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同人漫画サークル

映画「ヒッチャー(’86)」

ヒッチャー 【ザ・ベスト・ライブラリー1500円:2009第1弾】 [DVD]ヒッチャー 【ザ・ベスト・ライブラリー1500円:2009第1弾】 [DVD]
(2009/08/05)
ジェニファー・ジェイソン・リー、C・トマス・ハウエル 他

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【あらすじ】
ジムが車を運転中、一人のヒッチハイカーを拾った。彼は、ジョン・ライダーと名乗った。
ライダーは、ジムをナイフで脅し「僕は死にたいと言え」と要求する。ジムはそれを拒否し、車から突き落とした。
命拾いしたと喜ぶジムだったが、その後、ライダーに追い回される事になる。
ライダーは、連続殺人犯だが、その罪をジムに着せる。警察も味方をしてくれない。

【途中までネタバレなし感想】
ライダーがかっこよくて怖くて可愛くて変態でセクシーでお茶目で気持ち悪いので好きです。
けれど、絶対に車に乗せてあげません。

ライダーは、凶悪な攻撃性を持っていますが、地面に転がされる所をはじめとして、やられっぷりの方が魅力的でした。

強面が、かわいいぬいぐるみを持っているギャップが可愛さと不気味さを増幅させてました。
本人は、「ディズニーランド」出身だと述べていますけど、昔みていたディズニーのアニメビデオ、かなりキてましたから、ライダーに合ってます。
「ディズニー」というのは、悪い冗談だったようです。連続殺人犯と最も遠いイメージの言葉として。健全と不健全の振り幅が大きいほど、インパクトありますものね。

ジムは、最初の遭遇から、何度かライダーと接触を持っているのですが、ライダー、ジムを殺そうとしないんですよね。
ジムではなく、ヒロインを狙うのです。
その際ライダーは、「俺を止めてくれ」と言います。
もう自分では終わらせられないくらい遠くまで来てしまったのでしょうか。

【以下、ネタバレあり感想】
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  1. 2011/10/24(月) 11:34:14|
  2. 映画感想

映画「ゾンビランド」感想

ゾンビランド [DVD]ゾンビランド [DVD]
(2011/02/04)
ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ 他

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【あらすじ】
新型ウィルス爆発感染によるゾンビ出現以前、女の子にモテず人間嫌いで引きこもり気味だったネトゲオタク少年。
彼は、ゾンビから身を守るための沢山の決まり事を持っており、それを実行することで生き延びてきた。
屈強な男と行動を共にするようになり、さらに美人姉妹がパーティーにに加わる。
黄色い車にのった彼らは、ゾンビがいないと噂させる遊園地を目指してひた走る。

【ネタバレなし感想】
アップテンポではない、かなり緩いロードムービーです。
タイトルや予告でバレそうなので書くと、遊園地はゾンビがいっぱいです。(概要としては、アメリカ全土が「ゾンビランド」とされているようです。)
なぜ、その地にゾンビがいないという噂になったのか謎です。
ゾンビが相談して、それを餌に人間をおびき寄せるなんていう知能もないでしょうに。絶望の中にある人々により、一縷の望みを託して作り出された都市伝説なんですかね。

遊園地着くまで再生時間にして1時間以上かかりますよ。
てっきり開始10分くらいでついて、ランドサバイバルかと思ってました。
回想とモノローグが多く、また、車内で会話してる場面も長いので、あまりアクション映画感はないです。
小説があったとして、それを忠実に映像化したらこんなだろうか、という雰囲気です。

この4人の年齢や性別の構成的に、主人公が「手に入れたかったもの」にピッタリです。

肉親や身内がゾンビウィルスの感染した場合、自らの手で殺す、というのがゾンビものの鉄板なのかと見ていましたが、それを逆手に取った罠でした。

主人公が学校で女子にモテなかった、女子がダンスパーティーで踊ってくれなかった。という事について、ヒロインが、女子達を非難するんですが、主人公がモテないのは主人公の性格が言動に原因があるので、クラスの女子に罪はなさそうです。
当時の主人公は人間嫌いで、ヒトよりもフィクションのゾンビの方に愛着を持っていたくらいです。
周囲を疎んでいて、かつ、男性的魅力のないネトゲギークが、年頃の女の子に好かれるのは至難の技です。
しかし、厭世自虐男子に惹かれる女性も、居なくはないでしょうから、このスタンスでもいつか彼女できたかもしれませんよ。

姉妹の妹の方、金髪の女の子が可愛いです。11歳。少女が、百戦錬磨の屈強な男をビビらせているのは楽しいです。
屈強男は、かつて大事な命を失っています。なんとか、その11歳で穴埋めできないですかね。
本編中にははっきりそういう描写ありませんでしたけど。お似合いだと思うんですよ。11歳を育ててあげて欲しいです。
屈強男は、トゥインキーというお菓子が好きなのですが、なかなか手に入りません。
食べてみたくなりました。

テロップ表示の編集が面白いです。背景のパースに合わせて表示されることが多いので、壁やドアや地面に書かれているように見えます。主人公のゾンビから身を守るルールは、そのテロップで書かれるのです。

主人公は、ピエロ恐怖症です。これ、有名な俳優も患ってるくらいメジャーなものみたいですね。
特定のものに対する恐怖も、自らを縛る不本意なルールの一つなんですね。
掟やマニュアルは、過去の経験とその結果(主人公の場合、映画やゲーム?)から最良の手段を効率よくまとめたものですから、身を助くでしょう。
しかし、いざという時にそれを打ち破れない輩は、前に進めないし、何も手に入れらない事がある、と教えられたような気がします。

もし、ゾンビと遭遇したら、私も二度撃ちしておきますね。車の後部座席は要確認。

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  1. 2011/10/24(月) 10:56:46|
  2. 映画感想

映画「フェティッシュ curdled」感想

フェティッシュ [DVD]フェティッシュ [DVD]
(1999/04/23)
アンジェラ・ジョーンズ、ウィリアム・ボールドウィン 他

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【あらすじ】
死体を見た少女ガブリエラは、それ以来、殺人マニアに目覚めた。
お気に入りの猟奇事件は新聞をスクラップし、自作絵も描き添えている。
大人になったガブリエラは、殺人現場専用のお掃除会社に転職する内、連続殺人事件に関わってゆく。

【途中まで、ネタバレなし感想】
グロは苦手ですが、見られる範囲の映像となっておりました。
そのものズバリは映りません。
殺人現場清掃業と聞き、死体とか出るのかとビクビクしておりましたが、幸い、死体が運び出されたの床や壁のお掃除だったんですね。いやぁ、よかった。

もっと、安楽椅子探偵的な映画だと思ってたんですよ。現場には行くものの、証拠品は回収されている。清掃指示用紙のみから犯人像とプロファイリングしていくという。
全然違いました。

ガブリエラは、ちょっと変わった子だけど、彼女なり一所懸命なだけだし、そんなに反発しないで上げてよ同僚、と思ってたのに、やっぱり同僚が正しかったですww

ガブリエラのことを慕っているらしいパン屋の男性は、とても常識のある誠実な人ですけど、彼もネジ飛んでます。
好きな女の子が殺人事件のスクラップしてるの見たら、二度とアプローチ掛けにこないのが普通かと思いますけれど、許容範囲が広すぎです。(ドン引いてはいる)

ガブリエラパート以外に、犯人パートもあるのですが、殺人はやんわり描いていてもビビって視線逸らしがちになりました。
殺人マニアの素質がありません。
ですが、この犯人、お間抜けさんでもあります。

【以下、ネタバレあり感想】
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  1. 2011/10/23(日) 22:52:57|
  2. 映画感想

映画「ゼイリブ」感想

ゼイリブ [DVD]ゼイリブ [DVD]
(2003/02/21)
ロディ・パイパー、キース・デヴィッド 他

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【あらすじ】
肉体労働者ナダは、貧民キャンプのような場所で暮らすホームレス同然の男である。
ある日、怪しいおじさんがテレビの電波をジャックして「信号により世界は眠らされ騙されている。彼らによって物欲の奴隷とされ、貧民は骨抜きにさせれている。」という旨を述べる。
ナダは、立ち上がった男に付いて行き、自由教会なる賛美歌流れる建物に入る。しかし、賛美歌は録音テープであり、「電波ジャックしてもすぐ妨害される」「あのレンズを量産しないと!」「いや、仲間を増やそう!」と謎の会議をしている人々がいるだけだった。
翌日ナダが再び教会を訪れるとそこは無人だった。教会のダンボールからサングラスを一つ拝借する。それをかけると、真実の世界が見えるのだった。

【途中まで、ネタバレなし感想】
テレビ、マスメディア批判の映画らしいです。
テレビに映るご婦人が、「テレビで人生が変わった」「テレビのおかげで皆に愛されていると感じられる」とその素晴らしさを語ります。
私は「新興宗教『テレビジョン教』狂信者?」と感じましたが、大体あっていました。真相とは少し違いますけど。

サングラスを通した真実の世界では、看板も雑誌も全く別のものに見えます。(フォーマットの質と形は共通)
「眠ってろ」「消費しろ」「考えるな」「権力に従え」「働け」「結婚しろ」「出産せよ」など、フォントの大きく短い命令文が書かれているのです。文字が少ないので、画面は余白だらけになります。
あれは、「かっこいい広告、美しい写真、長々とした素晴らしい文章、それらは要約すると、全てあの短い文字列で済むんだぜ。人を消費に駆り立て、働かせ、考える力を奪うのが真の目的だよ。まぁ、そんなメッセージを直接言われて言う事聞こうと思う奴もいないだろうけどさ。だから、耳ざわりの良い言葉に置き換えてるのだよ。」っていう意味なんでしょうね。
(↑命令文は、「無意識に働きかけるサブリミナル」的なものかなぁと思ってましたけど、上記の解釈の方が、よりこの映画のテーマに沿ってる気がするので、一部書き換えました。)

教会の内壁には「THEY LIVE AND WE SLEEP (奴らは生き、我々は眠っている)」と描かれています。
その「彼ら」が、社会の上部を占め、テレビから洗脳してるんですよ。

この映画、変な所に尺を使います。
主人公のナダと友人労働者のフランクが、眼鏡をかけるかけないで大喧嘩をする場面、「ここ、そんな時間割く必要絶対ないでしょ!」というくらい長いです。
いや、きっと監督なりになにか思惑があるに違いない・・・。
フランクは妻子ある身、「真実」や「危険」「権力への反発」、そんなものからは一歩引いていたい、保守的な常識人なんですよ。
ナダは、お前も眼鏡かけたら分かるから、な!な!な!?と迫るわけです。傍から見たら、主人公のみ狂人です。
フランクとしては、万が一ナダの言うことが事実だとしたら、厄介事に巻き込まれると決まってるわけですから、そりゃあ、試しに数秒かけるだけでも嫌なんでしょう。そのせめぎあいや葛藤を描いているから、あんなに長いこと喧嘩するシーンを入れたのだ、・・・ということにしておきます。 (単にプロレス技で投げ合う男二人が撮りたかっただけの気もする)

映像は、意外なことに(?)美しいです。チャチくありません。空想科学装置は、少しレトロフューチャー感あるようですけど。

【以下、ネタバレあり感想】
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  1. 2011/10/23(日) 18:58:38|
  2. 映画感想

PSP版「STEINS;GATE」(シュタインズゲート)オールクリア感想

【関連記事】続編シュタゲ・ゼロの感想はこちら。

Steins;Gate(通常版)Steins;Gate(通常版)
(2011/06/23)
Sony PSP

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【あらすじ】
大学生の岡部倫太郎は、秋葉原の小さなビルワンフロアを借りて「未来ガジェット研究所」なる組織を作り、そこで、相棒のダル、幼馴染の女子高生まゆりと共に、ほぼガラクタな何かを発明していた。
ある日、ドクター中鉢という胡散臭いおっさんの「タイムマシン発表会」に行った岡部は、そこで、奇妙な人工衛星を見た後、天才少女、牧瀬 紅莉栖の他殺体を目撃する。
気の動転した岡部が、ダルに紅莉栖が殺された旨メールを送信すると、視界は歪み、秋葉原から人が消えたのだった。

【途中まで、ネタバレなし感想】
ガチのドSFでした。タイムトラベルを扱っているということだけではなく、そのギミックも既存の時間跳躍理論を組み合わせてあるので「あぁ、それなら実現しそう」と思えるように作りこまれていました。

リアル世界とうまいことリンクしてあるので、架空のお話なのに真実味があります。
作中SERN(セルン)とう組織が登場しますが、これは、実在の研究組織CERNをモデルにしています。

ゲーム中のSERNは、ミニブラックホール実験(これ実際にあって、万が一失敗したらどうしよう、と無駄に自殺した人までいた。)もその他の実験も、実は、タイムマシン開発の為にやっているんじゃないか、という体(てい)でお話が進むので、「ニュートリノ発見、タイムマシンの発明可能か?」ニュース聞いて、「え、本物のCERNもそうなんじゃない?」と疑い始めました。(結局は、誤報でしたっけ。単純な観測ミスかなにかで。)

ジョン・タイターという自称未来人、これも、現実世界でネットに降臨した事があります。タイターは、CERN製のタイムマシンに乗ってやってきたと書き込んでおり、ゲーム中でも最初の場面では、そういう扱いでした。タイターの主張と、現れる年は、現実とはズレますけれど、それは、プレイすれば理由が分かります。
多次元世界論の肯定や、1975年にも用事がある事、IBM 5100(ゲームではIBN 5100)というレトロコンピューターを必要としている事、は、そのままゲームの下敷きになっています。

宇宙戦争やタイムトラベルを扱ったSFの代表作をいくつか読みましたが、どれも、神や精神、魂、意識、といった、宗教の領域に踏み込みまくるんですが、シュタゲもそこらへんかなり突っ込むので、おっかなくもあり、でも、安心もしました。
こういった心理的な部分でも、超SFしてます。

キャラクターが個性的で、全員声がすごく合っています。声優すごい。
プレイ開始時は、その強烈なキャラを受け付けない人も多いかと思います。
厨二、オタク、萌え萌えな台詞回し、やり取りが多いのです。キャラ造形も属性も全てそんなです。
しかし、例え拒否反応が出たとしても、最初に2時間我慢したら、「むしろ、こうで有り続けて欲しい!!」と切に願うようになりますから。愛しくなるまで、辛抱してください。

シナリオは大ボリュームです。第10章のサブタイトルは2パターンあります。私は、どうやっても1つのパターンにしかいけず、結局、ネットの攻/略サイトを見てしまいました。
しかし、これ、見て正解。あんな膨大な、しかも結構初期からあるフラグを正解だけ選ぶなんて無理そうなのです。(自力クリアの人も居る)
そう言ったサイトは、取るべき行動が書いてあるだけで、その結果どんなストーリーになるか伏せられているので、ネタバレは食らわないで済みます。
正解、というのはトゥルーエンドに行くためのルート、というだけで、不正解の方でもそれぞれ面白いエンドに行けます。
お気に入りのヒロインによっては、トゥルーじゃない方を正史にして欲しいくらいだそうです。

伏線もさりげなく、とても良く出来ていて素晴らしい出来のシナリオでした。
ゲームシステムも、テキストベースノビジュアルベルゲーとしては変わっていました。
「選択肢が文字枠に出て、それを選ぶ」のではないのです。

携帯に着信があった場合、音声電話に出るか出ないか、メールを開くか開かないか、開いたら返信するかどうか、返信するなら相手のどの言葉に反応するか、こちらから電話をするか、メールをするか、誰に電話をかけるか、そう言った部分で大きく展開します。
バタフライエフェクト、という言葉が出ますけど、些細な事で、こんなにも影響が出るのか、しかも、予想外の所に、というのが大変面白いです。

「世界線」、そして「世界線収束範囲(アトラクタフィールド)」、「世界線変動率(ダイバージェンス)」、「運命探知の魔眼(リーディング・シュタイナー)」などの概念により(一部、岡部倫太郎の造語)、「ある程度自由の利く運命」という要素が出てきます。
「アトラクタフィールド理論」とは、どんな道筋をたどっても、その世界線に居る限り、同じ所に収束してしまう、というものです。
例えば、その世界線では、死んでしまう、と決まっている人は、なにをどうしても、死んでしまうのです。
それを避ける為には、別のアトラクタフィールド世界線に移動する必要があります。
2021年のα世界線を起点のゼロとして、再構成された世界がどれだけズレているか判別する装置が「ダイバージェンスメーター」です。
このメーターが1.00000を超えた時、アトラクタフィールドを飛び越えられるのです。
1%世界変動をさせるのは至難の業ですが、収束点の向こう側に行くには越えるしかありません。
「リーディングシュタイナー」とは、世界線が移動したと認識する能力です。岡部倫太郎はこれを持っています。他の人は、移動に気づきません。

TIPSは、用語説明です。確かLボタンで見られます。科学用語、現実用語、岡部倫太郎用語の他、オタク2ちゃんニコニコなどのネットスラングも数多く収録されています。なお、オタ用語だけは、TIPS見なくても全部意味が分かりました。 (;´Д`)
TIPSは、記録されていきますのでコンプリートも可能です。が、うちのデータでは、残り1つ拾い損ねてます。なお、CG回収率は100%です。これらは、いつでも見返せます。
セーブポイントはありませんので、随時セーブできます。小マメに分けといた方がいいかもしれません。

トゥルーエンドを見ないと、オープニング前の真相が全く分からないまま終了となります。

絵的に、と言うより、心苦しい、という意味で辛い場面も多いです。もういいでしょー、やめたげてよーーー、なんでこの子がそんな目にーーー、という。でも、だからこそ、この物語に意味があったんだと思えます。

【以下、ネタバレあり感想】
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テーマ:シュタインズ・ゲート - ジャンル:ゲーム

  1. 2011/10/23(日) 17:34:43|
  2. ゲーム

五木寛之「親鸞」感想

※読み返さないで書いている為、勘違いしている箇所もあるかもしれません。
親鸞 (上) (五木寛之「親鸞」)親鸞 (上) (五木寛之「親鸞」)
(2009/12/26)
五木 寛之

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親鸞 (下) (五木寛之「親鸞」)親鸞 (下) (五木寛之「親鸞」)
(2009/12/26)
五木 寛之

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【あらすじ】
牛の決闘を見に行った少年が、河原の僧侶や裏世界の人間と親しくする内、怖くて悪い少年ギャング団的な組織数百人の頭であるところのドS美少年に目を付けられて、大事に巻き込まれていく。
出家、修行を経た少年は、恋に悩み、己の煩悩の抑えられなさに苦しみ、また、仏は本当に居るのか、どんな姿をしているのか、という、出家している者には大前提の部分すら信じきれないでいる。
青年となり、心から尊敬できる師匠、法然上人を得、「ただ念仏さえ唱えればよい」という思想と向き合ってゆく。
彼こそが後の親鸞である。

【具体的なネタバレは避けた感想】
実家、見捨てた形の弟達、召使い的な人々、兄弟子、お山(出家先)、国、朝廷、法王、悪の為に悪をなす六波羅王子(前述のドS美少年)、3人のタイプの異なるヒロイン(内、二人が姉妹)、生家や「奔放の血」、様々な要素が絡み合い、かなり、エンターテイメントしつつ、仏教の深部を真剣に描いており、古典名作のような味わいがありました。

悪と善、の概念が少し反転します。
やり方は非道いし、犠牲者もでますが、その悪役のお陰で、主人公が仏の道を踏み外さないで済んだりしますし、どうも、悪役の方が、かえって、「この世には善人がいる」と信じている節があるんです。自分を悪に染める事で。
一方、全ての人を救いたい親鸞は、一見、善良で慈悲深い正義の使者に思えます。しかし、彼は、この世の人間は全て悪人なのではないか?というような考えを持ってきます。
先人の残した仏教に関する文書を読み解くほどその思いは強まります。「殺生をしてはならない、それは悪である」というような事が書かれていながら、同時に、「動物だけでなく、植物にだって命はあるのである」とも書かれている訳です。
つまり、人間が生きていく限り、必ず殺生をしてしまうということになり、生きとし生ける人間は悪人だ。となって行くんですね。

悪役は、俺は地獄行きだよな!?浄土に行けないと言え!!と親鸞に迫ってきます。彼は、自分のような悪行三昧の人間は、極楽浄土に行けない、全ての人が浄土に行けるわけではないという「例外」を創ることで、それ以外の人間は、悪人ではなく善人だ、という事を証明しようとしているのではないか、という事が匂わせてあります。

この時代は特に、悪事を働かないと生きていけない人達が多いのです。賭博や売春や盗み、人身売買など。生活の為に、お上の規制を破り、誰かを泣かせる事を生業とする人々は、しかし、死後地獄に落ちる事をとても恐れています。親鸞は、その人々をも救おうとするのです。

五体投地がこんなに過酷な修行だとは存じませんでした。
仏の姿を見るまで最大級土下座のような姿勢を繰り返します。親鸞は途中で気を失うかどうかして、結局、仏を見ていないのです。なのに、周りから賞賛されて五体投地卒業扱いをされ、それを黙って受け入れます。
そして、嘘をついたまま生きているのは恥ずかしいし、いっそ死ねば良かったと思うのです。
似たシチュエーションは現実にもありそうです。本当はできてないのに、褒められて、それをちゃんと否定できず、嘘をついた形になることって。苦しいし、時間が経つほど言い出せなくなりますね。

「選択(せんちゃく)」という概念が、ロックでした。
おおまかに言うと
【こちらから選び取るだけではなく、むこうから選び取られるって事が大事なんだ。打ち鳴らした右手と左手、どちらが鳴ったとかそういうことじゃないんだよ。阿弥陀仏の全てを救いたいという思いと、救われたいと願う人間の心がぶつかった時に火花が出てよ?それが闇を照らす光になるんだぜ!!】
という感じでした。

法然上人の説法は穏やかなものですが、町民の前に立つ彼は、ロックスターっぽかったです。
おおまか→【君は、今、私を拝んだろ。阿弥陀仏を拝みなさい。月を指さした指を見てどうする。月を見なさい。】
そして、オーディエンス総立ちの大合唱ですよ。(南無阿弥陀仏)

親鸞が「修行も女人断ちも不殺生もいらぬ。念仏一つ唱えれば良い」という思想を、これは本物かもしれないと思う理由は、「危ういから」です。「真実は、決して安全なものではない。」それが親鸞の考えです。ロック。
当然、その思想を悪用する輩もでてきます。どんなに悪いことしても念仏一回で極楽浄土行き確定だから、進んで悪さしようぜ!という事で、あぁ、やっぱそうなるよね、と思いながら読んでいましたが、その行動の裏には、下手すると、親鸞よりも深い、師匠、法然上人への愛と崇拝があったらしく、驚きました。
価値観が反転することが多くて面白いお話でした。
逆説の嵐。しかも、妙な説得力。

恋愛模様も神話レベルに濃いです。惚れたはれた、くっついた離れたという生易しいものではなく、命をかけた欲望との葛藤劇となります。
男の方としては、女子の心を弄んだ気はないのですが、女子はすっかりその気。傍からみると、女子の方が正常の反応で、男が加害的というレベルで鈍感で無神経で、かつ、ちょっとは欲や甘えがあったんじゃないの感。そう言った部分がリアルです。しかも半分無意識の微妙な罪が、うら若き乙女を自暴自棄と破滅へ突っ走らせるあたりが、残酷です。

稚児といいますか、男しか居ないお山で男色は普通ということで、美少年の弟弟子などはかなり狙われますし、親鸞も、良い香りだなぁ…と、ときめきます。美少年が屈強な男にさらわれそうになって主人公が助ける、というシチュエーションなど、どこのBLかという話で、そういう部分も楽しめますけど、このお話は扱っている期間が長いので、やがて二人とも少年じゃなくなりますし、互いの立場も変わっていきますのであらかじめご了承下さい。

法然上人は、今でこそ、野説法のお人ですが、昔はお山一の秀才で、沢山の仏教書を読んだ後、全てを捨てて、念仏一つ唱えれば良い、というシンプルな考えに至りました。
お山の人達も、親鸞も、その沢山勉強した人、というのが気になり、絶対的な勝てなさみたいなものを感じます。
法然自身も、お山でエリートで知識豊富だった事について、その栄光(?)を捨てきれてない気もします。実際、親鸞に「あなたは今でもお山の子なのではありませんか?」と聞かれます。
法然には、培ってきたそれらがあるからこそ、自虐することもなく、野説法ができるのではないでしょうか。知識と経験を棄てる必要すらないでしょう。自分で努力して得、迷いの道筋が全て、血肉になっているのですから。
いきなり「念仏一つあればいい」と言うのと、膨大な勉強を経てから言うのでは、重みと説得力が違いますしね。

お山に居る慈円さんは、法然に嫉妬しています。彼も「本当は権力争いより、人々に説法する方がより僧侶らしいんじゃないのか」と考えつつ叡山を降りられなかったのです。それを、法然はやった。そう有りたくて、でもできなかった事をやっている奴がいる、ヽ(`Д´)ノキーーー!というのは、コンプレックスとして理解しやすい心理です。
慈円さんは、法然どうせ新しい教えを開くなら、どうして、お山の上でやらないの!これじゃ、お山から真剣に祈り続けてる私の思いを否定するじゃない!と恨みます。真剣に祈ってたら山からでも通じる部分はあるかと思うんですけど、そうだと信じ切れないなら、まだまだ修行が足りなさそうです。

登場人物は、皆、不安と嫉妬と苦悩を抱えています。
それらは「煩悩」と呼ばれるもので、それを捨て去る為の修行をしている人達のはずなのに。
「煩悩を丸抱えしたまま浄土に行ける」というのが法然の教えの一つでもありますが、法然だって実は全てを悟った超越者では全くないんですよね。

悪役、六波羅王子の生い立ちは、主人公級でした。娼婦とさるお方の間に生まれ、幼い頃母親を船上で殺し、今度は父親であるさるお方の命を狙っているのです。
とても痛そうな拷問器具に人を乗せて死ぬまで遊ぶ、という事はお屋敷で日常的にやってますけど、いつかその器具に父親を乗せるのが夢だ、と言っており、エディプスコンプレックス要素を感じます。
上でドSと書いてますけど、この人、ドMでもあるんじゃないのかな、と思える場面がありました。いつも人をいたぶって殺していますけど、本当は手酷く殺して欲しいんじゃないのかと。

人の心は矛盾に満ちていて、どちらも捨てきれなくて、だからこそ救われて欲しい、と思える、良ストーリーでした。
バトル、歌合戦、など派手な要素も多いので、仏教を知らなくても問題なく読めました。骨太で面白かったです。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2011/10/23(日) 13:46:50|
  2. 読書感想文(小説)

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