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PCゲーム「沙耶の唄」プレイ感想

沙耶の唄 Nitro The Best! Vol.2沙耶の唄 Nitro The Best! Vol.2
(2009/07/31)
Windows

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【あらすじ】
大学生の匂坂郁紀(こうさか ふみのり)は、事故の後手術により生還を果したが、後遺症で知覚障害を起こしてしまった。
彼の目には、人間は不気味な化け物に、部屋も建物も景色も、豚の贓物のようにしか映らない。
そんな中、美少女「沙耶」だけは、人間の姿に見えるのだった。

【途中まで、ネタバレなし感想】
18禁のアダルトゲームですので、性描写はがっつりあります。絵でも音声でもテキストでも。
それ以上に、グロ要素が多いです。多いというか、ほぼ全面的にグロと言っても良いでしょう。
設定上、主人公の郁紀から見た世界は、一面そんななので。
ですが、グロ耐性低い私でも平気でプレイできました。すぐに「慣れ」ました。
主人公にとっての化け物(普通の人から見たらただの人間)は、デザイン的には、メタルスレイダーグローリーに出てくるエイリアンに近いです。私は存じませんが、「クトゥルフ神話」と似たモチーフだそうです。化け物は、触手等のある粘性の強い生き物です。
(グロテスクな画像には、フィルターがかけられるそうです。本当に苦手だと言う人は、フィルターONでプレイ可能でしょう。)

悪意ではなく、善意や友情や愛情が悪いほうに転がりまくる感じが、皮肉きいてて面白かったです。

平均プレイ時間は5時間、エンディングは3つ、ということで、サクっと短時間でプレイできました。
選択肢による分岐は、2回しかありませんでした。ほぼ、一本道のサウンドノベルといった感じです。
なので、とりあえずは上の選択肢を選んでました。で、それがエンディングまで行ったら、次は下を選んでみるという。
物語を理解する上では、この順番で正解だったようです。

所謂、攻略対象、エロスなシーンのある女性キャラクターは二人となっております。
個人的には、「耕司」という、主人公の友達に萌えました。(※彼は、攻略対象でもエロ要員でもありません)

十分に、鬼畜鬱エログロゲームと言い切れる内容なのに、かえって「純愛」が際立った形で感じられます。

開幕直後からインパクト大で引き込まれました。
不明瞭でくぐもった音声、奇怪なビジュアル、文字化けしまくったテキスト、不気味なサウンド。
かろうじて、会話の内容と状況が理解できるレベルです。
これが、主人公郁紀の見ている世界なんですね。
なお、このゲーム、複数視点システムになっています。
つまり、プレイヤーは、郁紀以外のキャラクター主観も体験することが出来るのです。
最初の場面は、直後、正常な人から見聞きしたバージョンでも繰り返されます。仲の良い大学生グループによる、実に平凡な会話なんですね。

【以下、ネタバレあり感想】








沙耶は、人間ではないんだろうな、っていうのは、あらすじの時点で予想ついてました。
沙耶の外見は、郁紀の見てる「人間」であるところの「化け物」そのもののようですね。

高畠青海(耕司の彼女)が、郁紀の家に行った時の
「オガエリナザイ」ピチャピチャ
で、あああああ、そっか、沙耶は、アレか。と知りました。

さすがにその時点では、沙耶が、異次元宇宙(?)から寄越された知的生命体(人工知能に近い何からしい)で、その星で一番進化した生物を丸ごと乗っ取る為の探査機的なもの、だとかそういう正体までは分かりませんでしたが。

沙耶は、女の子でありながら、触手で「攻め」にも回れます。でも、精液を欲しがっていると言う点で、雄ではなく、雌ならしいです。
沙耶の「お父さん」が書いた研究日記、途中まで「彼」という記述でしたから、え?オス??と思ってました。

好きな人にキスされた事もなかったという津久葉瑤は、多分、美人で巨乳にも関わらず処女だったんでしょうね。
そんな奥手の瑤が、肉体改造された上に性奴隷のペットにされるという超展開。
非道な事この上ないですね。

沙耶は、自分はたんぽぽの種のようなものだといい、一人ぼっちの自分がそこに居ついて花さかせよう、って思うのは、一人でも綺麗だね、と褒めてくれる人が居た時、的なことを言います。(重複かもしれないが「砂漠で、一人でも花を愛してくれる人がいた時」の方がより正確らしい)
これは、郁紀にとっても似たようなものなんでしょうね。いきなり、異世界みたいな奇怪な世界に放り込まれて孤独な時に、たった一人の綺麗な女の子を見つけたのですから、そりゃ依存しますし、唯一の拠り所になっちゃいますよね。

それにしても、いくらグロい化け物にしか見えないとは言え、郁紀の、耕司や瑤に対する当たりがきつすぎると思うんですけど、これが彼の事故前からの本性なんですかね。
ギリギリ人間同士、同じ大学生で友達、という建前と常識があったから、他人を強く否定したり遠ざけたりしてなかっただけで、言動だけ取ったらこいつら鬱陶しい…と思ってる部分があったのかもしれません。
増してや、彼らが化け物にしか見えない上に、沙耶との生活を邪魔する存在となれば、排除対象でしかないのでしょう。
郁紀は、「今、自分が食べてる料理は、青海の肉なのかもしれない」と分かっても、さして気にしてませんでした。
事故以来、価値観が一変しています。彼の主観で、正常で、美味しければいいのです。
多かれ少なかれ、人間は、そういうものなのかもしれません。

ですから、1つめのエンディング「白い部屋」は、意外でした。
これは、郁紀が沙耶の脳手術を受け、知覚が元通り回復するというものです。
沙耶の正体が人間ではないことくらい郁紀も気づいていたでしょう。
でも、いざ、化け物としての姿を見たら、やっぱり沙耶の事を気味悪がったり、嫌いになったりするのかな?と思ってたんです。
他者への評価は、知覚に拠る所が大きいのではないかと。
ところが、沙耶のことは、相変わらずかわいい少女として扱っていました。
直接対面はしていません。ケータイの文字で会話してました。
自分の醜い姿を恥じる沙耶は、間違いなくかわいらしい乙女でした。
クリーチャーをそのままで可憐だと感じられるのは、とても良いですね、萌えるシナリオです。

なお、この「白い部屋」だと、沙耶の正体も、物語の真相も、女医・丹保凉子が訳知りな雰囲気を漂わせてる意味も分からないので、プレイヤーにとってはバッドエンドだと言えます。
しかし、物語の登場人物には、一番マシで、傷の浅い終わりですね。
どちらにしろ、お隣のおじさんは、沙耶によって脳が弄られて知覚が郁紀と同じになってしまい、大小の怪物(妻子)を殺した上、レイパーと化し郁紀に殺される事と、青海が沙耶に捕食され、耕司が恋人を失う事は、避けられないわけですが。
お隣さんと耕司、青海は、とんだとばっちりですよ。
郁紀が、事故に遭ったのと同じくらい、なんの罪もないのに運が悪いです。

耕司が井戸に突き落とされた時、うわーー、耕司が!耕司には助かって欲しい!と本気で思いました。
最悪のシナリオを止められるのは耕司しか居ない!と感じてましたし、自分の中では完全に主人公扱いでした。
そして、郁紀を、ラスボス、魔王と捉えてました。
女医の涼子が助けに来るとは意外でした。涼子は、かなり真相に近づいていたんですね。
彼女が銃を持っている理由は、最後のシナリオで耕司やプレイヤーも実感することとなりました。

瑤の精神崩壊廃人首輪奴隷生活は、とてもエロゲらしいとともに、このゲームならではの設定でしたね。
作中、郁紀は、化け物としかセクロスしてないことになりますけどそれでいいのか、郁紀。
隣のおじさん×沙耶も、沙耶×瑤も異種姦ですしね…。なんだこのゲーム!w
どんな生き物でも思いのままに改造できるなら、沙耶は、自分を人間に改造すりゃいいじゃん、と思いましたが、自己改造は無理なんですかね。
「白い部屋」と同じく、まず、郁紀の知覚を元通りにし、さらに、沙耶も人間になればよかったんですよ。
それだと、沙耶の目的が果たしづらくなりますが。
沙耶としては、白い部屋シナリオも辛かったでしょうね。郁紀が、二人だけの世界ではなく、元の、他人が居る世界を望んだなんて。
それでも、沙耶はそれに従い、郁紀を戻してあげました。
沙耶はそこまで独占欲強くないんですよね。
郁紀を自分だけの物にしておきたいのなら、わざわざ瑤を改造して自分と同じ形態にしませんもの。郁紀の幸せと喜びが最優先なんですね。

エロゲなので飲精描写とかありますけど、これも、沙耶が種を産んだり、人間という生き物の遺伝子を理解したりする上でのデータとなっており、必然性がありました。

2個目のエンディングでは、耕司亡き後、沙耶が種子をばら撒き世界中の人間が沙耶化していきました。涼子ももうすぐあの化け物になるのでしょう。
郁紀から見たら、みんなが元の人間の姿に戻ることになるんでしょうが、そこに沙耶はいないようでした。
郁紀と沙耶にとっての幸せを目指して突き進むと、犠牲者が増え、人類にとってはバッドエンドになってしまうという、残酷な仕様でした。

3個目の耕司生存エンドが、多分、ベストEDなんでしょう。が、主人公とヒロイン、涼子、青海、瑤、お隣一家が全員死亡しており、とてもハッピーエンドとは言えない何かになってました。(これをトゥルーと思っていましたが、2個目の「沙耶開花」が真エンドとされているような書き込みを見かけました。出典不明。)
3個目の世界では、人類は沙耶化していません。それだけが救いです。
助かった耕司は、精神を病んで知覚に異常をきたしています。
彼には、涼子や瑤の声や姿が幻覚だということもわかっています。それでも、この状況に耐え続けるのは大変ですね。
できれば、また、元気になって欲しいのですが、その前に拳銃が活躍してしまう可能性大です。
あくまでも心的外傷による知覚障害であり、郁紀のような、事故による物理的な損傷とは違いますから、回復の見込みも十分あると思うのですが。

耕司は、郁紀に散々酷い目に遭わされて恨みました。郁紀を殺す気でした。
それなのに、斧で自害した郁紀に這い寄っていく化け物(沙耶)を、郁紀から遠ざけようとしたのがかっこよかったです。
どんなに変わり果てていても、郁紀は、耕司にとっては親友なんですね。耕司も大分衰弱しているので、判断能力が落ちているんですけど、考えるより先に、郁紀を助けなきゃ!と体が動いたんだと思います。
それは、力尽きる寸前の沙耶も同じです。もう、本能で、郁紀に寄り添っていった感じで、これが恋、これが愛、なんですね!という感じでした。
生き物や人間にとっての生殖衝動って何なの?恋するってどういうこと?と言った根源的な事をあらためて問うてくるゲームでした。

一番萌えたスチル→耕司が化け物(瑤)に襲われるカット
 〃   ボイス→瑤を撃ちながら錯乱している耕司の絶叫、悲鳴 
         (次点…井戸で叫ぶ耕司の声)
 〃   セリフ→耕司の「これ以上、郁紀に近づくんじゃねぇ!」

ということで、素敵な耕司ゲーでした。

最初は、耕司の印象良くなかったんですよ。
「彼女持ちのチャラいリア充」という感じで。
実際そうなんですけど、思いのほか、誠実で友達想いで礼節をわきまえた若者でした。
耕司のような人間は、リア充たる資質を持ち、かつ、努力をした上で、その資格を有しているのであり、侮蔑するのは間違っていたんですね。完全に、偏見と僻みでした。
だから、耕司が彼女を失ったり、友達に裏切られたりしたのを見ても、全く「ザマァミロ」とは思いませんでした。
彼は、幸せであるべきだったんです。

郁紀の声は、どう聞いても緑川光さんじゃないか、と思っていたのですが、エンディング見たら「氷河流」と書かれていて誰!?ってなりました。緑川さんの変名らしいですね。

耕司と沙耶らくがき。こんな風に知覚できる観測者はいないはず。
こうじのSAN値はゼロブログ用

もうやめて沙耶!とっくに耕司のSAN値はゼロよ!

テーマ:エロゲ - ジャンル:ゲーム

  1. 2011/03/31(木) 15:54:21|
  2. ゲーム

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