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同人漫画サークル

映画「相棒-劇場版Ⅱ-警視庁占拠!特命係の一番長い夜」感想

相棒 劇場版II オリジナル・サウンドトラック相棒 劇場版II オリジナル・サウンドトラック
(2010/12/22)
池頼広、水谷豊 他

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【あらすじ】
警視庁で、部長幹部12人を人質にした篭城事件が発生する。
犯人である元警視庁所属の刑事・八重樫哲也の要求は不明である。
その直前、八重樫の手から女性警視庁職員・朝比奈圭子を救った神戸尊は、杉下右京に報告、事件を察知するが、中園参事官が指揮を執る(?)捜査本部は、強行突入を決行することに。
突入には反対する右京だったが…。

【途中までネタバレなし感想】
上層部が皆人質になってしまうので、てるお(中園参事官)が実質トップになってしまいます。
てるおの肩にのしかかる重圧!浮ついてろくに実のある活躍のできないてるお、上司と部下に対して態度を変えるてるおがコミカルで笑えました。

最初の方の場面も、後から思えば、全く違うものとして受け取れるのですから面白いです。
思い込みや先入観というのは、真実を捻じ曲げます。

神戸くんと大河内監察官(ラムネの人)は、序盤から対のように描かれています。ある時は親しく行動を共にし、ある時は意見の相違からぶつかりあいます。

予告を見た時点では、この篭城事件を上映時間いっぱいまでやり、特命係が解決しておしまいなのかと予想していましたが、違いました。かなり早く立てこもり場面が終了するので驚きました。
しかし、物語は、むしろ事件後から始まるのです。
犯人の動機は不明ですし、人質幹部達の言動もどこか不自然です。
この件には大きな裏がある…そう感じはするものの、最初は何がなにやら想像できませんでした。

正義と悪、被害者と加害者というのは、単純な対立項としては説明しきれない、そんなお話でした。
一人の人間がその両方を行き来することは当たり前に起こります。また、一つの事象をどの視点から見るかで立場は変化するのです。

右京さんのアクティブな動きが面白かわいかったです。
一見クールですましている神戸くんですが、内面の熱さが表出する場面もあり、彼なりの信念を感じます。

さりげない伏線の回収が上手でした。
真犯人探しのミステリーとしてよく出来ていますし、人間ドラマとしても丁寧なつくりです。
トリックや、いくつかの嘘も面白かったです。

篭城事件に関連したとあるデータファイルが警視庁、警察庁全体に関わる鍵になります。
その中には何が入っているのか、観客には途中まで分からないようになっています。それを知った所で、どう使うのかも予想外でした。
各人の思惑も、キーアイテムの持つ意味も、二重三重に絡み合う構造で、それでいて順番に解きほぐされていくのでさほど混乱しないで済みました。

巨大権力の闇を暴くことはできるのか。

あまりにネタバレ厳禁なお話過ぎて、劇場ホールを出たら一言も話せないという状態でした。ロビーにまだ見てない人が次の回を待ってますから。

この映画は、単体作品としてまとまってますので、普段のTVドラマ版や劇場版第一弾を未見の方でもお楽しみいただける内容かと思います。

カメラを通した色合いと言いますか、照明、撮り方などがいい具合にシックで適度な重厚感がありました。
爆破も火力抜群で本格的です。

【以下、ネタバレあり感想】








右京さんが、ビル外壁を降りていって篭城場面を写真撮影するのは、無茶で面白かったです。
縄を持たされた人たち、大慌て&ヘトヘトですよ。
シリアスなお話ながら、ちょくちょく笑える破天荒な場面があってよかったです。

ラムネ大河内のワインは、神戸くんが八重樫から圭子を引き離した時に割れました。
このエレベーターの場面、なんでこんなにゆっくりなスローモーションなんだろうとは思っていましたが、後になって、実は、八重樫は、篭城についてこようとした(そして影の司令官に復讐しようとしていた)圭子を守る為わざと神戸くんに助けさせたのだということが判明し、なるほど、あの時の圭子と八重樫の表情は、怯える被害者と残忍な犯人のそれではなかったのか!とかなりハッとさせられました。

圭子は、爆死した婚約者・磯村英吾にも、立てこもり事件で死亡した八重樫にも、背中を押され助けられていたのです。ここ感動しました。
特命課が彼女の凶行を未然に防いでいなかったら、二人の男の死に際の願いがムダになっていたのかもしれません。

圭子がかなり曲者なポジションでしたね。悲劇のヒロインでもありますが、同時に、復讐の為に嘘を重ねて事件の混乱を招いている部分もありました。
被害者ではありますし、彼女なりの正義に基づいて行動しているのですが、もし殺人をしていたら法的倫理的に悪だし加害者になっている所でした。…篭城事件の共犯者という時点で既に、完全な善人ではないんですけど。
この映画には、一言で完全に正義と言えるキャラクターがいたかどうか。
しいて言えば、特命の二人は、真実を突き止めるため、人を救うため動いていたあたりが正義っぽいのですが、時として、真相を暴くことは、多くの損害を引き起こしたり、誰かをより深く傷つけたりすることに繋がることもありますからね。

篭城事件が強行突入の末、犯人死亡という結末を迎えたのには、映画開始早々びっくりでした。
え!?この人もう退場!?結局、何がしたかったか分からん!と。
人質が犯人ともみ合った際、犯人の銃が暴発したとのこと。では、一体誰が犯人を撃ったのか。
「私が撃ったということでいいですよ。引き金に指が触れたと思うし。」などと、やる気なく名乗り出る幹部、長谷川副総監。正当防衛ということで片付けようとする警視庁。
警視庁で起こった元警視庁刑事による現職幹部を人質に篭城した事件の決着がこれでいいのか!?どこか、おかしい。何が?と言われれば分からないけど…!と思いつつ見ていたら、物語は、7年前(だと思う)の事件に遡りました。

覚えている範囲でネタバレあらすじを書きます。ミスリード用嘘情報もまんま書きます。時系列は若干前後、重複します。

7年前、イスラム過激派系のチャイナマフィアが来日する米国要人暗殺を企てているという情報が集まる→圭子と婚約者・英吾の所属する公安部(海外担当っぽい)がチャイナマフィアの乗っている船で一斉検挙の(?)作戦中、何故か八重樫刑事が単独突入、暴行を受ける→元警察学校の仲間として助けに行く圭子と英吾→英吾爆死→それから7年後→八重樫は圭子を利用して警視庁内部に入る(圭子は、婚約者を死なせた元凶である八重樫を憎んでいたが、八重樫があやまりたいというから出てきてしまった)→八重樫は圭子を脅してエレベーターを上り、各階に発炎筒を置いた→偶然エレベーターで鉢合わせた神戸は、八重樫が圭子を銃で脅していることに気づき圭子を助ける→八重樫は会議中の幹部を人質に篭城事件を起こす→中園参事官がトップになるがアワアワしている→てるお、会議室に電話かけるも実際人が出ると「出た!」とびびって他の人に受話器を渡す→なんだかんだでヘリが会議室を照らす中発砲音→強行突入してみたら犯人が死亡していた→銃を撃ったのは長谷川ってことだけど、監察の事情聴取ではセーリング部の仲間とつるんで口裏合わせているようだし、他の人質幹部も犯人が会議室で何を要求したのかはっきり言わない→篭城犯八重樫の家にイレズミの男の写真→八重樫はそのイレズミ男・チャイニーズマフィアのなんとか(名前失念)を捜査していてあの日船にいたらしい→イレズミ男について中華街で聞き込みする特命係→ピンチ→実はそのイレズミ男は警察庁の影の管理官が送り込んだ工作員的なものだった→そもそもチャイナマフィアはイスラム過激派とはなんら繋がりがなかったし、米国要人暗殺の計画なんてものもなかった→それは影の管理官のでっちあげた事件だった→それに乗せられた当時の公安課が架空の実績を挙げるため(?)あの日マフィアの集まる船で大捕り物しようとしたのだ(公安の予算が削られないように)→結果、英吾が殉職。イレズミ男も爆発に巻き込まれ意識不明→影の管理官的には、警視庁から死者や怪我人がでるかもしれないことは想定済みだった→実は、あの日英吾が独断で船内の八重樫を助けに行ったのではなく、圭子が八重樫を助けるよう頼んでいた→圭子と八重樫は英吾の墓参りで再会→八重樫はイレズミ男を引き取り看病。目を覚ませば影の管理官について聞きだせると思ったから。→圭子と八重樫は、資料を調べ上げて告発文を作成、部長幹部達に送付。→幹部全員告発文を握りつぶす→八重樫は圭子と協力して篭城事件を起こす→圭子は、八重樫が発炎筒を置く間エレベーターの中でボタンを押して待っていた→八重樫は神戸に圭子を託し篭城事件を起こし死亡→事件当時の会議室の音声は、小野田官房長の部下、丸山が仕掛けた盗聴器で保存されていた→そこに記録された内容を利用して警察庁(警視庁のお隣?)を警察「庁」から警察「省」に引き上げる為の刷新案を提示する→篭城事件が起こった時の会議事体、小野田の計画(自分らのトップが国会議員になる)を快く思わない者達による反対集会だった→小野田は部長幹部を総入れ替えしようとした→ノンキャリアの星・三宅生活安全部長は、降格とか超不満。→八重樫の隠れ家を突き止めた特命課と鑑識米沢は、そこでイレズミ男の死体を発見する。そして神戸は相変わらず死体が苦手だった。→米沢は何者かに殴られその隙にイレズミ男の死体はどこかに消えてしまう→警察庁的には篭城事件は警視庁内部だけで終わらせたいので、小野田の命を受けた(?)監察官大河内は、盗聴データと引き換えに圭子に嘘の証言をさせる。→真相を(ある程度)知っている神戸には、そんなデタラメありえないとムカムカだった。→神戸は作中2回ラムネ大河内の車の前に二回立ちはだかっている。激しい感情むき出しで大河内の正義を問う。→大河内は、篭城事件を撮影した右京のデジカメを返す時(?)一緒に盗聴データも寄越した。→聴いてみると、篭城犯人八重樫が、誰が影の管理官だ!自分から名乗ったらどうだ!と事件の本質に関わる質問をしている。さらに、貧乏ゆすり的なイライラした足音が入っていた。人質のものである。→それより少し前(盗聴データにより?)影の管理官の正体が、長谷川服装間であると知った圭子は、彼を銃で撃ち殺そうとして特命係に止められ、二人の男が命がけで自分を守った事を知る→長谷川が影の管理官であるにしても、物的証拠がない。→盗聴データに入っていた靴音はモールス信号になっていた。踏む音と横に擦る音の組み合わせを利用。セーリング仲間である幹部3人は、それで意思疎通が出来た。→モールス信号で、一人が八重樫の気を引くための仮病を演じ、もう一人がタイミングよく飛び掛り、長谷川が撃つ、という計画を伝達していたのだった。→しかし、盗聴ではまだ証拠として甘いらしい。証人がいない。→小野田官房長は、「絶対的な正義があるなんて思ってるわけ?正義なんて立場で変わるでしょ?」と言う。→車に向かう小野田官房長は、駐車場の影から飛び出してきた三宅生活安全部長にナイフで刺される→三宅は、自分のエリート幹部としての人生を滅茶苦茶にした小野田が憎かったのだ→白いハンカチを血で染めながら小野田の名前を叫ぶ右京→小野田死去→右京は、事件の真相、つまり、影の管理官が公安の権威を守る為に7年前の事件を仕組み、さらに真相に近づきすぎた八重樫を正当防衛に見せかけて口封じの為殺害したという事柄を明らかにすることが小野田部長へのお別れだと言う→三宅は、もう幹部の椅子に戻れないし色々諦めぶっちゃけているので、会議室で行われた会話について全部話してくれるだろう、というような所で終わり。

小野田官房長ーーーーーーーーーーー!!!
映画予告で右京さんが絶叫するシーンを見て、「ああ、こういう予告やるからには、一見小野田官房長がピンチになるけど、結局助かるんでしょ?」とたかをくくっていました。
まさか本当にお亡くなりになるとは!葬式のシーンが流れた時、何が起こったのか一瞬分からなくて頭が真っ白になりました。
小野田さんは、善とも悪とも取れる、底知れない存在感のある魅力的な人物でしたね。
最後に右京さんに言い残した「殺されるなら、おまえにだと思ってたよ」には、ライバル萌えの極地を見た思いです。極地というだけあって極寒ですが、だからこそ萌えもします。

これから先テレビドラマシリーズにも小野田さん出てこないんですね。
小野田さん(神輿を担ぐ人)が亡くなった事で人事刷新案が白紙に戻ったようですから、内村部長と、その腰巾着的マスコットキャラクターてるおは、今後も同じような役職でいられるんですかね。

てるおのお辞儀の角度に笑いました。内村部長は、てるおとは違い、誰に対しても不遜な態度で、ある意味一貫した男気を感じなくもなかったです。

エレベーターから発炎筒設置位置まで走って行って戻ってこれるかという実験の時の、神戸くんの手を引いて走る右京さんが面白かったです。
ビルから降りる準備中の窓枠の縁にぴょいんと飛び乗る右京さんも笑えました。

警察学校同期三人組は深い絆と愛で結ばれていたようです。

一番の黒幕は、篭城事件の人質、つまり被害者でもあった長谷川副総監ということになります。
彼は7年前、自作自演の事件で刑事の殉職を引き起こし、さらに今回、故意の殺人もしています。限りなく悪役に近いわけですが、長谷川の「公安が力を持たずして誰が日本国民を守るというのだ。公安の予算が削られるわけにはいかないだろう?」という信念に偽りはなく、その点では正義と言えなくもないです。捨て駒刑事を国民の一人としてカウントしていない所や、やり方に人道的な問題は多々ありますが。

冒頭、何故か剣道の稽古をしシャワーを浴びるラムネ大河内と神戸くん。これは、サービスカットですか?いきなりなんだこの画はwwwと思いました。
この先、大河内が神戸くんに惚れても驚かないです。車の前に立ちはだかる神戸くんは間違いなくかっこよかったですし、大河内の心を揺さぶりましたから。

ドラマは飛び飛びでしか見ていないのですが、小野田さんの所の優秀眼鏡・丸山は初登場ですか?いきなり自首、そして逮捕。彼は、小野田さんの役に立ち、自分の有能さを証明できさえすれオールオッケーな人なんでしょうか。

ところで消えたイレズミ男の死体はどこに行ったんですかね。長谷川副総監周りの勢力が片付けちゃったんでしょうか。死体から何か読み取られると困るから。
篭城した八重樫は、会議室で影の管理官を突き止めていたとしてどんな行動に出るつもりだったのでしょうか。
即射殺でもしたのか、それとも、管理官の所業を公の下に晒すべくなにか策略があったか。
彼が死んでしまった今、知る術はありません。…と思ったら、協力者の圭子は存命ですから、八重樫から事前に何か聞いていたのかもしれませんね。

暇課長こと角田課長の希望の星だった三宅部長があんなことに…。

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/01/16(日) 02:21:41|
  2. 映画感想

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