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同人漫画サークル

ティム・バートン/ジョニー・デップ映画「アリス・イン・ワンダーランド」感想

Alice in Wonderland (2010) (Score)Alice in Wonderland (2010) (Score)
(2010/03/03)
Danny Elfman

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【あらすじ】
幼いアリスはいつも不思議な夢を見ていた。
19歳になったアリスは、富豪の集まるパーティーで求婚されたが、答えることができないまま逃げた。
白いウサギを追いかけ兎穴に落ちたアリスは、不思議の世界の迷い込む。

【途中まで、ネタバレなし感想】
エンドロールでもジョニー・デップの名前が最初でしたし、映画ポスターや書籍なども、ジョニー扮するマッド・ハッター(帽子屋)がメインなようです。
なので、マッド・ハッターが主人公の物語なのかもしれないと思っていましたが、見てみたら、アリスが超主人公でした。

萌えというより燃え映画でした。熱血王道ストーリーに変てこな要素が混じってるという感じです。

今までいくつか見たティム×デップ映画は、結構グロ要素があってギャーってなってたんですけど、(理髪師は怖すぎて見てない)今回はそんなにグロくないです。
しいていえば、目はやめてーーーーーー!目はーーーー!No!MORE!針!
あれはCGあれはCGだから誰も痛くないのー!と思ってもビクってなります。
小さき物にとっては最大の攻撃ですけど。

変人やはみだし者へのエール的な何かを受信しました。
また、自分で道を選ぶことの大切さや、運命から逃げないことの力強さ等、まっとうなテーマも描かれていたと思います。

原作小説は、「不思議の国のアリス」(邦訳)しか読んでないのですが、この映画は、「鏡の国のアリス」もミックスされているようです。
「不思議〜」成分としましては、水タバコを吸う青い芋虫(アブソレム)、体の小さくなる薬、体の大きくなるクッキー、ドードー鳥、ヤマネ(眠りねずみ)、赤の女王、フラミンゴと針鼠(?)を使ったゲートボールみたいなやつ、トランプの兵隊、チェシャ猫(ニタニタ笑う消える猫)、三月ウサギ、きちがいお茶会、時計を持った白ウサギ、赤の女王のタルトを盗む、首チョンパの刑に処す くらいですかね。
それと、穴に落ちてすぐ、扉に囲まれた部屋で鍵を取る場面は、かなり原作に忠実な気がします。

ストーリーは、ほとんど別ものです。要素だけを再構築したオリジナルと言っても良いのではないでしょうか。
原作ほど取り止めのないカオスではなく、起承転結がある分かりやすいお話になっていました。

「不思議の国のアリス」(原作)感想はこちらです

「鏡の〜」原作におけるジャバウォック(ジャバウォッキー)とはどういうものなのでしょうか?この映画だと、竜っぽい化け物なんですけど。多分、赤の女王側の生き物です。

アリスが少女ではなく19歳なことにより、新たな世界が広がったと思います。
原作の少女アリスは、「私は誰なの?」「自分が昨日までのアリスなのか分からない」といった感覚になるのですが、この映画では、地下世界で皆から「昔(6〜7歳の時に?)来たアリスじゃない」「違うアリスだ」と言われまくります。また、「あの頃に比べて強くなくなった」とも。
それにより、昔の自分との自己同一性があやふやな感じが面白かったです。

また、不思議の国前後のリアル世界が、原作とは大きく異なります。
大人なので、もう結婚適齢期ですし、子供の時とは違う意味で、現実に決断を迫られる時なのです。
不思議の国に行った事で、リアル世界にどんな影響を及ぼすのか、という話でもあります。

アリスは、不思議の国をずっと「これは私の夢なの。目が覚めたら消えるの。」と言い続け、子供の頃いつもしていたように自分の腕をつねって目覚めようとしますが起きることができません。

コミカルな歌や音楽が面白かったです。

マッドハッターがよく興奮しすぎてわけわからなくなって大声になるんだけど、制止されて小声になるという、プチ発狂が笑えました。

アリスがとても可愛かったです。
大人の女性なんだけど、少女っぽさも十二分に残していて良かったです。
不思議の国に行く前のアリスは、眉毛の濃さを含め存在が希薄な感じがありましたが、穴に落ちてからはぐっと存在感が増し、顔もかわいくなった気がします。
アリスは、すっぴんメイクに近いです。
服装が何パターンもあって楽しかったです。

小さい動物が全体的にかわいかったです。

私が見た劇場では3D上映してなかったので通常版です。
また、字幕で見ました。

人間的キャラ、動物キャラ、全員役者の声が合ってました。実にしっくりきました。

おお!アリスが少女じゃないなんて!アリスのよさの99%が失われるよ!とお嘆きの紳士さんに朗報。
開始1分足らずで幼女登場。

【以下、ネタバレあり感想】

上の感想で、不思議の国以外の場面をリアル世界と書いていますが、不思議の国も夢や非現実ではなさそうです。
ラストのアリスの腕に、不思議の国で付けられた爪痕(3本傷)があったので。
もし、夢だとすると、穴に落ちた時に中の枝ででも引っかいたということになりますが。

マッドハッターは、白の国のパーティー中に街が壊滅する様子を見たんですね。
現在よりまともでカッコイイ長髪をしていました。

犬が他の犬質家族(?)と会えたようでよかったです。わんわんお!(U^ω^) (^ω^U)わんわんお!

白うさぎと針が武器の小さい動物は赤の女王の城に仕えていて、三月うさぎは白の女王側でしたっけ。
犬は、元々白側だったんだけど、今は赤、なんですかね。

赤の女王の所で、剣を守っていたモンスターは、ツンデレというか、ああいう猛獣と美少女に信頼関係や友情が生まれるという展開は熱いです。
アリスが目玉を返してくれたお礼でしょうか。眼球ってそういうもんじゃないから!とツッコミ入れそうになりましたが、ファンタジーなら良くあること。

上でグロくないって書きましたが、体の小さくなる薬の原材料が指とかだったのでやっぱりちょいグロです。

予言の書で描かれていた、ジャバウォックを倒すアリスの絵がよい絵柄でした。
ペン画風でかつ少し動きます。

ポットに入れられたアリスが小さい服に着替えるのですが、マッドハッターがアリスの服を作るのが手早過ぎて笑いました。さすが帽子屋、手先が器用です。

赤の女王のでかい頭を褒めちぎるマッドハッターですが、でかヘッドがコンプレックスの人には逆に嫌味になるんじゃないか、それで打ち首にされるんじゃないかと心配でした。
ジョニー・デップが処刑されそうになるシーンって他の映画でも見ましたよ。

原作読んで、チェシャ猫の体も顔も消えたけど、ニヤニヤ笑いだけが残るってどういう状態だよ!と思ってましたが、今回の映像化でかなりイメージしやすくなりました。
チェシャ猫は毛がもふもふしてて可愛かったです。

3月うさぎは本当に気が狂っていました。食器を白の女王に投げるとか不敬罪的なアレには問われないんでしょうか。

赤の女王の周りの人が、鼻や胸や腹や耳をあえて変形させ、大きいように偽装していたのは何故でしょうか?
赤の女王!頭大きいのなんて気にしないで!みんなどこかしら大きいじゃん?仲間仲間!というアピールや同情なのでしょうか。みんなニセモノだったので、本当に体の一部が大きかったのは赤の女王だけなんですけど。
おう、孤立。一人だけガチコンプレックスだった…。

赤の女王の側にいる黒髪で片目にハートで比較的人間っぽい見た目の男性が、「ハートのジャック」なのですか?
ジャックは、巨大女フェチなんですか?「君のそのでかさたまらない」ってなんですかwwどんな口説き文句だ。

アリスの体の大きさと、状況や心理状態には、何か関連があるのでしょうか。
「小さい扉を通るためには小さくなる必要があった」「ジャックから逃げる為にポットに隠れる必要があった」という、あくまでも必要に迫られての大きさ変更でしたが、ジャバウォックと戦う時にジャストアリスサイズ、丁度よい大きさになった、というのは、自分が、かつてこの不思議な国に来たことのある、本物の強いアリスなのか確信が持てたからだと思います。
まさに等身大の自分。
正確には、そのサイズになった時は戦士になることは決めてませんでしたけど、戦士になり得る大きさにはなったわけです。
実際問題、ジャバウォック倒すのには、体が滅茶苦茶大きい方が都合いいんじゃないか?とも思いましたが、それだとあの伝説の剣を持っても絵になりませんし、なにより鎧が着られません。

ふわふわロングヘアーの金髪少女が剣を持って竜と戦うとか超燃えますね。
階段を駆け上って高い所に行くのも良いです。
それと、アリスが戦うその向こうでトランプの兵隊(赤)とチェスの兵隊(白)が合戦しているのも熱いです。
うっかり「少女」と書きましたが、19歳だともう大人の女性ですかね?
小さくなったアリスが動物の背に乗っているのも勇ましくてかわいかったです。

6つの信じられない事を信じるのが習慣、というアリスが、一つずつ信じられないことを挙げていき、5個目に「ワンダーランド」、6個目で「…私がジャバウォックに勝つ!」→竜の首を一刀両断 とか、もう少年漫画ですよ。ワクワクしました。
6つの〜は、元々アリスのお父さんの習慣だったと思います。
父の遺志と共に竜を倒した感があります。

アリスが勝利したことにより、兵隊達は戦意を喪失し、王冠が赤の女王から白の女王に移動します。
その時、ひょっとして王冠がアリスの頭にのって、このワンダーランドの新女王になってしまうのでは!?
となると、地上には戻れないのか?と思いましたが、そんなことはありませんでした。

白の女王は、あらかじめ言っていたように殺生はしないことにしているので、赤の女王を外の世界(アウトワールドでしたっけ?)に送ることにします。
孤独で仲間のいない世界に送るというのも結構残酷です。
ジャックは、本当は嫌いな赤の女王と手錠で繋がれずっと一緒の刑です。ジャックは、赤の女王を刺し殺そうとしますが、止められ、「俺を殺せ」とわめきます。
最初から自分を刺さない所がどこまでもヘタレです。
普段から戦ってそうな剣士スタイルなのに、ただの帽子屋であるマッドハッターに負けてトドメ刺されそうになってましたし。

英語だと「戦いの場」を「バトルフィールド」って言うんですね。

「カラスと書き物机は何故似てる?」の謎掛けは原作でもありましたが、その答えは、後年いくつか考案されているようです。
ただ、原作には解答が出てきませんし、作者もそれを用意していない説があるようです。

冒頭、幼いアリスが父親に「私は頭がおかしいの?」と問うと、父が「ああ、変だね」と言いました。これは衝撃でした。
普通、親なら「そんなことない、アリスはとてもまともな優しい子だよ」的な事言ってフォローしますよね。なので、我が子になんてこと言うんだ、と思いましたが、その後に続く父のセリフがいいんですよね。
「でも、偉い人はみんな少し頭がおかしいものさ。」(天才はみんな〜、優れた人はみんな〜だったかもしれない。)
アリスは確かに頭がおかしいかもしれないけど、そのまま肯定してくれて、その上、実は過去の偉人達と同じくなんらかの優れた能力をもっているのかもしれない、と思わせてくれるとても素敵な言葉だと思います。
だから、マッドハッターが「俺は頭がおかしいのか?」(いかれちまったのか?)と言った時、アリスは父に言われた言葉を送るのです。
頭がおかしかったり、変わり者であることを否定しない物語なんですね。
ただ、おばさん、あんたは病院に行け。という。

歳とって醜くなったおそらく未婚のおばさん。彼女には王子様が見えているようです。
アリスの「王子様なんていないの。妄想幻覚よ。病院に行ってね。」が、簡潔ながら酷くて笑えましたし、ブラックユーモアを感じました。はっきり言いすぎで、逆に清清しいです。

マッド・ハッターのかっこいい踊り出たーーー。
頭回転してたような。マッド・ハッターは人間じゃないのですか?

アリスが通常の世界に帰還する方法は、ジャバウォックの血を飲むことでした。
ということは、ジャバウォックを倒さねば戻れなかったんでしょうか。

ウサギ穴に落ちる前、婚約を申し込まれて逃げるシーンと、白の女王の前で、ジャバウォック倒しの戦士になることから逃げたシーンは、カメラアングル的にも状況的にも似せて作ってありましたね。
一段高い所に立ったアリスが、公衆に見つめられながら、決断と答えを迫られ、逃げる、というシーンを繰り返し、重ね合わせているのです。
一端逃げたアリスですが、青虫の助言で目覚め、記憶を呼び起こし、戦士になるのです。
そこで青い芋虫に「お前は何者だ」と問われ言ったアリスの自己紹介というのが、出身地と親の名前と、自分のフルネーム、くらいのものなのですが、これが大事なんでしょうね。
自分が誰であるかとはっきり意識することが。
原作同様アイデンティティー喪失の危機が何度も描かれてましたからね。

マッド・ハッターの「またすぐに会えるさ」というのはどういうことでしょうか。
アリスが再び人生に迷った時に不思議の国に行くということなのか、それとも現実世界の女性二人組が「双子」に似ているように、マッド・ハッターと対応する人物が現実にもいるということなのでしょうか。
ひょっとして、アリスの姉の旦那が浮気したということと、白の女王の姉、赤の女王の所のジャックがアリスに浮気したことは掛かっているのでしょうか。
ということは、胃腸の弱い婚約者キャラも不思議の国にいたんですかね。

船で旅立つアリスの側を青い蝶が飛びます。アリスはそれを、ワンダーランドにいた青い芋虫アブソレムだと思います。アブソレムはさなぎになって羽化を待っていたので、流れ的には自然です。
実際はそうではないただの蝶だとしても、アリスが思うのならこの物語に置いては真実なのでしょう。
ワンダーランドとアリスの心には密接な関係がありそうなので。

アリスは、赤の城に行った時、アムなんとかって名乗ってましたね。
これは、他人に対しての偽りの自分ということを象徴してそうな気がします。
状況的には、お尋ね者のアリスがここにいちゃまずいから本名言えないのはしょうがないのですけど。
体が若干大きく、しかも偽名のアリスを好きになるジャックというのは、その女性の本質が見えていないのに惚れてしまう勘違い野郎という、そんな感じがします。

年頃の女なら貴族の嫁に行くのが一番の幸せであると、だれもが信じて疑わない時代だったと思うのですが、結婚を蹴ってビジネスの世界に飛び込んだアリスというのは、近代女性という感じがします。
もともとアリスは、コルセットもせずストッキングもはかない、常識外れの女の子でした。
そのことは、型にはまらず、世間一般から見て異常者ではみ出し者であるということを表していると思います。
でも、そのままのアリスで良いんだよと言ってくれるのがこの映画ではないでしょうか。

ワンダーランドで過ごしたアリスは、時には予言の書に書かれていないような行動でも選択しました。自分の意思で捕らわれのマッド・ハッターを救いに行ったのです。
一方、あらかじめ予言されたジャバウォック倒しからは逃げようとしましたが、それも克服しました。
これらの経験を通して、アリスは成長したと思います。

もし、不思議の国に行かなかったら、アリスは、結婚をはっきり断ることもできずずるずると嫁入りしてたかもしれません。

マッド・ハッターは、意外とお姫様ポジションに近かったです。アリスが王子様で。

エンディングの歌がよかったです。少女っぽさとゴシックっぽさを併せ持ち、キュートだけど毒がある感じで。
  1. 2010/04/21(水) 09:29:12|
  2. 映画感想

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