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映画ゴールデンスランバー感想(途中からネタバレあり)

ゴールデンスランバー~オリジナルサウンドトラック~ゴールデンスランバー~オリジナルサウンドトラック~
(2010/01/27)
斉藤和義

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【あらすじ】
仙台でパレード中の総理大臣がラジコンヘリ搭載の爆弾で暗殺された。
その時、青柳は、旧友森田に釣りに行くと誘われ、現場近くにいた。
全く身に覚えがないのに首相暗殺犯と断定されてしまった青柳。
次々と現れる証拠。
青柳は、巨大な陰謀から逃げ切れるのか。

【途中まで、ネタバレなし】
原作既読で好きな作品なので、ぜひ見たかった映画です。
一月ほど前に入手したパンフレットでは、もう大分先のストーリーまで明かしてあったので、バラしすぎじゃないかと心配でしたが、この作品の肝になるような伏線や名台詞は全て伏せてあったことに後で気づきました。

原作小説版の感想はこちらのエントリーで

原作では、確かキャラクター視点が切り替わって、かつ、現在と20年後とその他の時系列が入り乱れた4部構成かなんかでした。
映画では、素直な時系列で(多少前後するけど)臨場感がありつつ見やすく作られていました。

大変面白かったです。何度も涙が出ました。次にくるセリフも展開も知っているのに泣けました。知っていたからこそなのかもしれません。
それと笑いどころもたくさんでした。
青柳というか主演の堺雅人さんの、「笑いながらツッコミ」がよかったです。
「なんで○○?ww」っていう。
これらのツッコミは笑えると同時に泣けたりもしました。

電車が40分遅延したため、劇場に入った時にはもうタイトルが表示されてました。
その前には何が映っていたのでしょうか。
アバンタイトルって結構重要なシーンが流れたりするものだと思うのですが。
(追記:脚本読んだ所、エレベーターでキルオの噂をするシーンだったらしいですね。)

青柳の元カノ、樋口晴子役は、竹内結子さんでした。学生時代のシーンは髪型が違うのですが、本当に若い女の子に見えました。

原作でははっきり名前が出ていませんでしたが、ゲーム「シーマン」が登場してました。
やっぱり、あれってシーマンだったんだ。と嬉しくなりました。

大統領じゃなくて総理大臣になってましたっけ。小説版より現実に近そうです。
漫画みたいだと思っていたキルオと小鳩沢ですが、映画だと割りと普通に見られました。
キルオ役の人は、つい最近見た映画では主役でした。すごく小っちゃく見えるんですけど、身長どのくらいなんですかね。
「バクマン。」という漫画に出てくるキャラクター「新妻エイジ」みたいな髪型をしていました。
キルオの指名手配書は、青柳が最初に逃げたシーンでも映ったような気がします。

愛や友情や絆というのは、言葉にすると安っぽくてうそ臭いんですけど、本当にあるんだなぁと思えました。
別にはっきりとそういう単語は出てこないのに、それらを感じさせる、それでいて、エンターテイメント性に満ちたお話でした。

帰りたい青春というのがあるのはうらやましいですが、そういうものがあると切なくなったり、そこへの戻れなさに絶望したりすることもありそうです。

青柳、いつまで釣り人ルックなんだ…wって気になってました。

ワンセグテレビを見るためにPSP(?)が活躍してました。

原作未読の方にもお勧めの映画です。

【以下、ネタバレあり感想】

青柳の癖と言えば、エレベーターなどのボタン親指押し(ナーイス)、ごはん粒を残すだと思うんですが、映画だと、ご飯粒はカットだったみたいです。
また、青柳が最近痴漢に仕立て上げられた、という件もなかったような。
原作だと、元カノの樋口晴子がテレビ見て気づくんですよ。

「犯人は事件前にご飯をのこさずたいらげていた」って聞いて、青柳くんなら残すのにって。
痴漢冤罪が丸々なかったようなので、これは私のお気に入り、ラストの「痴漢は死ね」書初めを父親に送付するシーンもカットなのか!?と心配していましたが、ちゃんとありました。そして涙が出ました。
原作だとまわりに警察かなんかがいて、「痴漢は死ね」を見て、「また心無い中傷ですね」みたいに言うんですよ。青柳は痴漢容疑でも報道されていたので。

厳格な父親が我が子に見せる親子愛的なネタに弱く、今までも何度も泣かされたんですけど、今回もそうでした。
マスコミに向かって話す父親見てたら感動してしまいまして。セリフとしては古来からあるもので、他の映画でもそっくりな言い回しの箇所がありましたが、何度見ても良いものは良いし、あれが親心の行き着くところなんだろうと思います。
猿轡されてた警官さんも、どちらかというと父親に感情移入して泣いたのだと思います。
なんであなたが泣くの?っていうのは、面白いし涙を誘いました。

青柳の癖を「親指で押す」だけに絞ったのは、より効果的ですし見やすかったですね。
上映時間の短縮にもなりますし。

アイドルを助けた時の報道映像、スロー再生して悪そうな表情の所を見せるシーン笑えました。
誰だって、そういう顔をしてる瞬間はあると思います。
イメージを歪めた報道というのはよくあるようです。
最近だと、ノリピーが失踪者から容疑者に代わった途端に悪そうな顔の写真に変えた報道機関がありました。

青柳の友達がみんなして「やったのか?(アイドルと)」と聞くのがアホでした。森田に関しては死に際のセリフなので悲しいものなんですけど。(車爆発)

青柳が勤めてるのって仙台貨物でしたっけ。会社のマークは伊達政宗をデフォルメしたようなものでした。
それが、青柳の入ったダンボール箱に書かれてるんですけど、青柳が喋るシーンでそのマークが顔代わりに映ってるのが面白かったです。
青柳が黙ってても、やっぱりその顔に注目してしまいますし、そのマークも無言に見えます。
ダンボールかぶったままトラックに乗り込むシーン、脚が生えたので笑いました。かっこ悪くてよいですね。
荷台内での会話「どっちに行く」「北」「ロックだな!」が意味不明すぎて面白かったです。
北だとなんでロックなんだw

青柳を首相暗殺犯に仕立て上げようとする勢力の正体や黒幕は、原作でもはっきりしていません。
映画だけ見ると、海老沢議員本人か、海老沢を総理大臣にしたい人物が指示して、首相を暗殺、青柳に濡れ衣を着せたように思えます。

シーマンの「小さくまとまんなよ」という一言ととチョコの割り方であっさり別れるあたりが変わってますが、さわやかな始まり方と面白い終わり方の恋だったと思います。
少なくとも感じ悪くはありません。
青柳は気遣いのできるいい人すぎたのです。このままつきあっていても、「よくできました」止まりで「たいへんよくできました」にはならないだろうというのが、元・恋人晴子の弁でした。

どちらかというと裏家業の男保土ヶ谷は、本当は両足骨折なんてしていないんですよね。
ではなぜ入院していられるのでしょうか。やっぱりアンダーグラウンドな理由なんでしょうか。

花火に気をとられていて青柳達のはじめてのキスを見られなかったというのが、学生時代の友達カズ(劇団ひとり)です。
そのエピソードが、公園で麻酔銃に囲まれた青柳が、花火騒ぎに乗じて逃げるという計画の伏線になっていたのです。
とてもさりげなくて、それそのものも良い話でした。

マンホールの蓋についた印を見て「よくできましただ」と思う青柳。別れを切り出された時のことをしっかり覚えているのですね。
蓋をふっ飛ばしながら次々と上がる花火、ファーストキスの思い出映像、音楽、それらのコラボでかーなり感動してしまいました。
文字で読むのもよいですが、あらためて映像の持つ力の強さを感じさせられました。

マンホールのすげかえあたりで突然あらわれた男性は、花火工場長の息子だったみたいですね。
親の跡を継いだようでよかったです。

世間では死んだ人扱いの青柳ですが、確かに生きていました。
その事は、キャバ嬢との浮気を告げ口したり、エレベーターのボタンを親指で押したり、痴漢は死ねと書いた和紙を送ったりしたことで、青柳の周囲の人には確実に伝わったことでしょう。

浮気してんじゃねーかよ!と蹴りを入れる奥さんは、怖いですがかわいかったし笑えました。

昔助けたアイドルに助けられる青柳。きれいにまとまりましたね。
マネージャーらしき人は、アイドルが青柳とゲームしてる時も横にいて、整形疑惑を否定してましたね。
整形していると思いますけど。
(一晩中やった「死んじゃう死んじゃう」の正体はゲームだった)

整形前のキルオは、指名手配書の似顔絵と似てたんですかね。

キルオはなぜ気まぐれを起こして青柳を助けたのでしょうか。
バッテリー交換を告げにくるシーンなど、狂言回し(舞台において物語を進行させる重要な役)のようですらあります。
キルオは、いわゆるトリックスターってやつだと思うんですけどどうでしょう。
秩序を破り、善と悪、聖と俗を併せ持ち、おどけたりいたずらしたりしながら話を引っ掻き回す。そんなトリックスターの特徴と合致しているような気がします。

青柳を追い詰める警察官・佐々木一太郎役の香川照之さんは、只者じゃない感じが良く出ていました。
この方、今まで見たいくつかの映画に出演されてましたが、毎回印象が違います。その都度その役にあった演技をされていると思います。

青柳の元カノ、樋口晴子は、別の男性と結婚してどうだったんでしょうか。夫との電話を見る限り、100点満点の結婚生活には程遠そうですね。
ですが、子供も設けてそこそこ幸せそうです。
子供が「ママーおしっこー」だったか「トイレー」って言ったのは、確か母親を助けるための演技なんですよね。
警察を巻いて草むらに入り、車のバッテリーを交換するための。
そこにキルオがきてナイフで一刺し「びっくりした?」です。
キルオ役の人は、フットワークが軽いと言うか、原作のイメージそのままな、機敏な動きをされてました。

晴子と娘は、さすが親子って言う感じで似てましたね。動物園に行く前提で話をしていたり、青柳に好意を持ったり。

轟屋の社長(工場長?)がいいセリフ言ってましたね。
「思い出のよみがえるきっかけってのは同じものだから、誰かを思い出している時、また、誰かも自分を思い出している。」っていう。これ単体で素敵な考え方ですし、物語の中でも重要なエピソードでした。
青柳が包囲網からマンホールにもぐり込む手助けをした花火。晴子が発射スイッチを押したみたいですね。
「行け!青柳屋!」というのは、原作でもかなりの感動ポイントでした。
自分が彼らと大学生活を共にしたり花火の打ち上げバイトをしたわけでもないのに、思い出が頭を駆け巡りました。
映画だと、実際に過去映像も流れていたと思います。
カズも病室で「轟屋ー!」って叫んでました。
登場人物と観客の一人である私が、記憶を共有したような、不思議な感覚にとらわれました。

マンホールに下りた青柳は、一太郎に銃撃されました。しかし胸に入れていたi podのおかげで助かりました。
これは、超古典的な手法ですが、それでも良かったです。
i podは森田のもちものでしたっけ。
作品のタイトルにもなっているゴールデンスランバーの入ったi podですから、「青柳の窮地を救ったのは、懐かしい青春時代の仲間達だった。」と解釈できそうです。

青柳が、「他人を信じること」を武器にしていたからこそ、周りの皆も助けてくれたんですね。

「なぁ森田、人間って車のエンジンがかかったくらいで泣くのかよ」というのは泣けました。
さらに、「俺は犯人じゃない 青柳     だと思った」っていうのもうるっときました。晴子が書き足したんですね。

整形後の青柳がエレベーターに乗っていたら、かつての恋人晴子とその娘、夫が乗り込んできました。
青柳は、「開」ボタンを親指で押していましたが、晴子一家に気づいて人差し指に変えました。かなりあわてた指チェンジでした。
エレベーターを降りた後、晴子の子供が戻ってきて、青柳の手の甲に「たいへんよくできました」と書かれたハンコを押してくれました。晴子の指示だと思います。(「子供が自主的に引き返してハンコ押した」説というのも見かけました。)
ボタンを親指で押すのは青柳一人に限ったことではありません。
私も、車椅子用の低い位置にあるボタンは親指で押したりしますし。
エレベーターに乗った直後の晴子は、「あ、あの人親指で。そう言えば青柳君ってそういう癖があったなぁ。」くらいの感覚で見ていたのかもしれません。
青柳があわてて押す指を変えたからこそ、晴子には彼が青柳だと分かったのではないでしょうか。

青柳と晴子があのまま付き合っていたら「よくできました」止まりの人生だったかもしれませんが、この事件を乗り越えたことで「たいへんよくできました」の境地までたどり着けたようです。

泣けるし笑えるしハラハラするしで、大変おもしろい映画でした。

テーマ:見た映画の感想 - ジャンル:映画

  1. 2010/02/16(火) 20:55:08|
  2. 映画感想

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