野良箱

同人漫画サークル

古川日出男「僕たちは歩かない」

僕たちは歩かない (角川文庫)僕たちは歩かない (角川文庫)
(2009/11/25)
古川 日出男

商品詳細を見る

【あらすじ】
若き料理人達は、一日が26時間ある東京で定期的に集い、互いの料理の腕を磨くことになった。

【途中まで、ネタバレなし感想】
26時間制の東京に行く方法や、その異世界に気づいたきっかけは各人違うのですが、読んでいると、自分もふとそちらの世界に行けそうな気がしてきました。
日常のすぐ隣、ほんの少しずれた所に見えないもう一つの世界があるといった感じです。

今回は、料理人の集まりを描いていましたが、他の職業の人達も26時間制の東京に行けているようです。

通常より2時間多い世界があったとして、どのように過ごせば有意義なのでしょうか。自分なら、つい、寝たりネットしたりして無駄にしてしまいそうです。

作中登場するグルメな画家が、通常の東京と、26時間制の東京以外の別の東京も知っているようです。

ホリミナという女の子キャラクターが、26時間制の東京を発見したきっかけは、視界の端の信号機が赤の次に一瞬黄色になったことでした。
赤から一瞬黄色、そしてまた赤、というのは実際にもありますね。右折矢印信号の出ている時などに。

【以下、ネタバレあり感想】

ホリミナは、死んでしまいます。
視界の端に気を取られすぎて事故に遭ったのです。

そこから、研究会のメンバーで冥界に行くという展開になります。
あの世が東京の地下にあって、電車や自転車を特殊な方法で乗り継げば行ける、というのが面白かったです。
地面に脚をついてはいけないというルールで、次々と研究会の仲間が脱落していくわけですが、彼らは死んだのではなく、現世に送り返されたと考えてよいのでしょうか。

食事をするのは生きている人、地上には厨房があり冥界にはない。
そういう意味で、主人公達は料理人という設定だったのですね。
野心をかなえるのも、人々に料理を振舞うのも、生きていなければできません。

ホリミナには、皆が冥界まで自分を取り戻そうと来てくれたという気持ちだけで十分だったようです。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/09/12(日) 12:05:38|
  2. 読書感想文(小説)

FC2Ad