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映画「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)」感想

真ん中がストレンジ・ラブ博士。
(両サイドは、他の映画に登場するキャラクター。)
老人達の愛で世界がやばい

博士の異常な愛情(1枚組) [DVD]博士の異常な愛情(1枚組) [DVD]
(2011/01/26)
ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット 他

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【あらすじ】
冷戦下、ソ連は、密かに開発したデゥームズディ・デバイス(皆殺し装置)を保有している。
これは、もしもソ連に攻撃が加えられた場合、放射性物質をまき散らす爆弾を自動使用し、世界中の生物を滅亡させてしまうというものである。(放射能半減期は、93年)
ある日、アメリカ空軍の司令官ジャック・リッパー将軍が、ソ連への核攻撃命令を下した。リッパー将軍は、精神に異常をきたしてしまったのだ。
急遽、アメリカ大統領、軍高官らによる対策会議が開かれることになる。
ソ連に核が一発でも落ちたら世界滅亡。果たして、それを阻止できるのか。

【途中まで、ネタバレなし感想】
10年以上ぶりに再見しました。
記憶の中より、さらに小ネタやギャグが多く、強烈なブラックユーモアが炸裂していました。
のっぴきらない状況を描いている割に、馬鹿すぎて笑えます。

「ストレンジ・ラブ博士がブランド社に発注した」皆殺し装置は、ソ連のものではなく、アメリカが開発している同種の物であるようです。

軍事費1年分より安上がりだから、「皆殺し装置」は経済的。こんな理由で、終末カウントダウンに突入ですよ。
当時の核開発競争を揶揄した内容なんだと思います。
「皆殺し格差」という言葉からもそれがうかがえます。

博士は、「皆殺し装置」は、戦争抑止に役立たないという結論を下しています。現に、破たんしていますしね。
人為的ミスを排除した、正確で非情な装置。それは、絶対に作動させてはいけない、という点でのみ意味がある兵器なのです。
つまり、存在を知らしめなければ、その効果は発揮できないのです。
では、どうして公表しなかったのか。
ソ連大使曰く「今度の月曜集会でサプライズ発表する予定だったし、ほら、うちのトップは人を驚かせるのが好きだから」。
技術が盗まれないよう、一国で独占したかったのでしょうか。

てっきり、最初の「皆殺し装置」自体、博士の発明品だと思ってたんですけど、先に作ったのはソ連なんですね。
コンピューター制御による、絶対報復最終兵器ですので、人間の意志で「やっぱ報復やめるわぁ。」とかできないのです。「核撃ったら必ず撃ち返される」と分かっている状態で最初の一発を撃つ奴はいない、という理屈で作られているんですね。

(「皆殺し装置」に博士が一切関与していない、という証拠もない。隠された秘密兵器の存在をなぜか知っており、既に同型を発注していたり、装置とは無関係の所でも「コンピューター任せ」を好んだりと、怪しさが残る。)

ストラブ博士と同じ役者が演じている英国空軍マンドレイク大佐と、アメリカ大統領マフリーは、かなり常識人ですね。比較的マトモ、かつ、困った人達への対応が紳士的で、ユーモアも持ちあわせています。

タージドソン「たった2000万人の犠牲済むんですよ!」
大統領「それは大量殺人で、戦争ではない」 

ここ、大統領が男前でした。
タージドソンは、アメリカさえ良ければ構わない、どんどん我々の力を見せつけていこう!というキャラクターですから、むしろ「R作戦」に乗り気だったんですよね。(この時点で、まだ皆殺し装置の存在は知らなかったと思う。せっかくだから、そのままソ連を攻撃しちゃえばいい、というノリ。)

10年前は、一人3役だということに気付きませんでしたし、今見ても、別人に見えます。雰囲気が違い過ぎて。

再見して最も驚いた点、それは、ストラブ博士の出番少ない!!という事です。
「博士は殆ど全編出ていた」くらいの気持ちでいたのでしたが、シーン的には2回しか登場しません。映画の半分を過ぎたあたりでようやく、初セリフです。開始から約1時間後。
博士は、会議が始まった時から地味にいるんですけど、存在感がありません。
しかし、くわえ煙草の博士が、車椅子でバックして会議室の机からシャーっと離れる瞬間からもう目が離せません。
博士は、表情も動きもとても奇妙です。ちょっと見開いたような目、歯をむき出し口角の上がった張り付いたような笑顔。彼には、右手が勝手に上がってナチス式敬礼をしそうになる発作があります。そんな時は、必死に左手で押さえます。
それと、大統領を「総統」と呼び間違える事も数回。
博士は、元ドイツ人で、今はアメリカに帰化しているようなのですが、未だ中身はモロにドイツ人、しかもナチス的思想を持ったままらしいのです。
言う事きかない右手(黒手袋)から左手に煙草を持ちかえようと苦戦したり、右手が自分の首を絞めたり。
やることなすこと言うことすべてが、気色悪くて不気味でどうかしていて、とてもかっこ良いです。

ソ連への核攻撃命令(R作戦)が下る前の、爆撃機内はだらけ切っています。
しかし、一旦「R作戦」が発令されると、変にやる気を出してしまいます。特にテンガロンハットのコング少佐が。

このお話、女性は一人しか出てこなかったと思います。それは、タージドソン将軍の愛人です。ベッドの上で下着姿。
それ以外の女性と言えば、ポスターや雑誌の中のグラビアアイドルぐらいでしょうか。
女性は、ひたすら、男性の性的欲望対象としか描写されてなかったと思います。
これぐらい男だらけの話で、その男たちは全員女に対して馬鹿、という空気はとても好きです。
エロ要員、お飾り、景品、動機、目的としての女性キャラクター。良いですね。
紅一点の人格をほとんど無視している分、彼女のセクシーさと、ビジネス的電話応対の優秀さが、良いギャップを生んでいました。

マンドレイク大佐が、グアノに自動販売機を撃たせるシーンが好きです。公衆電話をかける小銭がなかったのです。

↓セリフ一部省略

マンドレイク「コーラの販売機を撃ってくれ、小銭を出すのだ」
グアノ「私有財産だぜ」 
マンドレイク「銃と弾はその為にある!」 
グアノ「もし大統領が出なかったら、コカ・コーラ社に訴えられるぜ!」

(「コーラ」じゃなくて、「メーカー」だったかも。)

マンドレイク大佐は、少し小心者ではあるけれど、リッパー将軍に比べたら超常識人、くらいに思ってました。が、せっぱつまってくると変な事言うんですね。そして、グアノさんのツッコミが規律・法令順守方向だったので驚きです。彼、「この緊急事態だ、細かいことは置いといて」って言いそうな見た目だったんですけど。訴訟は嫌なんですね。

ストレンジ・ラブという名前は、ドイツ名を英語に直訳したものです。
タージドソンが「変わった名前だな」みたいに反応するんですけど、ジャック・リッパーもマンドレイクもタージドソンも変ですよ。
ジャック・ザ・リッパー(切裂きジャック)、マンドレイク(=マンドラゴラ。引っこ抜くと叫んでその声を聞いたら死ぬって言われている植物。実在もする。そちらは、叫ばないけど強い幻覚作用を持つ。)から来ているんでしょうか。人名には、滅多に使われないだろう音です。

リッパー将軍は、敵からの傍受を防ぐため、敵から攻撃されないため、と、ラジオを全部回収するよう言ってました。被害妄想らしい行動ですね。

リッパー「ラジオが音楽をやっている( `_ゝ´)ムッ」
マンドレイク「ソ連の攻撃が事実ならラジオはやってませんよ(;´Д`)…爆撃機引き返し命令の暗号と、部屋の鍵はどこです!???(゚д゚)」(ドアが開かない)

↑このあたりも笑えました。マンドレイクが閉じ込められました

冒頭、「この映画に描かれるような事故は絶対に起こりえないと、合衆国空軍は保障します。」「また、ここに登場する人物はすべて架空で、実在の人物との関連は少しもない」という字幕が出るのが笑えます。
そう書かれると、逆にぁゃιぃ。

【以下、ネタバレあり感想】







ソ連が「皆殺し装置」を作ったのは、核抑止力的な理由だったはずです。「誰もソ連に手出しできない」という絶対的な防衛のつもりだったのでしょう。
(博士も言う通り、だったら、すぐ公表すべきだった。持ってるだけじゃ意味がない。)

たった一人が発狂しただけで崩れるような、脆いシステムでした。穴だらけ。
博士には、「この均衡や緊張状態なんて、絶対崩壊する」って分かりきっていたんでしょうね。
誰がはじめに、この装置を思いつき、造ろうとしたのか存じません。
本当にソ連の軍人や科学者、政府の人が思い立ったのだとしたら、防衛上の経済的メリットを考えて、(見せかけの)平和実現を目指して、というだけの事だったでしょう。
しかし、もし、そこで暗躍していたのがストラブ博士だったとしたら、デメリットを無視した利点アピールで各国をそそのかして「皆殺し装置」を配備させ、その作動による「世界“ほぼ”滅亡※」を最初から狙っていたという事になると思うんですよ。(※ 少数の人類は生き残らせるつもり)

リッパー将軍の主張
「ソ連の人間は、決して水を飲まない。奴らは、ウォッカしか飲まない。人間には新鮮な水が必要だ、尊い体液を保存する為にだ。私が蒸留水と薬用アルコールしか飲まないのは、共産主義者が水にフッ素を混ぜているからだ!」
「フッ素は、アイスクリームにも入ってる!!!1946年から入ってる!異物が我々の尊い体液に侵入したのだ!はじめて思いついたのは性愛行為の実践中、異様な疲労と虚無感に襲われた。エッセンスが失われたのだ!女性は私のエッセンスを奪おうとする、だが、与えない!」

賢者タイムで世界滅亡

馬鹿すぎるw

これを聞かされるマンドレイク大佐がかわいそうです。しかも隣室で将軍に自殺されるし。
リッパー将軍は、マンドレイク大佐が日本人に拷問されたと聞き、死後の世界は信じるが拷問には耐えられそうもない、と先走り自決しました。
なお、マンドレイクの言う拷問は、鉄道を敷かされた、あいつらは、私に喋らせる気がなかった、というものでした。
情報を引き出そうとしない拷問ってあるんですか。
強制労働に近いニュアンスですかね。
そんな憎々しく言うほど恐ろしいものじゃないのでは、と感じましたが、後で調べた所、栄養失調、疫病、無理な突貫工事による、死者多数の過酷な現場だったそうです。捕虜虐待として戦後問題になったくらいの。でも、やっぱり拷問ではないような。
英語圏では「デスレール」の呼び名で知られる程お馴染みの悲劇らしく、そこに引っかけつつ、リッパー何故か観念して自害、というブラックジョークなのかもしれません。
「あの豚めら(卑劣な日本人)が、良いカメラを作りやがって!!」は、罵倒しつつ褒めてるのが笑えました。

タージドソンが愛人のいる寝室から隣の部屋に行くシーン、そして、リッパー将軍が隣室で自殺する場面に、鏡越しの構図が使われていました。
後者の話をすると、本来、カメラの角度上見えないはずの隣室内部。鏡越しにリッパー将軍の姿を確認できる。その後ドアが閉まり、銃声のみが聞こえる。…という一連の流れが良かったです。

マンドレイク大佐の大統領への電話、ってなんの為でしたっけ。
「R作戦」解除用の暗号が分かったから、それを伝えたんでしょうか。
「R作戦」が実行されると、爆撃機への暗号方式が変更されてしまうんですよね。それを知っているのはリッパー将軍だけだったのです。
暗号解読により、多くの爆撃機は引き返したのですが、まだ数基前進してました。
だから、ソ連首脳へのホットラインで「うち(米)の爆撃機を、君(ソ)の方で撃ち落として。」と頼むんですよね。

よその国のトップに、「自国の飛行機落として!」と頼むなんて、滅多ににないシチュエーションですよ。

大統領がソ連首脳と電話する場面、ファーストネームで親しげに呼んでみたりするところが、上っ面だけでも友好的にしつつ腹を探り合ってる感じが出ていてよかったです。冷戦らしくて。
最近でも、各国首脳同士が下の名前で呼び合ったりしてますものね。友達アピール。

一刻を争うということもあり、受話器をぎゅっと握りしめて持ち、そわそわしてるアメリカ大統領がかわいかったです。

どの国も人もまんべんなく馬鹿だったので、一種の世界平和を感じました。

グアノ「プッチュアハンズ!(手を上げろ)…変な服!」
マンドレーク「英国の正装だぞ!」 

アメリカ大統領「煙草はいかがですか?」
ソ連大使「資本主義の匂いがするからいらない!」
アメリカ大統領「そうでしたか、共産煙草をお吸いで!」

各国に居そうな人を、誇張して描いているエスニックジョークに近いものだと思います。
ソ連=ウォッカ=酔っぱらってる とか。
ソ連のトップは、一度も姿が出てきませんでした。声も。
電話の向こうにいるらしい、という描写だけですが、キャラが立っていました。

ソ連大使は、時計型カメラで隠し撮りをしていました。
これには、愛国者タージドソンが大激怒。喧嘩になります。
その後も、ちょくちょく「ソ連VSアメリカ」的な喧嘩をしてる割りに、ストレンジ・ラブ博士の言う「地下坑道に男1人に女10人の割合で避難してそこで100年生きましょう計画」の「女性は、性的刺激の強い魅力のある者を」ってあたりで、二人そろって同意している感じが笑えました。

タージドソンは、「我がアメリカ軍の爆撃機なら何があっても必ず目的地点に到達します!!!!」みたいに興奮して捲し立てていた所が面白かったです。だから、到達しちゃダメなんだって…。それは、言ってて本人も気づいたようで、「あっ」ってなってました。
どうしても、「アメリカ最強、ソ連は撃破すべし!!」っていうのが抜けないんですね。
第二次世界大戦は終結しているし、今は、共倒れの危機なのに。

ストラブ博士は、選民思想を現実化したいから、「皆殺し装置」が作動する事にはうろたえないんですね。装置の作動を防ごうとすらしてませんでした。
むしろ、望む所だ!ていうか、ぶっちゃけこれがやりたかっただけ!!これで、優秀な人類だけを選んだ少数精鋭状態が実現できるわ!!あってよかった「皆殺し装置!!」、核爆弾大好き!!、やっとあなたの夢がかなうよ総統!!っていう状態なのでしょう。
だから、「総統!!歩けます!!」。
「ナチスの掲げた理想が、人類を存続させる唯一の方法になる」事に興奮して、動かないはずの足が復活という事でしょうか。
見ていて、…だからどうしたのwなんなのそれwってなりました。
内股っぽく、固い足取りがまたなんとも好きです。

アメリカ大統領マフリーのような、穏やかでバランスの良い、他人を思いやった考え方する人は、平時だったら絶対ストラブ博士の演説(選民地下坑道潜伏生活)を受け入れないでしょう。
実際、しぶしぶ聞いていて乗り気ではないようでしたが、それでも、博士の「政府高官は優先的に炭鉱に入れる」というあたりは、黙って聞いてました。

大統領「誰が死に、誰が生きるか、私は決めたくない。」
   「生存者は悲嘆のあまり死者を羨み、生きる意欲を失わないだろうか。」
やっぱり、大統領かっこいい。
それに対し、感極まったように熱弁ふるうストラブ博士がまた、キモクて色っぽくて、大好きです。目がイっちゃってる。

ストラブ「人々は、未来の冒険を夢みつつ、たくましく生きていkハァーーーーーッ…!!!(右手が敬礼してしまって、それを左手で下す。そして、左手で右腕をガンガン殴る。)」

なお、自分の首絞めてるストラブも良いですが、それをワイン片手にうわぁ…ってドン引きしながら見ている大統領も好きです。
同じ声に聞こえない二人です。ストラブ博士は、ドイツなまりの英語であるらしいし、声のトーンや口調もまるで違うのです。

ストラブ博士は、選民をコンピューターにやらせるようです。
ここで言うコンピューターは、皆殺し装置とはまた別のプログラムを使うと思うんですけれど、それは、すでに完成しているのでしょうか。
若さ 健康 生殖能力 知性  重要な技術の有無etc…、データを入れれば勝手にはじき出してくれるという。
仕組み自体は、皆殺し装置くらい簡単そうです。エクセルと統計ソフトに毛が生えた程度で行けそうですもの。
ただ、このデータベース作成ってすごく時間かかりそうなんですけど。人類完全死滅まで残り10ヶ月。間に合うんですか。
あらかじめ用意していたのだとしたら、ストラブ博士はこの危機=チャンスが訪れる事を予期していたということになります。

博士がジャケットの内ポケットから取り出したちょうどCD-ROMくらいの大きさ、質感のドーナツ盤。これは、放射能の半減期を書いた早見表でしょうか。いい具合に光沢があって、彼のキャラクター性、なんでもバイナリデータに委ねちゃう感、に合ってました。車いすから立った所でも左手に持っていました。

立った!ストレンジ・ラブ博士が立った!

博士の地下都市計画では、エネルギー源に原子炉を用いる事になっています。
核兵器だけでなく、原子力発電も扱ったお話だったんですね。忘れてました。
温室で植物を育てるし、動物も育てば肉が取れる、生殖統制もするから、人は増えるよ、と。
人間同士にも「交配」って言葉使うものですか?生物の雄と雌を人工的に受精、または受粉させること、の意みたいです。
愛だとか、絆だとかが、まったく感じられない、機械的で冷たい「実験」のような響きを持った言葉です。
国民総生産の予測等も、その場でしたとは思えないので、もともとずっと持っていた野望なんでしょうね。
選ばれた数十万人で地下暮らし。この設定からして、核戦争の類を想定してますよね。放射能を避ける為の「地下」なのですから。

マンドレイク大佐の片足義足設定って、何を象徴しているのでしょうか。友軍襲撃時、一度、取れて動けなくなったようですけれど。
後で、ネットを見たら、「役者の交通事故によるけがの為」とありました。なんという物理的な…!そもそも何も象徴してなんかいなかったようです。
以下、それを知る前に考えていた事です。アメリカに居て、両足で歩ける者は、ちゃんと「アメリカ側の人」だけど、マンドレイク大佐は半分イギリス、ストレンジラブ博士は完全にドイツ、ってことでしょうか。(ソ連大使は、最初からアメリカ扱いではないので除外)

コング少佐の乗った爆撃機は、攻撃を食らった事により、無線装置が壊れたんですね。
だから、引き返し命令を受け取れなかった。
コング少佐は、「R作戦」の命令受けてから、テンガロンハットかぶりましたね。
熱血漢という方向性としては、タージドソンに近いんですけど、タージドソンよりも、ストイックで、現場主義で、伝統的で、田舎者っぽい感じがしました。

「R作戦」を含む、一連の封筒が入っていた金庫の蓋。その裏にもセクシー美女の写真が。なんてアホなんだ。
どうせなら、そのまま間抜けでやる気なくダラけていてくれたらよかったのに、変な使命感に燃えてしまいましたからね、少佐。すっかり英雄気取りです。
コング少佐は、まさか、リッパー将軍の妄想で出撃させられてるとは思ってないんですよ。
「R作戦」の実行を命じられるってことは、きっと、ペンタゴンがソ連に攻撃されたんだぜ!!くらいに思ってます。
最初、他の首脳陣もそう考えたようです。まさか、共産主義者のフッ素で私の体液が穢されて、とかいう意味不明の理由で核投下命令するとか、誰も思わないですものね。
少佐は、今まさに自分が核爆弾と一緒に殉職する、という時なのに、ロデオをするカウボーイのようにハイテンションで帽子を振り回しており、これっぽちも恐れや悲しみを感じさせませんでした。彼にとっては、最高にハッピーな死に方なんでしょうね。楽しい狂気です。

一人が狂っただけでなく、その後、馬鹿達の絶え間ない努力でもって、積極的に破滅に向かう感じが、笑えました。

皆殺し装置配備→
リッパー発狂→
空軍は眠らないぜ!on愛人とベッド→
22セント足りなくて電話できないよ自販機撃って!→
あんたんとこでウチの爆撃機撃ち落としてよ!→
爆弾の投下口が開かないから核爆弾にまたがって修理しちゃう!絶対に、任務遂行をしてみせるぜ!→
核ド━(゚Д゚)━ン!!→
優秀な男1にセクシーな女10でハーレム地下生活だ!!→
総統、歩けます!→
♪また会いましょう キノコ雲ド━(゚Д゚)━ン!!ド━(゚Д゚)━ン!!

…ひどい。
ひどくてとても好きです。

この映画を再見した最大の理由は、「自販機銃撃が見たい」という事でした。
別に、コカ・コーラ社が映画製作に出資していたわけではないんですかね?
わざわざ企業名を出して。
コーラって、「共産圏ではない」「アメリカ民主主義」の偶像っぽいですもんね。
俗っぽく、一般的な、どこにでもある自動販売機。
そこから22セント出せるかどうか、っていうしょぼい事が、世界が救われるかどうかの分岐点っていうアホさが好きです。
実際には、お金出そうと、出すまいと、コング少佐が核落としちゃうんでしょうけど。
「この選択にはなんの意味もなかった」感じが、また、大好きです。無駄な努力。

友軍の攻撃に立てこもりつつ反撃するリッパー将軍、やけに戦闘能力高そうでしたね。動きが様になっています。
きっと、軍人としては優れているんでしょうね。
リッパーに振り回されて迷惑を被るマンドレイク大佐は、非戦闘員感がありました。

10年前に見た時よりもさらに面白く感じました。
ネットの書き込みで初めて知ったのですが、ストラブ博士が“発作”を起こし、右手を左手で叩いている場面で、ソ連大使の役者が笑いを堪えてるんですね。
DVDで見返すと、本当に吹き出しそうになってました。

デデーン ソ連大使ーアウトー。(笑ってはいけない首脳会議)

博士の怪演に、複数回笑いかけてます。大使の腹筋がんばれ。

博士基地かっこいいブログ用


ちなみに、この映画を下敷きにしているゲーム「メタルギアソリッドピースウォーカー(MGS PW)」には、そのものずばりストレンジ・ラヴ博士という女性が登場します。
銀髪ショートカットで、サングラスをし、黒手袋をした男装の美女です。
彼女ともう一人の男性技師(眼鏡をかけて車いすに乗っている)が作っているのは二足歩行の人工知能搭載型、自動核報復装置です。
ゲームをプレイしていて、「ストレンジ・ラヴ博士(女)と歩く皆殺し装置キタ――(゚∀゚)――!!」ってなりました。

メタルギア ソリッド ピースウォーカーメタルギア ソリッド ピースウォーカー
(2010/04/29)
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他にも「2001年宇宙の旅」や「エスケープフロムニューヨーク」(PWではキャラ造形のみ)等が元ネタになっているようです。

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テーマ:色あせない名作 - ジャンル:映画

  1. 2012/02/07(火) 22:14:08|
  2. 映画感想

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