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同人漫画サークル

スティーヴン・キャネル「マフィアをはめろ!(原題:King Con)」

マフィアをはめろ! (SHOGAKUKAN MYSTERY)マフィアをはめろ! (SHOGAKUKAN MYSTERY)
(2002/07)
スティーヴン キャネル

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【あらすじ】
詐欺王(キング・コン)のビーノは、カードでイカサマしたあと、駐車場でギャングのボス、ジョー・リーナにゴルフ・クラブでボコボコにされた。
一命は取り留めたが、ジョー・リーナは、ビーノを仕留める為に殺し屋を雇ったらしい。ビーノは、病院を抜け出す。
一方、女性検事ヴィトリア・ハートは、ジョー・リーナを駐車場での暴行罪で有罪にするべく、目撃証人キャロル・セズニックという女性看護士をかくまっていた。
しかし、キャロルは、ジョー・リーナの兄であるトミー・リーナ一派に殺害されてしまう。
キャロル・セズニックは、ビーノの愛するいとこであり、ヴィクトリア・ハートの友達であった。
二人は、詐欺でリーナ兄弟に復讐することにする。

【ネタバレなし感想】
開始早々ヴァイオレンスなお話です。
スラングや罵倒語が沢山出てきます。
暴力、犯罪、麻薬などの描写度合いから言ってR-15くらいの内容でしょうか。

ビーノの一族、ベイツ家は、ほぼ全員がイカサマやインチキ、屋根の葺き替え詐欺などに携わっています。
ビーノの行う詐欺は、実に多種多様で、それを見ているだけでも楽しかったです。

石油詐欺、経済詐欺、お犬様作戦(犬を血統のよいものに見せかける)、宝石詐欺、財布落とし、証券詐欺、なりすまし、ペーパー企業の悪用、文書偽造、名簿の一部書き換えなど。

カジノでのイカサマだけでも色んなな方法があるのですね。
作者がどれほど取材したのか、また、どこまでが現実にも行われていることなのかわかりませんが興味深かったです。

複数人で詐欺をする時の役割分担にも独特の専門用語が出てきます。
登場人物が皆、演技派です。

堅物検事のヴィクトリアも、他人を演じ、人を騙すスリルにはまっていきます。

橋や会社を騙して売りつけるってすごいですね。

「手放すことで獲得し、引き算で足し算をして、割り算で掛け算をする」という逆説的な言葉が出てきます。
確かに、まずは一見損な手を打ちます。しかも本当に身銭を切ります。
しかし、最終的には、こちらが儲けるように上手く相手を誘導するのです。人の欲につけ込むのが上手いです。

ビーノの飼い犬ロジャーは、大変賢く、詐欺行為を強力にサポートしてくれます。
この犬、どうか最後まで無事であってくれ、と祈りながら読み進めていましたが、途中で、銃弾を浴びてしまいました。Oh…。

知的詐欺が多いので、難解な部分もありますが、それらしい口実として読み飛ばしても問題はないかと思います。

サイコロの細工に使った、セロファン・ガスなる物質は実在するんですかね。ネット検索した所、なさそうでしたけど。

詐欺のメインターゲットは、マフィアのドンの兄、トミー・リーナです。
彼を騙して金を巻き上げ、その上、弟ジョー・リーナからの信頼をなくさせます。
リーナ兄弟を仲違いさせるのが目的です。
そうすることで、兄トミー・リーナに、弟の裁判で不利な証言をさせるのです。

トミー・リーナは、狂った暴力的な男で、キレたら手を付けられません。その上、極度の女好きです。
大変嫌な奴なので、早く騙されて欲しいと思うと同時に、弟にボスの座を取られて当たり前だと割り切っているはずこの人生、周りから弟に劣ると扱われ、当の弟にも呆れられているこの現状を、汚名返上とばかりに頑張っている姿がかわいそうでもありました。その想いが強まるほど、ビーノサイドの詐欺に、はまっていくのです。
終盤のトミーからは、「弟よ、兄ちゃんだってこんなに自分ひとりで金を儲けられるんだぜ。」「褒めて欲しい、認めて欲しい」といった気持ちを感じ、哀れでした。
それに大して弟ジョーが全く取り合わないで怒っている所も悲惨です。冷静で正しいのはジョーなんですけど。

終わり方が綺麗でした。キャロルの弔い戦だったと考えれば、ベストな選択をしたと思います。

テーマ:読んだ本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2010/08/08(日) 09:58:12|
  2. 読書感想文(小説)

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