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同人漫画サークル

万城目学「鴨川ホルモー」(原作小説)感想

鴨川ホルモー (角川文庫)鴨川ホルモー (角川文庫)
(2009/02/25)
万城目 学

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【あらすじ】
京都大学新入生の安倍は、友人の高村とともに「京大青竜会」なる謎のサークルに勧誘される。
コンパで早良京子の鼻に一目ぼれした安倍は、そのままサークル活動に顔を出し続けた。
一見普通の野外活動をする「京大青竜会」だったが、ある日、組織の本当の目的と「ホルモー」なる競技の存在を知ることになる。

【途中までネタバレなし感想】
「若者が変わったスポーツをする話らしい」というあやふやな事前情報のみで買いました。

主人公の安倍が、さだまさしファンで、さださんのことを「まさし」と呼ぶのが面白かったです。

メイン、もしくは、サブのヒロインが、凡ちゃんこと楠木ふみという女の子なんですけど、大変萌えキャラでした。ライトノベルやアニメのキャラクターのようです。それにしては、見た目がモサいですが。
無口クール眼鏡少女ということで、セリフが長門有希の声で脳内再生されました。属性的には「素直クール」に近い何かかもしれません。

主人公サイドは、非モテダサキャラが多くそちらに感情移入するように書かれていたと思います。
一方、リア充な上に若干性格に難のあるキャラクター達もいて、対照的です。
どちらのグループにも、ホルモーの才能に長けた人物がいて、それらがぶつかり合うのが面白かったです。
三国志や日本の戦国武将になぞらえてある部分もあるので、そういうのが好きな人にはイメージしやすい戦いになっていると思います。私は存じませんが。「死せる孔明~」は聞いたことあります。

「ホルモー」という架空の競技を題材にはしていますが、若者の普遍的な葛藤が独創的に描かれていて、面白かったです。

【以下、ネタバレあり感想】

四条烏丸交差点の会、良いですね。まだ、ホルモーがなんだか分かってない状態でしたが、四大学の学生が揃いの色の着物を着て交差点に集結って所がワクワクしました。

オニ語を練習している時もレナウン踊りをしている時も、現実の域を出ない、ちょっと変な人達の話、くらいに思っていました。
が、まさか、本当にオニが存在してそれを見たり操ったりできるとはかなり予想外でした。

非リアル要素バリバリの陰陽師モチーフ和風ファンタジーでした。

以前、何かのコンピューターゲームでホルモーと似たシステムのものがありました。
兵隊のフォーメーションや作戦スタイルを随時変えつつ、群集VS群集の戦いをシミュレートするのです。

片思いの女を、自分のコンプを刺激するような別の男に取られたからと言って、その男と同じチームでやっていけない、と第十七条を発動、4大学のホルモーサークルをニ分割させてしまう。しかも、その理由を己のプライドの為周囲に明かさない。なんて自分勝手なやつなんだ、安倍は!と途中までは思っていたのですが、安倍もそれを自覚したらしく、かっこよく目覚めていったので、応援できました。

鼻の綺麗な相良さんは、恋愛中周りが見えなくなるタイプのようで、あてつけに恋人ではない男の家に泊まるとか色々やらかしてしまっています。
元カノと縁の切れないこれまた恋愛体質の芦屋とはお似合いだと思います。

「ホルモオオオオーー」という叫びは、鬼を全滅させた敗者に恥をかかせるための罰ではなく、プレイヤーをゲームから開放させるための安全装置だった、というのは面白い設定でした。

ホルモーのルールで、直接オニの使役者に接触してはいけないというのがあって、いずれこれを生かした展開しそうだ、とは予想はしていましたが、敵同士である安倍が(ホルモーを言わないように堪えている)芦屋を救う為に体に触れるとは思ってませんでした。その直前には気づきましたけど。

勝負に勝ったが試合には負けた安倍は、一番大事にしているものを失いました。それは、鼻への執着です。
てっきり、さだまさしの音楽を好きでなくなるんじゃないか、と思っていたのでほっとしました。

テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2010/08/21(土) 16:59:43|
  2. 読書感想文(小説)

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