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映画「ファンボーイズ」(Fanboys)感想

ファンボーイズ [DVD]ファンボーイズ [DVD]
(2010/05/12)
サム・ハンティントン

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【あらすじ】
熱狂的なスターウォーズファンの青年達は、末期がんでエピソード1まで生きられない友達の為、彼を連れてカリフォルニアまで長旅をし、映画制作の本拠地スカイウォーカー・ランチに侵入、公開前のフィルムを手に入れようとする。
行く手を阻むバイカー酒場、トレッカー(スタートレックファン)、コールガール…。
スカイウォーカーランチの厳重な警備をかいくぐり、彼らは友達にエピソード1を見せる事ができるのか。

【途中までネタバレなし感想】
日本でのレンタルはTSUTAYA独占だそうです。どうりで、ゲオには置いてなかったわけです。

これはとても面白かったですよ。
ちょいとお下品なのでファミリーで見るのには向いてませんが、気の合う仲間や一人で見るのに超オススメです。
ニコニコ動画なら「謎の感動」タグが付きそうな話で、一番笑えるセリフが、一番泣けるセリフでもあるという感じです。
「謎の」って言うと失礼かもしれませんね。「順当に」全力で、すばらしい展開なんですよ。よく出来ているし勢いもある。

ずっとシリアスで泣きもあるって言う映画より、笑いで涙腺緩んでる所に来るあの雰囲気の方が破壊力があります。

周囲から奇異に見られても、どんなにバカバカしくても、何かを好きであるってことはすごく重要で美しいことなんですね。
好きで居続けるのだって大変ですし才能が要ります。

アホなストーリーでありながら、子供時代からの夢を継続して適えようとする事、友情、青春、情熱、など、えらくまっとうなメッセージも沢山詰まっている大傑作です。

仲間の一人は、少しメンバーから距離を置いて就職し、父親から会社を任されそうになっています。
そのシーンで、父親が帽子を預けてきたと思うんですけど、帽子っていうのは何を象徴しているんでしょうか。
前々から、フィクションにおける父性と帽子の関係が気になっていたのです。
父親から息子へ受け渡すというのは、作話術の基本なのか、心理学上の意味があるのか、マナーや伝統なのか。
帽子は、「父親」ではなく、「権力」や「一人前の男であることの証」なのかもしれませんね。

その会社員の彼は、もうスターウォーズファンから足洗って一般ピープルになってる風だったんですけど、何かの言葉をきっかけに熱いスターウォーズ談義になった時、興奮してマニアックなことを沢山口走っていたんですよ。
それを見て、まだ性根はオタクのままなんだな、かわいいな、と和みました。
元コミック作家志望者だけに、絵がとても上手いです。

なぜにそんなにトレッカー(トレッキーは俗称らしい?)を敵視するのか、その対決っぷりが面白かったです。
しかも、互いの作品のアンチにも関わらず、それぞれの作品について詳しいのが笑えます。
「スターウォーズ命でスタートレックなんて見もしない」のかと思いきや、スタートレックのキャラクターやエピソードを知ってるんですよ。

私は、スターウォーズもスタートレックもまともに見たことなくて、まったく2作品の知識がありません。
この映画のあちらこちらにスターウォーズとスタートレックのネタがちりばめられているらしいのですが、それは分かりませんでした。
だけど十分楽しかったので、ファンの方が見たら、もっと面白いと思います。

【以下、ネタバレあり感想】

最後らへんになると、もうライトセイバーもってるコスプレの人見ただけで泣けてきましたよ。映画待ち行列の。

「こんなのただの映画だ。だが俺たちにとってはただの映画じゃない。普通の人が、バケツをかぶってダースベイダーごっこをするか?右手をレイア姫と言うか?俺なんて両手がレイア姫だぜ」
こんな下品でアホなセリフに涙してしまうとは…。

ロン毛で太った彼が、睾丸を片方失っている、というのは、物語にどう意味をもたらすのでしょうか。
子供の頃ライトセイバーで遊んだ時に怪我したらしいです。
文字通り体の一部を欠損させてまで、その対価足りうる愛をスターウォーズに注いでいるってことですかね。
彼がストリップした際、片方がないため、ゲイのバイカー達に気持ち悪がられます。
ゲイの人だって社会的マイノリティなのに、彼らに笑われるならともかく、ガチで引かれているという状況。
これも、熱烈なスターウォーズファンであることの業の深さを物語っているのでしょうか。

女医か看護士が、がんの青年の退院を許した場面、女神に見えました。
「3時間に2錠飲むのよ」
医者としては絶対安静を命じたい所なんでしょうが、彼らの情熱と友情に折れた形なんですかね。

加速装置とか、フォースの力で女脱がすとか、隣の車の女がブラジャー見せてくれたことに長時間興奮し続けるとか大変バカでした。

エピソード1の出来とかもうどうでもいいという状態ですね。そりゃちょっとは心配ですけど。
がんの青年だけ、一足先に新作を見られました。

がん青年は、旅を通して、心の離れていた友達と復縁します。
彼らは、スターウォーズの映像技術を妄信的に絶賛している信者かと思いきや、じつは、あのハリボテ感やチャチな所を含めて愛していたのですね。
それは、人間は完璧な存在ではないし、欠点がつきものだ、ということともリンクし、友情ってすばらしいわーーーー!仲直りして良かった!!最期にこんな幸せな光景が見られてホントよかったねーーーー!と大満足な終わり方でした。

ラスト付近の焚き火かなんかの場面でがんの彼は本当に死んだわけではないのかもしれませんが、彼にとっては、今が永遠になればいい、という思いでいっぱいだったでしょう。

あらすじに末期がんの文字がある時点で悲壮感があるわけですが、その割に見てる間も、鑑賞後もとても明るい気持ちでいられるんですよ。
こういう感覚になれる作品には、滅多に出会えないですよ。

コミック作家志望者は、本出せたみたいですね。それを貶したのもサイン書かせたのもトレッカーですかね?(ここら辺確証持ててません。スタートレック知ってる人なら、衣装で一発で分かるんでしょうけど。)
ファンボーイズは、トレッカーのリーダーとも良き友達になったようです。リーダー的には、彼の漫画の出来がよかったから認めてやるって感じですか?
ライバルキャラと仲間になるっていう王道の展開が熱いです。

テーマ:見た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/06/25(金) 00:09:20|
  2. 映画感想

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