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同人漫画サークル

三雲岳斗「少女ノイズ」

少女ノイズ (光文社文庫)少女ノイズ (光文社文庫)
(2010/04/08)
三雲 岳斗

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【あらすじ】
スカと呼ばれる大学生の高須賀克志(たかすかかつし)は、塾講師として雙羽塾(ふたばじゅく)でアルバイトをすることになった。そして、斎宮瞑(いつきのみやめい)という少女の担当となる。
瞑は、どこにも繋がっていない巨大なヘッドフォンをし、屋上に横たわる死体のような少女だった。
スカは、猟奇殺害現場の写真を撮るのが趣味だった。
二人は、様々な事件に遭遇する。

【途中まで、ネタバレなし感想】
表紙がイラストチックなカバーなので、ライトノベルっぽいと思い、よくラノベを読む人にこれはラノベかと聞いたら、違うのではないかと言われました。
ラノベの定義って難しいですね。
読んだ感じ、ラノベレーベルじゃない出版社で書いた時の、乙一、桜坂洋、西尾維新、舞城王太郎、桜庭一樹、程度のラノベ度合でした。

少女や女性のキャラクター付けは、漫画に近い印象です。

ジャンルは、青春ミステリーだそうで、かなり真面目に推理小説していました。
トリックや動機、犯行状況や真相などが意外でした。

どの事件も、関係者の多くが雙羽塾に在籍しているため、なんて物騒な学習塾だ!!!とは思いました。

登場人物が、普通に「腐肉食動物(スカベンジャー)」とか「天空恐怖症(アストロフォビア)」とか言って会話が成立するのがすごいです。
かなり昔の日本推理小説にも、探偵とその他大勢が、とんでもないハイレベルで会話しているものがありましたが、それに近いものがあります。皆知能高!!っていう。
「少女ノイズ」だと、瞑は飛びぬけて頭がいいという設定なので、その他のキャラはそれほど難しい語彙は使わなかったと思います。

【以下、ネタバレあり感想】

Ⅰ Crumbling Sky
バス停の出現はドラマ撮影の為だったという謎掛けプチミステリーと、主人公スカの恐怖症の起源についての考察パートでした。
なるほど、スカは、子供のころの二つの体験を混ぜてしまったのですね。そこからトラウマのイメージが生まれたという。
バス停が二つ、ということと、体験が二つ、ということが掛かっているかと思います。
瞑の家庭事情もこの章で分かります。
自分を運ばせるお姫様のような少女とそれに従う奴隷のような青年、というモチーフは、ラノベや漫画的だと思います。
死体のような女の子と死体愛好家の気がある殺害現場マニアの男が出会うというのは魅力的です。

Ⅱ四番目の色が散る前に
色になぞらえた連続殺人事件かと思いきや、純粋な殺人は最初だけ。
残り二つは自殺、というお話です。
タイトルは、納戸愛美という第四の犠牲者が出ないように、という意味でした。
愛美が「私が死ななきゃ」と思うよう、第三の犠牲者であり、計画の主犯でもある百瀬朋香が仕向けたのでした。
百瀬は帰国子女なので日本より早く車の運転を習得していた、ということや、百瀬が同性愛者(レズビアン)であること、自殺凶器を受け渡して密室にしていたこと、などがトリックでした。
密室殺人というのは、通常、殺人を自殺に見せかけるためのものらしいですが、裏をかいて本当に自殺でしたね。

ⅢFallen Angel Falls
女性徒二人による自殺未遂があり、生き残った片割れと噂されていた浦澤華菜だが、本当の心中相手は、別の少女・内藤真澄だった。というお話です。
内藤が男装の少女なのは、早めに気づきました。(もしかしたら、別キャラと同一人物かもとも思っていたけど違った)
心中相手に選ばれないのは裏切り、という発想はなかったです。
瞑の「約束して、スカ―あなたが死にたくなった夜には、必ず私を呼びなさい。私を」「裏切ったら許さない…許さないから」というのは、愛の告白でしょうか。
スカが死にたくなったら止めてあげる、という意味ではなく、一緒に死んであげる、という意味なんでしょうね。

Ⅳあなたを見ている
ストーカーだと思っていた男は、本当はお父さんでした。
大那がストーカーした理由はよくわかりませんが、とにかく本当に嫌がらせしていたのは塾講師の女でした。
なんて恐ろしい塾でしょうか。
平木野(小学生にして父になった男)は、腹にナイフが刺さったままバイクで大移動したのですか。娘を傷害犯にしないため頑張りすぎです。すごい根性です。

Ⅴ静かな密室
これは、かなり専門的でメカニカルなトリックでしたね。
瞑の普段しているヘッドフォンとも繋がる消音システム・ノイズキャンセリングシステムの問題でしたし、犯行現場を撮影してしまうスカの癖も生かされたストーリーでした。
犯人は、塾講師の伊藤亜沙子でした。テスト中に講師が別の講師を殺害するとか、なんて嫌な塾でしょうか。
スカが警察に犯人と疑われたのを、瞑がスピーディーに解決するというのは気分がよいですね。
写真部部室が燃えたのは、人為的なもので、多分犯人にとってまずい写真があったんだろうな、というのは予想できましたが、ノイズキャンセリングとか全く思いつきませんでした。
スカと瞑はもう付き合っちゃえばいいんじゃないですか。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/05/28(金) 21:58:33|
  2. 読書感想文(小説)

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