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COMICエルオー2010年10月号 町田ひらく「蜜葬」が酷くて面白い

LO (エルオー) 2010年 10月号 [雑誌]LO (エルオー) 2010年 10月号 [雑誌]
(2010/08/21)
不明

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今月のLOに載っていた、町田ひらく先生の読みきり「蜜葬」が、大変気に入り何度も読んでおります。
この漫画も、雑誌自体も成年向けですのでご注意下さい。

物語は、塾講師男性が病死し、その葬儀が営まれる所から始まります。
両親が亡き息子の事を良い人間だと思い込んでいる所や、葬儀司会が「歴史・哲学を修める一方で漫画・アニメなどサークル活動等で現代文化の見聞を広められ―」と言うあたり等が、大変痛々しいです。
別に彼の両親が妄信的な親バカと言うわけではありません。ごく普通の真面目な人達なんです。それが読んでておおぅ、となります。
故人が、漫研やアニ研の類に所属したり同人活動をしていただろうことも、葬儀の場で功績のように紹介するときは、こういう文章になるんでしょうね、という感じがまたおぅふ。
NHKでコミケを紹介するニュースと似たトーンと言いますか…。

葬儀に参加している少女のモノローグで判明するのですが、その先生は、少女に熱を上げ、手を出してました。
児童にワイセツ行為をした性犯罪者ですね。

司会の「持ち前の熱心さで生徒の信も厚く」のコマで実際生徒が泣いているので、表の顔は良い先生だったのかもしれません。

留年休学の末ギリで大学を出て、親の営む学習塾の先生になったロリコンアニオタ、というなんともリアルに駄目な感じのその男は、膵臓の病気で若くして他界しました。

あおり文には、

“僕達は、確実に死ぬ。いつか。”…ならば、町田ひらく的少女に看取られて死にたいと願うファンの方々に送る、真夏のレクイエム。

「喪服小学生を覗き見る視線はまるで死人のよう。」葬式でこう思ったことはありませんか?

と書かれています。

【以下、ネタバレあり感想】

死に際の先生は、朦朧とした意識の中で少女の名前を呼び、「もっとしたい セッ」まで言いますが、少女が「ダメだよ死んじゃダメ せんせいの教え方好きだし ――」と言ういかにも先生を尊敬する子供らしいセリフでかき消します。
それにより、故人の名誉は守られました。
両親は、彼を良い息子だったと信じ続けることでしょう。

少女はなぜ男の要求に応じ、そして、彼の秘密を守り続けたのでしょう。
先生のことが好きだったわけではないので、彼の為ではなく、彼を信じる多くの生徒や親類を傷つけない為に空気を読んだのですかね。それとも、自分自身が性犯罪被害者であることを隠したくて…?
少女は、皆が幸せな、当たり障りない世界に波風を立てないために犠牲になったように見えます。(息子を亡くした両親は不幸ですが、真実を知るよりはずっとましです。)

そもそも被害者だという自覚があるのかも謎です。
この少女は、何を考えているのか。
先生が心底嫌いで彼の破滅を望むなら、全て暴露することも可能なのです。その場合、死人に鞭打つことになりますが。

死に行く男には、少女の声は聞こえたのでしょうか。
少女は病室で「死んじゃダメ」と言いつつ、内心「早く死ね」と思っていたのでした。
本心だけ伝わったということも、ありえなくもないです。男は、その直後死んだわけですし。

少女と体を重ね、少女を愛するための一人暮らしを夢見ながら(愛する=セックルという発想がもうダメすぎる)、少女に看取られて死に、しかも、罪は暴かれない。
ロリコン的に、この死に方は幸せなんでしょうか。
よそ様のブログには、「自分は町田ひらく的少女に看取られて死ぬのは嫌だw」というようなことを書かれていました。
塾講師、少女からは愛されてませんからね。しかも、まだまだ足りないと渇望しながら死んでいったのです。少女に死を願われながら。傍から見てると悲惨ですね。

LOは、成年誌なのでエロス目的で使用するのが普通かと思いますが、世のロリコン男性は、このようなションボリな漫画でも頑張れるんでしょうか。
背徳感や不謹慎感がイイ!みたいな猛者も?

最後、携帯画面に映った男性の局部を遺影に見立てていたり、合掌の時にも男性器のイメージを挿入するなど、面白くてインパクトのある、いい意味で悪趣味な構成となっていました。

携帯画像を消去することは、どういう意味を持つのでしょう。
罪の証拠は、なくなります。
同時に、少女の中で区切りがつくのではないでしょうか。一連の行為は終わったことだと。
画像が無くなることは、彼がもうここにはいない、ということも強く感じさせてくれます。
それが弔いのようでもあり、一方で、少女が「やっと死んでくれた、アイツきもいんだよね。」とも思ってそうな、そんな終わり方でした。

もはや、顔よりも性器の方が、先生の存在を象徴しちゃってる感すらあります。

最初「密葬」というタイトルかと思っていましたが、「密」じゃなくて「蜜」(みつ)という字が当てられているんですね。
おそらく、冒頭の正式な葬儀ではなく、最後に少女が一人で行ったプチ葬式を表しているんでしょうね。もしくは、死を看取とる所から画像を消去するまでの一連の流れを。

テーマ:漫画の感想 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2010/09/01(水) 05:57:09|
  2. 読書感想文(漫画)

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