野良箱

同人漫画サークル

映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(Catch me if you can)」感想

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン [DVD]キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン [DVD]
(2003/08/22)
レオナルド・ディカプリオトム・ハンクス

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【あらすじ】
フランク・W・アバグネイルJr.(レオナルド・ディカプリオ)は、高校生で家出後、航空機パイロットや医者、弁護士になりすまし、全米各地で小切手偽造事件を起こした。
彼を追い続けたFBI捜査官カール・ハランティ(トム・ハンクス)は、ついにフランクを逮捕した。
家出から6年後、刑務所で体調不良を訴えたフランク。
カールは彼を飛行機に乗せ、地元まで護送することになる。
スティーヴン・スピルバーグ監督作品。

【途中まで、ネタバレなし感想】
はじめてこの作品に触れる方は、上記のあらすじを見て「ネタバレじゃないか」と思われるかもしれませんが、冒頭の映画内TV番組で、フランクの犯行の経過と、フランクを逮捕した人の名前、顔は公表されます。
そこからシーンが変わって刑務所です。
なので、これははほんのさわりなのです。

この映画のディカプリオ、かっこよかったです。
ディカプリオ演じるフランクは、その年齢が上がるに連れ、体つきが変わったように見えました。
CGや体の挿げ替えではなく、ティカプリオの演じ分けなんですかね。それと服装の印象というのもあると思います。
高校生の時は、いかにも坊ちゃんといった感じで薄い体をしていましたが、その後たくましくワイルドになっていきます。

トム・ハンクスは、頭のよさそうな顔に見えました。

オープニングムービーは、記号化されたアニメーションで追う者と逃げるものを描いた、独特かつスタイリッシュなものでした。

コメディタッチでとても面白い作品でした。
実話を基に、創作を加えたストーリーだそうです。フランクは実在の人物です。

フランクの嘘をつく才能がすごいです。
転校先の高校で、数日間も先生に成りすますとかとんでもない人です。
それを皮切りに、様々な職業を詐称するわけですが、身分証明システムが甘いのか、フランクが天才すぎるのか。
な ぜ バ レ な い と思いながら見てました。

医者や弁護士を演じるにあたり、フランクはTVドラマを参考にします。
フィクションなので笑いを取るため誇張してあるとは思うのですが、すさまじい付け焼刃っぷりです。

その時代のヒット曲だと思われるものがBGMになっていました。
また、フランクがジェームズ・ボンド気取りになった時は、音楽がまんまでした。

フランクは、ずっと小切手や身分証、その他の文書を偽造し続けます。
最初は、切ったり貼ったり削ったり、という初歩的な手法を取っており、よく見ればすぐ偽造だと分かるレベルだったのですが、どんどん手口が巧妙になっていきました。

学校で、女子生徒がニセの欠席届を提出しようとした時、フランクは「家から持ってきたならポケットに入れるから折り目がついてなきゃおかしい」と助け舟を出します。
そういった所からも、詐欺の才能が見て取れます。
技術的な面だけではなく、話術や頭の回転もすごいのです。

【以下、ネタバレあり感想】
【“映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(Catch me if you can)」感想”の続きを読む】

テーマ:見た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/04/29(木) 21:30:49|
  2. 映画感想

イプセン「人形の家」矢崎源九郎・訳 感想

人形の家―三幕 (新潮文庫)人形の家―三幕 (新潮文庫)
(1989/08)
イプセン

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【あらすじ】
弁護士ヘルメルの妻ノラは、夫から「リスさん」「ヒバリさん」と呼ばれ愛されていた。
クリスマス間近、ヘルメルは、銀行の頭取になった。
ノラの友人で未亡人のクリスチーネが職探しをしていたので、ノラが夫に紹介して銀行に仕事の口を作ってもらった。
クリスチーネは、クログスタッドの後釜に決定したのだ。
職を追われそうになったクログスタッドは、ノラの秘密を暴露すると脅す。

【途中まで、ネタバレなし感想】
裏表紙のあらすじは、物語の結末まで書かれているので、ネタバレ注意です。

戯曲なので、

名前 セリフ
名前 セリフ
(ト書き)
名前 セリフ

というような脚本形式で書かれています。

この物語は、社会劇、近代劇の基礎だと言われていて、発表当時、婦人解放運動と関連付けて語られることが多かったそうです。

作中、お金ばかり使う鳥を「のらくら鳥」と言うというような事を書いてありましたが、ググってもそんな言葉出ませんでした。一般的ではないようです。
「のらくら」(怠けて遊んでる人)という言葉、と「ノラ」というキャラクター名、また、彼女が作中で小鳥扱いされていることを掛けた邦訳なのかもしれません。

ほぼ全編、お金の話をしています。
貨幣には「俗っぽいもの」という印象がありますが、ここまでくると、むしろ「聖なるもの」カテゴリーに入るんじゃないかと思えてきます。
地位、労働、時間、物質、プライド…等、様々なものの価値を統一された基準で数値化しているというのは、実はすごいことなんじゃないかと。
もちろん、金額が全てのものさしとして正確なわけでは全くありませんが。

第1幕の終わり付近、畳み掛けるような夫ヘルメルの台詞がすごく面白かったです。
その全てが妻ノラに突き刺さるわけです。ヘルメルは自覚なく言ってますが。

【以下、ネタバレあり感想】
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

  1. 2010/04/29(木) 19:08:13|
  2. 読書感想文(小説)

wiiゲーム「428 封鎖された渋谷で」プレイ感想

※428の日を記念して再浮上 2010/04/28
※タバコを吸うミノさんイラストを追加 2010/04/28
※PSP・PS3移植記念に再浮上 2009/09/11
※自作イラスト追加
煙草ミノさん
428企画2最終版 四二八 二次創作

フリーライターズVS印刷屋
428の御法川実と磯千晶と片山光一郎(超日本印刷) 懐中時計

これが男の武器だ!
男の武器のコピー


428 ~封鎖された渋谷で~ 特典 スペシャルDVD「SHIBUYA 60DAYS ~Making 428~」付き428 ~封鎖された渋谷で~ 特典 スペシャルDVD「SHIBUYA 60DAYS ~Making 428~」付き
(2008/12/04)
Nintendo Wii

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【あらすじ】
大沢マリアが誘拐された。マリアの双子の妹ひとみは、犯人の指示により、身代金の入ったアタッシュケースを持って渋谷に立つ。
渋谷署の新米刑事 加納慎也は、犯人逮捕の為張り込んでいた。

【途中までネタバレなし感想】  
本編はクリアいたしました。
通常エンドと真エンディング(NEVER END)を見ました。
また、スペシャルエピソードも全て見ました。
ボーナスシナリオは、まだ読んでません。

いやー、面白かったです。
シナリオもキャラクターも大変魅力的でした。

wiiをお持ちの方は、是非プレイしてみて下さい。超おすすめです。(PSPとPS3も)
wiiリモコンを振るとかそういうのは皆無で、他機種のコントローラーと使い方は大差ありません。
爆発シーンや殴られるシーンなどで、wiiリモコンが振動します。

このゲームの存在は、ネットやテレビCMで知っていて、いつかやってみたいと思っていました。
伊集院光さんが、ラジオ「深夜の馬鹿力」の中で「428面白かった」とおっしゃっていて、より購買意欲が湧きました。
近所のGEOで買ったのですが、特典DVDはついてませんでした。
メイキング動画がすごく見たいです。

全編実写のサウンドノベルゲームです。ボイスはありません。
一部の動画を除き、静止画だけで構成されています。
ボイスなし+静止画+テキスト+BGM・効果音 というのは、想像力が刺激されるので大変良いです。
シナリオを読み進めていると、選択肢が出てきます。

5人の主人公が選べます。
1人の主人公だけストーリーを進めても、大抵バッドエンドになってしまいます。
他の主人公の何気ない行動が、今操っている主人公の運命を悪い方向に変えてしまっているのです。
バッドエンドを回避する為には、別の主人公の行動を変化させなければいけません。
その為のヒントが、バッドエンド画面で確認できます。
もちろん、現在の主人公の選択が、間違っていた場合もあります。

タイムチャートを見れば、複数主人公のシナリオ一覧が把握できます。
そこから、各主人公の任意の時間帯に飛べます。
選択肢のある箇所が一目で分ります。

シナリオを進めていると、「KEEP OUT」が表示されて先に進めなくなります。
その場合、他の主人公のシナリオの中から、その主人公に関する赤文字を探し、ジャンプしてくる必要があります。
なお、ジャンプ先主人公のシナリオがある程度進んでいないと、×印が出て飛べません。

シナリオは、一時間刻みになっています。
ある主人公がその時間帯を終えると「TO BE CONTINUED」が表示されます。全ての主人公がその状態になると、予告編が流れ、次の時間帯に進めます。

ちなみにバッドエンドには、殴られる、撃たれる、爆発に巻き込まれる、など、本当にバッドなものもありますが、むしろハッピーエンドだろうというものや、アホでコミカルなもの、SF過ぎてありえないもの、など色々あります。
笑えるバッドエンドが結構あるので、むしろ進んでバッドを目指したくなります。

【人物紹介】
加納慎也…新米刑事。先輩の笹山裕ニと共に、渋谷スクランブル交差点で張りこんでいる。誘拐事件の捜査をする一方、恋人との結婚問題も平行して勃発中。
遠藤亜智…遠藤電気店の長男。病気で入院中の妹がいる。ロン毛でガラの悪そうな見た目だが、困った人を放っておけないとてもいい人。ゴミ拾いが日課。とあるグループの元ヘッド。
御法川実…元新聞記者で、現在はフリーライター。ものすごく態度がでかく、自分の道を突き進む。取材相手を怒らせ本音を引き出すのが得意。人差し指でビシィっと指すのが癖。
大沢賢治…ウィルス研究の権威。大手製薬会社の研究所長。周囲への興味が薄い仕事人間。女性歌手「上木彩矢」のファン。
タマ…「バーニング・ハンマー」というダイエットドリンクの試供品配りをしているネコの着ぐるみ。
大沢ひとみ…大沢賢治の娘で、誘拐されたマリアの妹。マリアに比べておとなしい。


【以下、ネタバレあり感想と自作絵と絵茶ログ】
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  1. 2010/04/28(水) 21:29:08|
  2. ゲーム

25万ヒットありがとうございました

高橋康也「ヴィクトリア朝のアリスたち ルイス・キャロル写真集」感想

ヴィクトリア朝のアリスたち―ルイス・キャロル写真集ヴィクトリア朝のアリスたち―ルイス・キャロル写真集(新書館)
(2003/11)
高橋 康也

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【概要】
「不思議の国のアリス」の原作者、ルイス・キャロルが撮影した写真を集め解説をつけた本。
メインは少女写真だが、大人のポートレイトやキャロル以外が撮影した写真もある。

不思議の国のアリス
実写映画2010感想
原作(邦訳)感想

【写真集の感想】
解説文によれば、「鏡の国の~」の中の会話で、「歳は7つで止めとけと言ったろう。歳は一人でとるが、ふたりで、うまい助けがあれば、七歳で止まっていられるかも」というのがあるそうです。
というわけで、解説者は、「キャロルは愛する少女を7歳のまま留めるために、写真を撮り、物語を作ったのではないか」と推測します。

写真は白黒で、構図も良いですし、プロっぽいです。
女の子の顔も髪型も服装もいちいちかわいいです。
いい具合に19世紀です。

この時代のイラストや漫画を描きたい、フィクションを作りたいという方には、良い資料になると思います。
また、服飾・デザインに興味ある方にもお勧めです。

背景や家具、小物も時代を感じさせます。

キャロルは、知人の娘や孫娘を撮影することが多かったようです。

ある程度設定と状況を操作し、物語性を持たせている写真もあります。
写真には、キャロルによりタイトルがつけられていることがあるようです。
「どうしてもうまくとけないの」は、虫眼鏡を持った少女の写真です。

ふわふわ金髪のビアトリス・ヘンリーがかわいいです。アリスの挿絵に似ています。
当時のキャロルは「ビアトリス」という詩を残しているとのこと。

クシー・キッチンという黒髪気味の女の子もかわいいです。
「中国娘」に扮した西洋人というのは良いですね。
東洋趣味が反映されています。

ケイティー・ブラインという金髪ウェーブセミロングの女の子は、顔も服もかわいいです。
エプロンドレスに近いワンピースを着ています。
頭身的に7歳くらいでしょうか。

アグネス・フロレンス・プライスは、お人形を持っています。
本人もお人形のようなルックスで、ボーダーソックスと編み上げショートブーツをはいています。

マドレーヌ・キャサリン・パーネルは、おでこを出してヘアバンドのようなリボンのようなものをしています。
三本ラインの入ったワンピースで、袖にレースがついた服を着ています。

アリス・コンスタンス・ウエストマコットちゃんは、すごく幼い顔立ちですが、表情は大人っぽいです。
三つ折っぽい白ソックスと、バンドつきの黒い靴が少女の王道といった感じでかわいいです。

アリス・ジェイン・ドンキンがモデルのものは、合成写真とのことです。
合成だとは分かりませんでした。
「駆け落ち」というタイトルで、二階の窓から縄梯子で下りようとしている、頭巾マントの少女という場面です。
ふわふわスカートが甘ロリータという感じです。

アリス・マードックは、センターパーツストレートヘアの少女です。
腕のプチプチ感や小ささからいって、4~5歳に見えます。

コウツの写真。1857年時点で金網ってあったんですね。
チェックのロングワンピース(半袖)の下に割りとゴツイ編み上げブーツをはいています。

メアリー・ミレー。画家ミレーの娘だそうです。かわいいです。
この本の表紙にもなっています。

エフィー・ミレーも画家ミレーの娘です。メアリーの姉妹なのでしょう。
ショートカットの少女です。服はふわふわワンピースで、タイツは網(縦横直角)状の模様があります。

ローリー嬢は、きついパーマのロングヘアーです。乙女騎士のコスプレで、他のモデルよりは大分大人に近いです。

ベッシー・スラッター。モルモットもベッシーもかわいいです。椅子が立派でデザインがおしゃれです。

アリス・リデル。この子が、不思議の国のアリスの主人公アリスのモデルです。
挿絵とは似てなくて、黒髪オカッパ少女です。とても整った顔の美少女です。
アリスの横顔滅茶苦茶かわいいです。服のフリフリも、ボブカットの髪もとても良いです。

リデル姉妹の写真もあります。中国娘なアリスとロリーナが激かわ。
リデル家の子供集合写真は、構図も服もよく、皆美形です。

成長して胸も大きくなり貫禄の出たロリーナ・リデルは貴婦人というかんじで優雅です。
18歳になったアリス・リデルは、悲しいような不満なようなむすっとしているような表情で写っています。
これはこれで美人です。

19世紀写真史においてのキャロルというコラムがあります。
キャロルは少女写真を撮る前は、解剖学科所蔵の骸骨を撮影したり、別の写真家による「ロンドン塔内の殺害場面」という合成写真を見て感心したりしていたそうです。
キャロルとカメラという組み合わせ、その出会いに、すでに死の臭いが漂っていますね。
冒頭の解説で、著者は、不思議~の帽子屋がキラキラ星のリズムを外して打ち首を宣告されるシーンについて、「拍子を外すは、英語で“murder the time” 、つまり“時間を殺す”」という所に注目しています。

キャロルは日記に、これまで撮った、これから撮る少女の名前リストをつけており、その数107人だそうです。
しかも、誕生日を併記しているあたり、かなり年齢にこだわりを感じさせます。

アリス・エミリー・ドンキンとアリス・ジェイン・ドンキンという二人の少女(かなり成人に近い)を撮影した写真には、「二人のアリス」という題がつけられています。
ジェインはキャロルの弟と結婚したそうです。後に義理の妹になったわけです。

ラトウィジ姉妹。キャロルの母方の叔母二人の写真です。ふりふりリボンとドレスで共に独身ということで、映画版に出てきた「おばさん」を連想しました。

牧師パーカーと娘メイ。アーサー・キューズと娘アグネス。
女の子の父親もきっちり写っている写真です。
どちらの父親も、髭もっさりで、本来どんな顎をしているのか分からないほどです。
その他の写真も、写りこんだ男性は、皆、髭をたくわえています。
そんな中、キャロルは髭がなくてツルツルの顔をしています。

25歳時のキャロルなど、なかなかのイケメンです。
マクドナルド家の少女達と写った写真でも美男子に見えます。
写真写りが良かったり、白黒で細部が白く飛んでいるせいかもしれませんが。
黙っていたら大人の女性にモテそうです。
ただ、髭を生やしてないので、男らしさという魅力が足りないのかもしれません。当時の女性達からすれば。
キャロルは、前髪とサイドを巻き毛にしており、服装もスマートなので、オシャレには気を使っていたようです。

妖精の料理人たちというタイトルの写真は、妖精がコックとして働いているという設定です。
二人の少女がエプロンドレス的な服装をしています。すこしメイドっぽいです。

またコラムが入ります。
不自然に足を投げ出した少女の写真は、エロティックにも見えるし、死体のようにも見えるということで、エロスとタナトスが重なったものだととしています。

キャロルは、本当は少女の裸体を美しいと思い、撮りたかったようです。そして、実際に撮ってました。
親の許可なしに子供の裸を撮るのはまずいとは思っていたようです。

不思議の~でシロウサギの家で体が大きくなってつかえたアリスが、子宮の狭さに抵抗する胎児に見える というようなことが書いてあるのですが、それはまったく考えてもみませんでした。言われてみれば、という感じです。これも、死と再生をイメージさせますね。

ヴィクトリア朝時代は、「脚」が性的にタブー視され、テーブルの脚まで布で覆われたというのは、ネタじゃなくて実話なんでしょうか。
成人女性の裸体は完全にアウトですが、少女ならギリセーフ、で、別にロリコンじゃない人も少女写真を撮ったりしたようです。
抑圧が新しい芸術を生む例だと思います。

乞食ルックのアリス・リデルも可愛いです。前髪パッツンオンザ眉毛です。
乞食娘が当時、写真界の人気モチーフだったそうです。なにゆえ…。

モード・コンスタント・マルベリーの肖像は、上半身裸で、7歳の割には左胸が大きく見えるという写真です。
キャロルは、別につるぺた至上主義ではなかったのでしょうか。これが、上記で、エロティックにも死体にも見えると言われていたものです。間をとって、人形っぽくもあります。

オスカー・レインダーという人の撮った少女写真が載っています。
絵画的な全裸少女です。

作者不詳の少女ポストカード写真三枚がえろかわすぎるんですけど。ちょっと百合っぽいし。
ポーズがいやらしいです。が、本人達よくわかってないのか笑顔です。

キャロルじゃない人が撮った大人のアリス・リデル写真があります。
顔は、クリムトの絵に登場するようなしっかりした輪郭で、わずかに子供の頃の面影があります。
美人ですが、個人的には、7歳の時の方が好みです。

この写真集には、アリス・リデルじゃないアリスも沢山いました。
この当時は、アリスっていう名前の女の子が多かったんですかね。
それとも、キャロルがこだわりを持って、アリスの名を持つ女の子を選んで撮影していたのでしょうか。

クローシェイにより撮影された、リアル乞食の少女写真も載ってます。
これは、やらせや作りではなく、本物だそうです。

少女売春婦の全裸写真は、グロテスクにすら感じられるんですけど、これは一体…。

結論…女の子は服を着ていた方が萌える!

テーマ:写真 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2010/04/24(土) 15:04:59|
  2. 雑記

猫写真 シマ、クロミ、コッコ

ケータイを機種変したので、カメラ機能を試してみました。
これはもはや、携帯電話というよりデジカメかもしれません。

手前がシマ、奥がクロミ
シマどあっぷ


少しビビっているコッコ
コッコびびり


我が家には他にタマ、ミミ、チョビという猫がいます。

テーマ:猫写真 - ジャンル:ペット

  1. 2010/04/24(土) 12:13:24|

ティム・バートン/ジョニー・デップ映画「アリス・イン・ワンダーランド」感想

Alice in Wonderland (2010) (Score)Alice in Wonderland (2010) (Score)
(2010/03/03)
Danny Elfman

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【あらすじ】
幼いアリスはいつも不思議な夢を見ていた。
19歳になったアリスは、富豪の集まるパーティーで求婚されたが、答えることができないまま逃げた。
白いウサギを追いかけ兎穴に落ちたアリスは、不思議の世界の迷い込む。

【途中まで、ネタバレなし感想】
エンドロールでもジョニー・デップの名前が最初でしたし、映画ポスターや書籍なども、ジョニー扮するマッド・ハッター(帽子屋)がメインなようです。
なので、マッド・ハッターが主人公の物語なのかもしれないと思っていましたが、見てみたら、アリスが超主人公でした。

萌えというより燃え映画でした。熱血王道ストーリーに変てこな要素が混じってるという感じです。

今までいくつか見たティム×デップ映画は、結構グロ要素があってギャーってなってたんですけど、(理髪師は怖すぎて見てない)今回はそんなにグロくないです。
しいていえば、目はやめてーーーーーー!目はーーーー!No!MORE!針!
あれはCGあれはCGだから誰も痛くないのー!と思ってもビクってなります。
小さき物にとっては最大の攻撃ですけど。

変人やはみだし者へのエール的な何かを受信しました。
また、自分で道を選ぶことの大切さや、運命から逃げないことの力強さ等、まっとうなテーマも描かれていたと思います。

原作小説は、「不思議の国のアリス」(邦訳)しか読んでないのですが、この映画は、「鏡の国のアリス」もミックスされているようです。
「不思議〜」成分としましては、水タバコを吸う青い芋虫(アブソレム)、体の小さくなる薬、体の大きくなるクッキー、ドードー鳥、ヤマネ(眠りねずみ)、赤の女王、フラミンゴと針鼠(?)を使ったゲートボールみたいなやつ、トランプの兵隊、チェシャ猫(ニタニタ笑う消える猫)、三月ウサギ、きちがいお茶会、時計を持った白ウサギ、赤の女王のタルトを盗む、首チョンパの刑に処す くらいですかね。
それと、穴に落ちてすぐ、扉に囲まれた部屋で鍵を取る場面は、かなり原作に忠実な気がします。

ストーリーは、ほとんど別ものです。要素だけを再構築したオリジナルと言っても良いのではないでしょうか。
原作ほど取り止めのないカオスではなく、起承転結がある分かりやすいお話になっていました。

「不思議の国のアリス」(原作)感想はこちらです

「鏡の〜」原作におけるジャバウォック(ジャバウォッキー)とはどういうものなのでしょうか?この映画だと、竜っぽい化け物なんですけど。多分、赤の女王側の生き物です。

アリスが少女ではなく19歳なことにより、新たな世界が広がったと思います。
原作の少女アリスは、「私は誰なの?」「自分が昨日までのアリスなのか分からない」といった感覚になるのですが、この映画では、地下世界で皆から「昔(6〜7歳の時に?)来たアリスじゃない」「違うアリスだ」と言われまくります。また、「あの頃に比べて強くなくなった」とも。
それにより、昔の自分との自己同一性があやふやな感じが面白かったです。

また、不思議の国前後のリアル世界が、原作とは大きく異なります。
大人なので、もう結婚適齢期ですし、子供の時とは違う意味で、現実に決断を迫られる時なのです。
不思議の国に行った事で、リアル世界にどんな影響を及ぼすのか、という話でもあります。

アリスは、不思議の国をずっと「これは私の夢なの。目が覚めたら消えるの。」と言い続け、子供の頃いつもしていたように自分の腕をつねって目覚めようとしますが起きることができません。

コミカルな歌や音楽が面白かったです。

マッドハッターがよく興奮しすぎてわけわからなくなって大声になるんだけど、制止されて小声になるという、プチ発狂が笑えました。

アリスがとても可愛かったです。
大人の女性なんだけど、少女っぽさも十二分に残していて良かったです。
不思議の国に行く前のアリスは、眉毛の濃さを含め存在が希薄な感じがありましたが、穴に落ちてからはぐっと存在感が増し、顔もかわいくなった気がします。
アリスは、すっぴんメイクに近いです。
服装が何パターンもあって楽しかったです。

小さい動物が全体的にかわいかったです。

私が見た劇場では3D上映してなかったので通常版です。
また、字幕で見ました。

人間的キャラ、動物キャラ、全員役者の声が合ってました。実にしっくりきました。

おお!アリスが少女じゃないなんて!アリスのよさの99%が失われるよ!とお嘆きの紳士さんに朗報。
開始1分足らずで幼女登場。

【以下、ネタバレあり感想】
【“ティム・バートン/ジョニー・デップ映画「アリス・イン・ワンダーランド」感想”の続きを読む】
  1. 2010/04/21(水) 09:29:12|
  2. 映画感想

映画「ハンコック」感想

ハンコック エクステンデッド・コレクターズ・エディション [DVD]ハンコック エクステンデッド・コレクターズ・エディション [DVD]
(2009/09/02)
ウィル・スミスシャーリーズ・セロン

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【あらすじ】
飛行能力と不老不死の鋼の肉体を持つスーパーヒーロー「ジョン・ハンコック」は、怪力で悪人を懲らしめていたが、市民からは嫌われていた。
なぜなら、活躍するたびに建物や道路、車などを破壊し、甚大な被害を及ぼすからだ。
さらに、いつも酒に酔っており、言動、素行が悪いのも好かれない原因である。
ある日ハンコックは、踏み切りで車ごと電車に轢かれそうになっていた男レイを救う。
広報戦略をしているレイは、ハンコックが皆に愛される真のヒーローになれるよう、アドバイスを開始する。

【途中まで、ネタバレなし感想】
嫌われ者のヒーローというのが面白かったです。

冒頭で、「コンニチハー」という日本語ネタがあったのが謎です。

お笑い要素としてのゲイ弄りが何度かありました。
アメリカンヒーローのコミック表紙を見せられたハンコックが、全部「ホモに見える」って答えたのが、酷くて笑いました。「これはホモ」「これは赤いホモ」「これはスウェーデンのホモ」。
皆、筋肉マッチョで、ピタリと体に密着したボディースーツを着てるからでしょうか。

既存のヒーローも、結構町破壊してますよね。彼らは、その賠償を求められることはないんですけど、この話は変な所がリアルです。

まず一旦逮捕されて服役するというのが、愛されるヒーローになる為の道というのは意外でしたが、確かに理に適っています。
反省を示せ、かつ、ハンコックがいかに必要な存在であるかを市民に知らしめることができるのです。

ハンコックに、自身の迷惑行動を見せるシーンがありました。その時、youtubeが使われています。

出だしを見て想像した話の筋と少し違いました。特に後半。
事前に情報を持ってなくて良かったです。

【以下、ネタバレあり感想】
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テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/04/19(月) 22:51:08|
  2. 映画感想

映画「007 慰めの報酬」簡易感想

007 / 慰めの報酬 (2枚組特別編) 〔初回生産限定〕 [DVD]007 / 慰めの報酬 (2枚組特別編) 〔初回生産限定〕 [DVD]
(2009/06/26)
ダニエル・クレイグオルガ・キュリレンコ

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【あらすじ】
将来を誓った女性ヴェスパーを殺した犯人を追っていたジェームス・ボンドは、その過程で、地球環境の為の慈善団体を装った組織を持つ男ドミニク・グリーンにたどり着く。
国家の中枢に食い込みつつ、天然資源を獲得しようと暗躍するドミニクを、ジェームス・ボンドは止められるのか。

【途中まで、ネタバレなし感想】
ボンドシリーズを一作も見たことないのに、いきなり見ました。
これって、前作からの続き物だったのですね。
前作を見ていないことと、途中まで画面表示サイズをミスっていて、字幕が途中で切れていたせいで、ストーリーがあまり理解できていません。
見て分かった範囲で感想書きます。

メインヒロイン(ボンド・ガール?)のカミーユがすごく可愛いです。
ボディメイクなのかもしれませんが、褐色肌と黒いボブカットヘアーが似合っており、健康的なセクシーさがあります。適度に筋肉がついているのが良いです。

冒頭から派手なカーチェイスです。銃で撃ちまくりですし、その後も度々お約束とも言えるようなアクションシーンが連続します。
高い所で戦う、屋根を走る、鉄骨が回る、採掘場に行く、車の上に落ちる、などなど、もはや様式美です。

ボンドって割とすぐ人殺すんですね。

Mっていう婦人がボンドの上司なんですけど、彼女が化粧落とししながら喋っているシーンが印象的でした。

舞台は近未来なんですか?
諜報ツールとか、人物顔認証システムだとか、その他、3Dっぽいパネル上にあるウィンドウを指で動かすとか、どこかのコンピュータ会社が提唱する「10年後の世界」的なエフェクトでした。

ボンドって乗り物ならなんでも操縦できるんですかね。

全体的に、男性より女性の方が背の高い映画でした。ハイヒールというのもあると思いますが。

オープニングは、MAD映像作るのに向いてそうなものでした。実際作って公開しちゃ駄目ですけど。

なぜかサブタイトルを、「裏切りの報酬」だと思い込んでました。

【以下、ネタバレあり感想】
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テーマ:今日観た映画 - ジャンル:映画

  1. 2010/04/19(月) 21:46:55|
  2. 映画感想

村上春樹「1Q84 book3 10月-12月」イチキューハチヨン3 感想

1Q84 BOOK 31Q84 BOOK 3
(2010/04/16)
村上春樹

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book1とbook2の感想はこちらです。

以下、book1とbook2が手元にないので、かなりうろ覚えで感想を書きます。
また、book3は続編という性質上、前回までのネタバレを含みます。

【あらすじ】
牛河編、青豆編、天吾編からなる。
牛河は、教団リーダーが殺された件を受け、容疑者と、指示を出しているかもしれない老婦人の調査をする。
青豆は、某所に潜伏しながら穏やかな日々を送りつつ、公園のすべり台を監視する。
天吾は、塾講師の仕事をやすみ、離れた町で昏睡状態の父親に本を読み聞かせている。

【途中まで、ネタバレあまりなし感想】
あらすじを読んでも分かりますとおり、青豆は死んでいません。拳銃自殺を思いとどまったのです。
口に銃をつっこんで撃つとか、性と死のメタファーっぽいですよね。実際、その死に方したミュージシャンとかいますけど。

牛河編というのは、book3からですね。
うしかわ って読むんですかね。彼が前巻までにどんな役割をしていたのか良く覚えていません。天吾に近づいて調査していた人ですね。新日本学術芸術振興会理事を名乗って。

比較的長い一文をほぼ丸々繰り返す言い回しが何度か出てきました。意外とくどくないし面白い味わいがあるものですね。反復法というやつに近いのでしょうか。

青豆編と天吾編は、途中まで、本を読む、家事をする、というような行為をしていて落ち着いた静かな時間が流れていました。

天吾、自分を麻薬に誘うような看護士に、自然な好意持っていられるってどういうことなの…。悪事に引き釣り込もうすんなよ!こいつヤダ!とは全く思わないのですね。法律的に悪とされていることは知っているけど、本心は別にそう思っていない感がありました。

ふかえりってマザじゃなくてドウタじゃないか?説ってネットでも見たことあります。

作中、さまざまな小説や心理学、音楽が引用されていますが、分かったのは「ソーニャに出会わなかったラスコーリニコフみたいなものだ」だけです。
「罪と罰」ですね。 →罪と罰感想はこちら

この本、というか3冊通して面白かったです。
ただし、反社会的な要素が多いので、健全な少年の育成的なサムシングからするとアレです。多分、高校生くらいが読んでも大丈夫だと思いますけど。

【以下、ネタバレあり感想】
【“村上春樹「1Q84 book3 10月-12月」イチキューハチヨン3 感想”の続きを読む】

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/04/19(月) 00:21:14|
  2. 読書感想文(小説)

松本清張「分離の時間」

分離の時間 (新潮文庫 ま 1-30)分離の時間 (新潮文庫 ま 1-30)
(1974/06)
松本 清張

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【あらすじ】
タクシー運転手による乗車拒否に度々腹を立てている土井俊六は、タクシーのナンバーをゴロあわせで覚えることにしていた。
ある日、俊六の乗ったタクシーの運転手が、客の紳士に男色の誘いを受けて困ったという話を聞く。
そのエピソードはすぐに忘れたが、後日、ホテルの一室で政治家が殺されたと報道される。
政治的暗殺ではなく女性問題のスキャンダルに発展する可能性もあったが、その線は薄いようだった。
俊六は、殺された政治家の行動範囲と見た目が、以前聞いた男色紳士と似ているのではないか?と気づき、覚えていたゴロでタクシー運転手に問い合わせる。
表題作他一本収録。

【途中まで、ネタバレなし感想】
探偵でも警察でもない一般社会人が、ひょんなことから世間を騒がす事件に関わっていく話です。

タクシー運転手から男色未遂の話を聞いた主人公の俊六は、男女の話ならいいけど、男同士ってちょっとなぁ…嫌悪が伴うわぁ…みたいに思います。
ホモフォビア(同性愛嫌悪)の傾向がある俊六ですが、その後、同性愛に関する書物を読んだり、そういった人たちの心理を勉強したりします。事件に関わるからです。
俊六が友達の週刊誌記者(男)に会った時に、「山岸は、伸びた髪を掻き上げ、脂汗の滲んだ赤ら顔を向けた。笑うと、歯並びの悪い口元が可愛く見える。」っていう文章が出たのですが、え?これ俊六の主観? ホモフォビアの人は、実はホモの気があるからこそ嫌悪するっていうけど、俊六も本当はそういう人なの?と思いました。これは、三人称小説なので、それらの描写は、単なる外見説明なのかもしれませんが。

もう一本の小説は、社会派かと思いきや…。というやつでした。
交通事故で子供を失った父親が、その怒りの矛先を加害者運転手ではなく、スピードを売り物にする自動車会社にも向け、「80km/h以上出なくさせろ」「3年間車の製造を中止させろ」という持論を展開するというストーリーです。
昨今の自動車リコール問題にも通じるテーマです。
さすがにこの父親の意見は極端ですが、個人的にはスピードを出して走るのが苦手なので、全体的にスピードダウンしてほしいとは思います。周りが速いとゆっくり走れないので。

【以下、ネタバレあり感想】
【“松本清張「分離の時間」”の続きを読む】
  1. 2010/04/18(日) 23:04:02|
  2. 読書感想文(小説)

DSゲーム「ラストウィンドウ 真夜中の約束」プレイ感想

ラストウィンドウ 真夜中の約束ラストウィンドウ 真夜中の約束
(2010/01/14)
Nintendo DS

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【あらすじ】
4年前に刑事をやめ、レッドクラウン商会でセールスマンをしている男カイル・ハイドは、特殊な探し物をするという裏家業もやっていた。
ある日、セールスの仕事をサボったカイルはクビを言い渡されてしまう。
さらに、カイルの住む「ケイプウェスト」というアパートが、取り壊されることが判明した。
そんな中、レッドクラウンを介さない裏の依頼が、直接カイルに舞い込む。
それは、「25年前に失われたレッドスターを探せ」というものだった。
元はホテルだったアパート「ケイプウェスト」に秘められた過去と、カイルの父親の死が、意外な接点で繋がっていく。

【途中までネタバレなし感想】
前作、ウィッシュルームも好きだったので買いました。→ウィッシュルーム感想
約1日でクリアできました。
ノーヒントでプレイしました。何度もネットで答えを見ようとしましたが思いとどまってよかったです。

ウィッシュルーム同様、「次に何をしたらよいか分からない現象」が発生しましたが、前ほど多くはなかったです。
そういう事態になったら、もう、住人総当りをします。とにかくドアをノックです。
必要なキャラクターだけ扉から出てきてくれます。
謎解きで行き詰った箇所も多数ありますが、触れる所を全部触り、角度を変えては見逃しがないか丹念に調べたら突破できました。
一箇所、入れる扉なのに、なぜか「これを触ったらアウトじゃないか?」と思い込んで、そこだけをタッチしなかったために進めなかった箇所があります。
ゲームオーバーを恐れずにガンガン触るべきでした。

主人公のカイル・ハイド、今作では34歳です。
オープニングからダメ人間過ぎて笑えました。3日間会社に連絡を取らず、予定していた客へも会いに行かず、車で寝ていてクビを宣告されました。
さらに、親友と名乗る男に「俺は親友だと思っていない」と宣言、その自称親友に3日前殴られていたことも判明。これは、酔っていた"親友”スティーブが一方的に悪いんですけど。
また、カイルは郵便受けを1週間以上溜め込んでいて、重要な手紙を見逃していたのです。
家賃を滞納しており、金を掻き集めるのにプレイヤーを巻き込んで必死です。
たいへんずぼらです。
朝10時まで寝てたり、ママからの電話で起こされたり、微妙にかっこわるいです。
見た目、音楽の趣味、喋り方などは、いかにもハードボイルドっぽいのに、どこか抜けてます。
大人の渋さと青臭さの狭間なお年頃です。
またしても、鏡を見て「なかなかの男前だ」とか言ってました。
自惚れ屋でもあります。

カイルは、人間嫌いに見えて、一端関わりだすとかなりつっこんでお節介を焼きます。熱いです。
カイルの影響で変わって行くアパートの住人達。
シャルル・ジュネは、綺麗な顔立ちをしているので最初、女性かと思いました。
アパート中のメンテナンスを担当しているディランが、面白い立ち位置でした。
あやしげなレックスや、嫌な感じのセールスマンウィル・ホワイト、偏屈じいさんのフランク・レイバー、彼らの素性にはびっくりです。
カイルは、大家さんのマーガレット・パトリス夫人にだけは敬語でした。カイルのていねい語はなんだか珍しく感じて少し笑えました。

ゲームシステムについては、前作とほぼ同じだと思います。
立ち絵とマップ移動のあるアドベンチャーゲームです。

キャラと会話中に疑問が生じると、それが自動的にストックされるので、機を見て相手にぶつけます。
さらに選択肢が出たり、ツッコミを入れるかスルーするかを選べたりします。
会話をしくじると即ゲームオーバーになったりします。
すぐ落ち込んだり、「どうしよう…」「なんて説明しよう…」となるカイルが面白いです。
その時の音楽がコミカルだった気がします。
ゲームオーバー後は、直前からリトライできるので、ストレスが少なくてすみます。
セーブは随時できます。

DSの蓋を閉じるアクションや、タッチペンを駆使した謎解きなどなどDSであることを最大限生かしたゲームです。
マイクやRボタンも使います。
無理やりなタッチイベントではなく、ストーリーに溶け込んでいます。

最初はメモ帳に「○時に誰誰に会う」とか「○時にテレビを見る」とか予定を書き込んでいましたが、別に書かなくてもその時間になればカイルが「そういえば、○○の時間だったな」と脳内で呟いてくれるので、次に取るべき行動は把握できます。
ただ、読み飛ばしてしまった時などの為にメモは取っておくに越したことはないでしょう。

親と子の絆というテーマは良いものです。
タイトルはそういう意味だったのですね。

前作は、一晩を1時間区切りで描いた物語ですが、今作は1週間〜10日間くらいのお話です。
空白の時間があるので、びっしり全ての行動をプレイするわけではありません。
ほぼ毎日カフェで食事するシーンがあるんですけど、これがとても美味しそうなんですよ。
飲めないにも関わらず、無性にブラックコーヒーが飲みたくなります。
カイルは、ハンバーガーをオーダーする時「ピクルス多目でトマト抜き、チーズ入りで」と言ってましたが、トマト苦手なんですかね。34歳でトマト嫌いとは味がありますな。

キャラデザが大変好みです。
ディレクターさんがキャラデザとアニメ総監督を兼任されてるようです。
絵を描く事とゲームを作ること、どちらがメインなのでしょうか。

キャラ達が力をあわせてとっさの嘘をついたり、見張りを立てていけないことしたり、他人に言っていいこととダメなことがあったりと、良い具合にスリリングでした。

カイル以外のキャラクター達も、それぞれの理由でアパートの秘密を探ります。
この絡み合いが面白かったです。
話の本筋以外でも人間ドラマが展開されていました。

前作からのキャラクターも、何人か引き続き登場しています。
また、「ウィッシュルーム」にまつわる小ネタも挟まっているので、そちらのファンにも嬉しいつくりだと思います。
もちろん今作からプレイしても全く問題ありません。

カイルは、朝起きる時いつもうつぶせ状態ですけど、基本うつぶせ寝の人なんでしょうか。

お絵かきチャットで、「ラストウィンドウ」に登場する、カイル・ハイドとレックス・フォスターとスティーブ・ウルフを描きました。三人とも髭キャラです。レックスは、ちょっとジョニー・デップに似ているなぁと思いました。髪を後ろで束ねています。デフォルトでサングラスをかけています。スティーブは、頭の上にサングラスを乗せているようです。女好きの売れないミュージシャンです。
二次創作 同人絵 イラスト


【以下、ネタバレあり
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  1. 2010/04/10(土) 11:05:50|
  2. ゲーム

ジョン・ウィンダム「トリフィド時代」感想

トリフィド時代―食人植物の恐怖 (創元SF文庫)トリフィド時代―食人植物の恐怖 (創元SF文庫)
(1963/12)
ジョン・ウィンダム

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【あらすじ】
緑色の流星群が降り注ぎ、世界中の人々が世紀の天体ショーに魅入ったが、翌日異変が起こる。
主人公のウィリアム・メイスンは、トリフィドという植物の研究者なのだが、流星当日は目を怪我していて包帯で巻いていたため、流星を見ていない。
破滅していく世界と、不自由になった人類。

【途中まで、ネタバレなし感想】
この本を読んだきっかけは、友人がカラオケで、筋肉少女帯の曲「トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く」を歌っていたことでした。
「トリフィド」には元ネタがあるらしいということで、この小説を手にしました。

その曲の歌詞に「♪友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでた」という一節があったので、当然「トリフィド」も「変な本」なのだろう、B級ホラー映画的なものなのだろう、と思っていたのですが、予想外にしっかりとしたシミュレーションといいますか、こういう状況に陥ったとき人はどのような行動を取るのか?という思考実験でした。

トリフィドというのは、三本足を持ち歩行する植物で、鞭状の刺毛を持ち、それで人を刺したり殴ったりしては殺し、腐肉を栄養とする習性を持っています。
植物油が取れるため、人間によって剪定、管理、栽培されています。

本当は、もうすこし先まであらすじを書いた方がいいのでしょうが、何も知らないで読んだ方が、主人公と同化して楽しめると思います。
「この静けさはなんだ、一体何が起こったのか、包帯のせいで何も見えない」という。

流星の日、主人公が、「自分は世界からのけ者にされた」というような気持ちになっていたのが面白かったです。
全人類が招待されるパーティーに、自分だけ招待されなかったようだというのです。
翌日彼は、特別な存在になります。
このことは、普遍的な人生にも当てはまるかもしれません。元々変わり者でコンプレックスの強く、周りから爪弾きにされていた人が、それゆえに選ばれ、特別なことを成し遂げる的な。関係の劇的な逆転です。でも、現実には、そんなシンデレラストーリーに憧れてもうまくいかず、やはりあぶれ者のまま、ということが多そうです。
選ばれし者になったという罪悪感、優越感、開放感、使命感など色々な感情が書かれていました。

物語には、単なる破滅もののパニックストーリーではなく、国家論、社会学的な要素を描き出し、しっかりとした造りでした。
新道徳により、旧道徳により、キリスト教により、封建制度により、新しい世界を作ろうとする人々。
混沌から集落や国家が作られていく過程、指導者の生まれる様子が見られて興味深いです。

流星の降ったトリフィドの日、それまでの旧世界は壊れました。
法律や秩序が通用しなくなります。昨日までだったら悪いことだからしなかった、ということを皆普通に行うようになります。
また、一夫多妻を提唱するものが出てくるなど、人類を存続、子を生み育てることに重きを置く動きや、それに反対するものも出てきます。
トリフィドがいなかったら、もう少し動きやすそうなんですけど、それでも世界は混乱せざるを得なかったでしょう。

伝統的女性観について、きつい物言いながら割りと正論じゃないか?という事を言うキャラがいました。言われた女性はかなり不愉快になってましたが。
無知が魅力になる時代は終わったと。

【以下、ネタバレあり感想】
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テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/04/07(水) 07:38:20|
  2. 読書感想文(小説)

東野圭吾「新参者」感想 

新参者新参者
(2009/09/18)
東野 圭吾

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【あらすじ】
小伝馬町で一人暮らしをしていた45歳の女性が殺された。
日本橋署へ異動になったばかりの警部補・加賀恭一郎は、日本橋の商店街で聞き込みを行う。

【途中まで、ネタバレなし感想】
帯に「このミス(このミステリーがすごい)2010年度版」「週刊文集ミステリー」ダブル1位と書かれていました。

ミステリーではありますが、同時に人情ものでもありました。

皆それぞれ、人に言えない事があるわけですが、何もそれが後ろ暗いものであるとは限らず、他人を思えばこその嘘や隠し事だったりと、優しさがもとになっているものが多かったです。
各章ごとに捜査対象人物が異なり、また、それにともない視点も変わっているのですが、この「隠し事」という点では共通していました。
警察の加賀は、深い洞察力と人を思いやりつつ鋭い所を付く話術で、人物関係の絡まりを解きほぐし、以外な真相を突き止めます。
それは、事件に直接関係がなかったりもします。むしろ、関係ないと証明することで、別の問題が解決していたりします。

新参者、直訳するとニューカマーですかね。
この物語の探偵役 加賀恭一郎 と、被害者女性が、共に日本橋に来たばかりの新参者なのです。
新参者でありながら、昔ながらの商店街をうまいこと捜査していく加賀さんの手腕が見ものです。事件だけではなく、関係者一人一人に対して向きあっているという印象です。
そして、被害者女性が日本橋に来た理由というのがですね、これが良いのですよ。いじらしいというか切ないというか。詳しくは、以下のネタバレゾーンで。

ハードカバーですし、ページ数もまぁまぁ多いのですが、会話文とト書き的説明だけで成り立っている部分が多く、実際の文字数は少ないので、見た目の厚さの割りに短時間で読めます。

舞台の一つになった、浜町。この辺り、他の東野作品でも出てましたね。作者にとって、土地勘のある場所なのでしょうか。

【以下、ネタバレあり感想】
【“東野圭吾「新参者」感想 ”の続きを読む】

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/04/02(金) 15:41:18|
  2. 読書感想文(小説)

永井俊哉「ファリック・マザー幻想」 感想

ファリック・マザー幻想―学校では決して教えない永井俊哉の“性の哲学”ファリック・マザー幻想―学校では決して教えない永井俊哉の“性の哲学”
(2008/12)
永井 俊哉

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上の画像の下3/4くらいの灰色の部分は帯です。

【概要】
性についてのお題で書かれたWEBコラムを書籍化したもの。
性愛について、生物学、精神分析学、心理学、遺伝子学、民俗学、文化人類学、宗教学、などの角度から書かれている。

【感想】
トップバッターの記事が「腐女子はなぜやおいにはまるのか」でした。
主にフロイト的な観点から書かれていました。
男性がこういうものを書くと、「女性は当然、受け(女役)に自己投影しているだろう」と決め付けがちだと思うんですが、「攻め」の方にも女性的性格を見出しているのは鋭いかと。
死への恐怖がエロスを高めるってほんとかよ、胎内回帰願望がエロスに繋がってるってマジで?と疑惑感アリアリでしたが、その後を読んでいったら、ちょっとは理に適っているのかものな、と思えてきました。

一夫一婦制はキリスト教の影響が強いのですか。
この本には、一夫多妻制や不倫状態における、嫉妬や独占欲については書かれていませんでした。
前妻と後妻が仲良しな赤塚不二夫みたいな例って珍しそうです。

なぜオスとメスがいるのか、有性生殖が必要なのか、ということが書かれています。
「そりゃあ、無性生殖より優れてるからじゃん?」と思っていましたが、一概にそうも言い切れないようで。
コストパフォーマンス的には断然無性生殖の方が有利なようです。さらに従来の「有性生殖の方が環境に適応した進化ができるから」というのも実際には、無性生殖による突然変異の方が効果的だというのです。
その後出てきた新説というのが、「鏡の国のアリス」の登場人物の名前を冠しています。またアリスか!さまざまな分野に影響を及ぼしていますね。「鏡の~」は未読なのでそのうち。

神聖娼婦なんてのがいたんですね。
バビロニアの女は、一生に一度神殿に行って知らない男と交わらなければいけない。その時男は女の膝元に銀貨を投げ、それは神聖なものとされた。という。
巫女やそういった娼婦などが、神との媒介者であると同時に、性交渉があの世とこの世の架け橋、ですか。そういう発想はまるでなかったです。
生まれてきた時と逆をたどればあの世、だから胎内回帰というわけです。
交換メディアとしての娼婦。
昔は女と女、もしくは、女と女性器に似た貝殻を物物交換していたようで、貨幣の発祥もそれだったりするんでしょうか。

大勢の男女が交わる例のアレですが、昔は宗教的な行事だったようです。
今でも、それを売りにしてる新興宗教もありますしね。
王様ゲームと同じで天を運に任せているというのが、良いみたいです。
通常そういった形で子供が生まれると、誰の子か分からないので責任を持って育てることが困難になるんですけど、宗教的らんこーで生まれた子は神の子として、村全体で育てる風習ができたのだと言います。
著者は、「キリストは宗教的な大人数わっしょいで生まれた」説を提示しています。
なるほど、これなら神の子です。ただ、ガチのキリスト教徒やマリア信仰者に言ったらぶっ飛ばされそうです。

混浴と茶室は、この世のしがらみや身分、財産、仕事、家族の持ち込まれないあの世である、というのはこれまた初めて聞いた考えです。
茶室があの世体験バーチャル空間だったとは…。これまたガチで茶道やってる人からしたらどうなんでしょうか。茶道にも似たような教えがあったりするんでしょうか。

死の危機が迫ると妊娠率が上がるのですか。統計的に真実なのだとしたら、それは種の保存本能なんでしょうね。
夫婦間の合法的な交渉より、GOカン!や不倫など倫理や法律を破った時の方が妊娠率が高いと書かれていました。
死に近い非日常はエロティシズムを高める、だから、性はタブーにしてあり、それを破ることが非日常を作る作用を持つと。
この本で夫婦の性愛は4年で冷める説が出てるんですけど、どんなに好きだった人でも一緒に暮らすと日常になっちゃって刺激がなくなるからって事ですかね。

メスはオスをどういう基準で選んでいるか。これは一大関心事ですよね。
自然界では、オスがメスを選ぶよりも、メスがオスを選ぶ方が圧倒的に多いのですが、父権的宗教の人には不評な事実みたいです。

「オタクはなぜ萌えるのか」という項目で、オタクはいい年してアニメの美少女(もしくは幼女)に萌える男であり、未成熟な存在に萌えるオタク自体、未熟で幼児退行した存在だ、とか書いてました。
ほとんどロリコン扱いです。じゃあ熟女萌えやお姉さん萌えはどうなるんだよ、と思いましたが、それこそ、子供になって甘えたい願望な気がしてきました。
「おたく」という言葉の起源、中森明夫の昔の文章が、身も蓋もなさすぎて面白かったです。引用の引用になりますが
【そいでまぁきゃつらも男なんだから、思春期ともなればスケベ心の一つも出てくるだろう。けどあのスタイルでしょ、あの喋りでしょ、あのセーカクでしょ、女なんか出来るわけないんだよね。それに『おたく』ってさぁ、もう決定的に男性的能力が欠如してんのよね。】
萌えオタは、二次元の、そして大人ではなく少女を性欲の対象としてるという時点で、二重に生殖から遠ざけられています。しかし、完全に性欲を失っていないお陰で、来るべき時に再出発できるから、オタクのバーチャルな萌えは無駄ではない、そうです。それは生物的な意味でですかね。
最近は、イケメンリア充オタクもいますから、また定義が変わってきそうです。

変態が許容されるようになってきた、という話題もあります。どうやら、異常性愛そのものは治療の対象じゃないけれど、本人が苦痛を感じたら病院に来てねって扱いみたいです。
性的倒錯は、どれも直接生殖に結びつかない性欲みたいです。これもフロイト流に幼児期の発達段階と対応させて書かれてました。
成人の性的倒錯に、幼児性と発達障害を見出したと言うのです。
もしそれが本当なら、「この子を将来こういうタイプの変態にしたいわー」って調節することができたりするんでしょうか。そんなことする母親がいるとは思えませんが。

抑圧、去勢、ファルスって言葉が何度も出てきます。
ファルス=男性器だと思ってたんですけど、微妙に違うっぽいです。男の子が母に男性シンボルがないことにショックを受けるも、「いつか生えてくるに違いない」と思ってて、やがて自分がそれ自体になろうとして、でもやっぱりない幻想の存在、ならしいです。なんですと。
それって腐女子の言う「やっべー、萌えすぎて、心のtlinkoがおっきしちゃったよー」ってやつじゃあ…。違うか。
それと、男の子が去勢を恐れているってのも本当なんですかね。(男性は大人になっても恐れているっぽい?)
フロイトとかが実際に子供の調査したんでしょうか。あ、でもその時期の子供って喋れないかもだから、思考実験みたいな仮説なのでしょうか。

プラトニック・ラブっていう言葉を誤解していたようです。えろ性愛を伴わないラブだと思ってました。
自身が同性愛者のフィチーノ。彼は、美少年の裸を賛美してたプラトンの本を翻訳して出版したかったのだけど、「異教の同性愛文学を紹介した人」ってことにされると、キリスト教に抵触して火あぶりにされるかもだから、精神的な愛だけ強調した注釈書を書いたそうです。
フーコーという人も、古代ギリシアの愛についてアプローチしたそうですが、彼は同性愛者でエイズで死んだそうです。
哲学者、同性愛者多すぎですよ。なにゆえ。哲学者だから同性愛者になったのか、同性愛者だから哲学者になったのか。
以下、本文中より引用。
【美しい人を愛するのではなく、美しい人のなかにある美しさそのものを愛すること、美のイデアを愛すること、これが本来の意味でのプラトニック・ラブである。】
【プラトニック・ラブに満足する人には、プラトニック・ラブの価値が分からない。プラトニック・ラブに価値を見出さない人こそ、プラトニック・ラブの価値がある。プラトニック・ラブは、実現しないことで実現する愛なのだ。】
えええええー、じゃあどうしたらいいのか…。これもファルスと同じような存在なのでしょうか。

他にも色々書いてありましたが、2時間で読めました。
  1. 2010/04/01(木) 17:41:14|
  2. 読書感想文(小説)

ヘルマン・ヘッセ「幸福論」 高橋健二・訳

幸福論 (新潮文庫)幸福論 (新潮文庫)
(1977/01)
ヘルマン ヘッセ

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私が読んだ本の装丁は、上の画像とは異なります。

【概要】
ヘッセが晩年に書いた、随筆、エッセイ的短編、回想録などを集めたもの。

【感想】
没時間的、宇宙的な、特に子供時代の幸福な感覚について何度か書かれていました。

ずいぶん子供時代を細かく覚えているなという印象でした。少しは記憶が変質し、脚色されていそうですが、当時の感覚が増幅されて細部まで拡大されたような描写でした。

よく、ヘッセの作者紹介やプロフィールに書かれている神学校を脱走した件については、何度か書かれていました。
人生の一大転機だったのでしょう。

ヘッセ作品のタイトルがバンバン出てきます。
その内容にも触れていますが、私はヘッセ作品を2~3しか読んでいなかったので、全然ついて行けませんでした。
「ヘッセの本ならほとんど読破したぜ!」という人がこの「幸福論」を読めば、「ああ、あのエピソードね!」「ふうん、あの本を書いた時そんなことがあったのー、なるほど!」となるでしょう。

表題作の中の以下の部分が気になりました。
【幸福を体験するためには、何よりも、時間に支配されないこと、同時に恐怖や希望に支配されないことが必要だからである。】
希望が幸福の阻害条件だとは思ってもみませんでした。てっきり肯定的なベクトルという点で一致しているものと。
ヘッセ独自の考えだと思いますが、逆説的で面白いです。

ヘッセは、「湯治客」という手記を発表したのですが、それから数十年経っても、湯治場で客に「あれ、読みましたよー『湯治客』」と話しかけられまくり、それがとても煩わしかったのだそうです。
そんな中、面と向かってヘッセの「湯治客」批判する青年が現れます。
後で思い返せば、その時にこう諭せたのに、とか、こう言い訳できたのに、というのが沢山あるのに、批判されている間は全く思いつかず、ただただ彼の言う通りだと認めることしかできませんでした。
青年は、老子の「道」(タオ)的な奇跡のサムシングを信じていて(?)、すべてに心を開き、何も軽蔑せず、あらゆるものを心に貫通させるべし、それこそが道徳のような何かだ…、と思い日々過ごしていたのに、不完全で俗悪な「湯治客」を読んで腹立っちゃったよ、ってことは、すべてに心を開けてないってことじゃん!!みたいなことで怒っていたようです。
作者に言ってもどうにもならないと思いますが、彼なりに信念の危機だったのでしょう。
ヘッセは、その後数日間へこんだそうです。

ヘッセが孫からもらった物語と、自分が子供時代に書いた物語を比較します。
どちらもすごくよくできた童話でした。
それが全て、見聞きしたものの借り物で構成され、自分の経験を通していないとしても、何を借りてどう使うかと言う所にセンスが発揮されています。

神学校の生徒が、ヘルマン・ヘッセを尊敬しているという短編があります。
最初、自画自賛かと思いましたが、違いました。これは、本当にヘッセを模範としていた後輩少年をモデルに創作されていたのです。
その神学校生は、人生に躓き、情熱を持たずに学校を卒業して、商人に、その後、ヒトラーに抵抗して逮捕され、その時の迫害が元で精神病院に入りひっそり亡くなりました。
彼の友人がヘッセと文通していたため、ヘッセはそのことを知り、彼の人生を書いたのです。
モデルの神学校生だけではなく、全ての人生うまくいかない人への、慰め、同情、癒しのようなものを感じなくもなかったです。それと追悼。
ヘッセはラッキーと才能で、神学校飛び出してまでやりたかったことができたけど、現実は依然厳しく、大多数の人は、後輩神学校生と似たような道を歩むのだ、という戒めでもあるかもしれません。

ヘッセは、若い人から自作詩句の添えられた手紙を貰うことが多いのですが、どの作家から影響を受け、また、どの詩が模倣への刺激を直接与えた作品なのかが特定できるほどだと言います。
「なんではじめから詩になってるものを真似するのかね、おめでたい」みたいに毒づくようなことを思っていた老人ヘッセですが、いざ、自分が16の時に書いた詩を読んだら、その若者達と同じく模倣からはじめていたことが判明して恥じ入りました。
しかし、同時に新たな発見が。
肝心なのは、できあがる詩そのものではなく、大人の仮面をかぶるという遊戯だった、と気づくのです。

日本語訳されたヘッセ作品を読んだ青年から手紙が届きます。
それにより、ヘッセが実際体験し耐え忍んだこと、さらにそれを10年後小説として客体化しようと試みたことが、半世紀経っても消滅しなかったことが明らかになります。
この事は、その前書いてあった【成功しているにせよ、いないにせよ、この本(「車輪の下」)にはやはり、ほんとに体験され、悩まされた生活の一端が含まれていた。そういう生きた核心は時として、驚くほど長い時間を経て、まったく別な新しい事情のもとで、また働きを発揮し、そのエネルギーのなにがしかを放射することができるものだ。】という文章の根拠にもなっています。

【関連記事】
ヘッセ「デミアン」感想
ヘッセ「車輪の下」感想

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/04/01(木) 02:03:47|
  2. 読書感想文(小説)

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