装丁が面白いです。
帯に見えるものは、実は、表紙カバーを下から外側へ折り上げたもので、それを一般的な書籍同様、本体に折りこんであるのです。

この本の存在は、前から知っておりましたが、クラフト・エヴィング商會という著者名を見て、すっかり洋書と思い込んでました。
ですから、読み始めてすぐが「堪忍袋」の項目だったので違和感を覚えました。クラフト~は、日本人のデザイナーユニットのようです。

「存在しない物」を「在る」という前提で、しかも目録のように淡々と紹介するという手法は、ギリギリSFの範疇かなと思いました。
SFは、架空の未来技術や超科学を用いてはいるものの、物語自体は、リアル世界・歴史の縮図であることや、現代風俗を皮肉っている事が多いので。

テーマ:児童文学・童話・絵本 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/06/02(土) 05:45:32|
  2. 読書感想文(小説)

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