野良箱

同人漫画サークル

映画「シャーロック・ホームズ」感想

ホームズ2シャドウ・ゲームの感想はこちら。
以下、「1」(無印)の感想です。

シャーロック・ホームズ オリジナル・サウンドトラックシャーロック・ホームズ オリジナル・サウンドトラック
(2010/03/03)
サントラ

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【あらすじ】
黒魔術による連続殺害事件の犯人ブラックウッド卿は、探偵ホームズと医者ワトソンの活躍により逮捕され絞首刑に処された。
しかし、ブラックウッド卿は墓から蘇り、新たな殺人が起こるのだった。

【途中までネタバレなし感想】
コナン・ドイルの古典小説に着想を得たコミックが原作で、さらにそれのオリジナルストーリーが今作のようです。

ホームズの日本語版小説は、おそらく長編1冊、短編集2冊を読んだことがあったと思います。
かなり記憶が曖昧ですが、思い描いた人物像は以下の通りでした。

ホームズ→観察眼がある、推理力がすごい、変人、阿片中毒、ヘビースモーカー、ナルシスト、偉そう、性格悪い、演技や変装に自信あり、ワトソン君の扱いが酷いけど本当は大事な友達だと思っている。

ワトソン→まとも、おだやか、優しい、推理力が足りないがその素人考えが逆に新鮮でホームズにヒントをもたらすことがある、ホームズにこき使われているがとある一件で凄くホームズの友情を感じて感動 これまでの奉仕はこのためだったくらいに思うけど 本来もっと大事にされてもいいのでは な人。

なぜかはじめからホームズに紳士的、クール、というイメージがなかったんですよ。
なので、今回の映画版、若干だらしなくて、服装も髪型もビシっとしてなくて、無精髭、言動がスマートではないホームズも、あっさり受け入れることができました。

で、ワトソンなんですが、ビジュアル的に犬アニメ版の印象が強かったのか、少し太っているという先入観があったんですけど、ジュード・ロウ演じるワトソンがめっちゃくちゃ男前でした。テライケメン!背が高いし、表情やしぐさもかっこいいし、スタイルいいし。
とはいえ、性格的に完璧というわけではなく、すぐ激昂するし、ホームズに対する尊敬が原作より少ないっぽく「やれやれこの人は本当…」みたいな呆れ、「俺はそこに行くがあんたは来るなよ」的な突き放しなどを感じさせました。また、闘拳などギャンブルをするようで医者の割りに金を持ってません。それと、ホームズに顔面パンチしてました。

そんなダメ男二人ですが、とても武闘派、肉体派でした。
この作品、アクション、バトルシーンがとても多いんです。
全体に占める割合も相当なものでした。

ワトソンが、退役軍人で仕込み杖を使っているという設定って原作でもありましたっけ?

推理には、主に事前型と事後型がありました。
「こうしたらこうなってああなるだろう」というイメージをスローモーションで全て流した後に、その通りの行動をするのが事前型で、後になって「こうだったのではないか」と想像したシーン、もしくは真相を映像化しているものが事後型と呼べるでしょう。
他に、リアルタイム推理もありました。これは、そんなに重大ではない場面でサラっと行われます。映像化はされません。セリフのみです。
推理パートの演出が良かったです。
音声、映像などの手がかり断片が、時系列もバラバラに想起されて答えが出たりするのです。

黒魔術や教会組織など、オカルト色の強い話なのですが、その度合いはゲーム「レイトン教授」やドラマ「ガリレオ 湯川学」と同等でしょう。
「まじないとか宗教とか魔法とかそんなの信じないし大嫌いだよ」という人にもお勧めの映画です。

ホームズとワトソンの関係は、なんだかフランクでした。そんなに上下関係はなかったです。
一応、ワトソンの方が助手ってことなんですけど。

地方情報誌「JAM ジャム函館」の中で、この映画は「抱かれたい度:★★★★★ ジャンル:男色探偵アクション ジュード・ロウ演じるワトソンは、ぼくが抱かれてもいい男ベスト3」などと紹介されていたので、どんだけゲイゲイしいのだ、と思っていましたが、映画を見る限り、ホームズもワトソンはノンケ(ストレート、異性愛者)のようでした。
しかし、それらしい関係を臭わせる描写もなきにしもあらずだったので、腐女子がBL二次創作やるには絶妙のさじ加減だったのではないでしょうか。ガチホモより、はっきり描いてないけど想像を掻き立てる、くらいが丁度良いらしいですよ。
別に制作者がピンポイントに日本の腐を狙うわけはないんですけど。

ホームズとワトソンはお互いにツンツンしていました。が、時々デレを見せていました。
具体的には、以下のネタバレゾーンで書かせていただきますね。

メインヒロインのアイリーン(?)は、普段化粧がケバケバしいんですけど、ほぼすっぴんでナチュラルメイクの時の方がかわいいと思いました。

映像も音楽も演技もストーリーも安心して見られる高いクオリティで、何一つ安っぽくなかったです。

【以下、ネタバレあり感想】
【“映画「シャーロック・ホームズ」感想”の続きを読む】
  1. 2010/03/29(月) 02:59:22|
  2. 映画感想

ジャン=リュック・ゴダール「気狂いピエロ」(きちがいぴえろ)感想

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(2002/09/27)
ジャン・ポール・ベルモンドジャン・リュック・ゴダール

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【あらすじ】
妻のいる男フェルディナンは、退屈していてどこかに行きたかった。(っぽい)
ある日、パーティでマリアンヌという女性と再会し、夜が明けたら見知らぬ男が死んでいた。
マリアンヌは兄の居る南仏に行くというので、フェルディナンも付いていった。

【途中までネタバレなし感想】
死体を見つけてからのカメラワークが面白かったです。長まわしだったような。

小説でいう「地」の部分と言いますか、本来なら音として発声するものではない文章が、ナレーションとして流れている箇所がいくつもありました。
フェルディナンとマリアンヌの声が交互に同時に聞こえてくる様は、朗読劇のようです。
時間がすっとんでいる部分も、その手法であらすじのように説明されていました。

予告だと何度も「冒険映画」と出ます。
たしかに、ロードームービーのように旅はしますし、殺人や強盗まがいの暴力、ギャング的な人に追われる描写など、形式としては冒険映画には該当しそうなのですが。でもなんか違う感じもします。
「冒険映画」を踏まえつつ茶化してるような。

メタ・フィクション的手法とでもいうのでしょうか。
フェルディナン「彼女はいつもこうだ」
マリアンヌ「誰に言ってるの?」
フェルディナン「観客さ」
など、「自分達は映画の中の存在」というのを分かっているような描写がありました。
突然、役者数人が自分のプロフィールを語るドキュメンタリーのような映像が始まります。
その中で一人が「僕は今、エキストラとして映画に出演している」と言うのですが、これも「今みなさまがご覧になってるこの映画は作り物ですよ。この人達が演じているのです。」という実験的おふざけメッセージを感じさせました。

これらの演出に何か意味はあるのか。ないのか。
見た印象としては「意味はないが面白いからやった」感がありました。

音楽の入り方や音量、突然の消音など、音の演出がめちゃくちゃで印象的でした。

文字のみが画面に映し出されることが頻繁にありました。
手描きの日記のほか、イメージ的に挿入されるテロップみたいなものもあります。
「人生」とか「ハリウッド」とか。
日記の中で、「本や絵は見る側が解釈する」みたいな文があったのですが、この映画はまさにその手合いで、相当ナンセンスです。
「この映画を読み解いて人に解説できるならしてみろ!深読みできたらするがいい!」という内容でした。

断片的な場面場面、セリフなどは妙に頭に残り、笑えるくらい変な部分も沢山ありました。
フェルディナンがカフェかバーみたいな所で一人の男に声を掛けられます。
男「君は○年前にうちに泊まって、その時○○フラン貸したね。うちの嫁と寝ただろう。」
フェルディナン「ああ」
男「じゃあな」 退場
っていう。
えええええええ。そのことについてリアクションはないのか。
そんな説明ゼリフを言うためだけに登場したのか。なんなんだ、と言う感じが面白かったです。

それと、フェルディナンが、「音楽が聞こえ続ける」と騒ぐ男の話を聞く部分もカオスでした。
男は、延々音楽との出会い、いまうんざりしていることなどを語り、「俺は変なのか!?変だったらはっきり言ってくれ!」と言います。フェルディナンは、「変だ」と一言。
このくだりなんだったのでしょう。
主人公フェルディナンの妻への愛が、結婚してしばらく経った今、すっかり冷めてしまったことと重ねてあるのでしょうか。

アメリカを馬鹿にしているのか、何度もベトナム戦争ネタが出てきました。
観光客相手に小芝居をしているシーンで、とりあえず知っている英単語を言っとけな感じがギャグでした。
「観光客は現代の奴隷だ」 深いのかそうでないのか分からない一文です。

海や山、川などの色合いと構図が綺麗でした。
引きの画が多めで、人物がめっちゃ小っちゃく映ってるシーンがいくつもありました。
林の中を歩いている時、カメラ位置が上過ぎませんでしたか。
歩く人物の頭がかろうじて映っているという、ギリギリな視点です。

マリアンヌは、フェルディナンのことを「ピエロ」と呼びます。
その度にフェルディナンは、「フェルディナンだ」と訂正します。
このやり取りは何度も繰り返されました。
フェルディナンは、道化と呼ばれるほどお調子者ではないし、挙動もおかしくないのに何故「ピエロ」と呼ばれるのでしょうか。

コラージュ的に、絵画や漫画の画像が挿入され、また、いくつもの小説や作家を引用していました。

走る車がカラフルな街灯に照らされるシーンは、スタジオに車を停めて、色の付いたライトをくるくる回して当てて撮ったのだろうと想像されたのですが、その嘘臭さがよかったです。逆におしゃれでした。チープかっこいい。

急にミュージカル調になるのですが、どこからか沢山の人が出てきて踊り、彼らの退場を待たずに場面がぶった切られて次に行ったりします。「え、さっきの何?」「今、ミュージカルになる必然性あったか?」状態でシュールでした。

【以下、ネタバレあり感想】
※物語の結末に言及していますので、未見の方は閲覧注意です。
【“ジャン=リュック・ゴダール「気狂いピエロ」(きちがいぴえろ)感想”の続きを読む】
  1. 2010/03/24(水) 14:24:34|
  2. 映画感想

24万ヒットありがとうございました!

24万ヒット記念絵

240000ヒットありがとうございました。
誰向けのサイトなんだか分からないTOP絵です。
なぜか、銀魂の「トッシー」みたいな服になりました。
髪色的にはロード・オブ・ザ・リングのボロミアに近いでしょうか。彼のMMDモデルは笑顔が眩しすぎます。

髭ロン毛マッチョが描きたいのに、筋肉の構造が分からないので美術解剖図の本を見ました。
腕の筋肉解剖図に「前面 外転位」「外側面 内転位」などというキャプションがついてるんですが、どちらの腕をどこから見て、どう捻っているのかを読み取るのに時間がかかりました。今も把握できてません。
図には、片腕の他、鎖骨と肩甲骨と手の骨だけ描いてあるんです。
後で、そこに顔を描き足そうかと思います。そうすれば一発で分かるはずです。

「雄っぱい」と呼ぶには、胸板の厚さと露出度が少ない気がしますが、Pixivで見たら、男性の胸に目がいけば、薄い胸も「雄っぱい」と呼ぶらしい…です。
「雄っぱい」タグと「ゲイ」タグには相関関係があるようですが、この絵は長髪過ぎてゲイの方には受けなさそうです。
  1. 2010/03/22(月) 01:00:05|
  2. カラーイラスト

映画「ミザリー」感想

小説版の感想はこちらです。
ミザリー(特別編) [DVD]ミザリー(特別編) [DVD]
(2008/11/28)
キャシー・ベイツジェームズ・カーン

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【あらすじ】
事故で負傷した作家ポールは、元看護婦のアニーに助けられ看病された。
アニーは、ポールの書く「ミザリー」シリーズの大ファンなのだが、ポールが作中でミザリーを殺したことに激怒、有無を言わさず、続編を書かせるのだった。
ポールは両足の自由が利かず逃げ出すことができない。

【途中まで、ネタバレなし感想】
通常版と何が違うのか分かりませんが、特別編を見ました。

原作読んだ時点で、恐怖映像やグロ、ホラー、スプラッターに耐性のない私は、映画版は見られないな、と思っていました。
が、見てみたら意外と大丈夫でした。

アニーは普段、本当に人のよさそうな肉付きの良いおばちゃんに見えるんですけど、癇癪を起こした所や、やけにダウナーになっている時などは、とても怖く感じられました。

ポールは、しれっと嘘をついたり、リップサービスをするなど少し余裕のある渋いおじさんでした。内心は、めっちゃあせってるんですけど。嘘は、主に生き残るためのものです。

恐怖場面では、分かりやすく音楽が変わります。それと、影のコントラストが明瞭になるようです。天気による心象描写もあります。

人気作家にとって、愛読者というのはどういうものなのか、そういったことが描かれていると思います。
作品を深く愛好してくれるファンは、一見、作家にとってありがたいもののようで…。

時間経過が飛ぶシーンの描き方がユニークかつ分かりやすかったです。
タイプライターを打つポールにクラシックのBGMが乗っているので、ポールがピアノを弾いているように見えました。

【以下、ネタバレあり感想】
【“映画「ミザリー」感想”の続きを読む】

テーマ:見た映画の感想 - ジャンル:映画

  1. 2010/03/08(月) 08:42:21|
  2. 映画感想

映画「ダークナイト」感想

【途中まで、ネタバレなし感想】
ダークナイト [DVD]ダークナイト [DVD]
(2009/11/18)
クリスチャン・ベールヒース・レジャー

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バットマンシリーズを全く見たことないのに、レンタルしました。
なかなか主人公バットマンの中の人の顔と名前を覚えられませんでした。
ブルース・ウェインっていう社長さんがバットマンの中身ということでOKでしょうか。
元カノのレイチェルは、前作にも登場していたヒロインらしいです。役者が代わってるみたいですけど。

とても面白かったです。
バットマンの敵にあたるのがジョーカーというキャラクターなんですけど、彼が魅力的過ぎて参りました。
ピエロメイクの狂人キャラで、かつ、名前がジョーカーだなんて、ものすごくベタなくらいなのに、かえって新鮮でした。
ジョーカーはどう考えても悪いやつなのですが、この作品においては、正義と悪というのが必ずしも対立項ではないと言いますか、独特の空気があったので、一瞬「悪役」って言い切って良いものか迷いました。

ジョーカーのメイクは、ハリウッドの技術を持ってすればもっと綺麗にできそうなものなのに、ところどころ肌色が見えてたり色にムラがあったりで、ジョーカーというキャラが自分で塗ってる感が出てました。
完全にそういう色の肌をした化け物なのではなく、人間にしか見えません。実際、性格と行動がぶっ飛んでるだけのただの人間だと思います。
Wikipediaを見たら、さまざまな映画賞の助演男優賞を獲得しすぎです。
演じたご本人は若くして急逝されて、受賞をご存じないんですけど。
ジョーカー役のヒース・レジャーは、享年28歳ということで驚きです。ジョーカーって48歳くらいのイメージで見てたので。
銃の構え方やぶっ放し方、その他の仕草、喋り方、歩き方などが、いちいちかっこよく、それでいてかわいらしかったです。
こういうのをまさに「主役を食う悪役の怪演」って言うんでしょうね。

ジョーカーのことばかり書いていますが、物語の筋も大変興味深かったです。
アメリカンヒーローものってろくに見たことないのですが、漠然と、「すごい悪い敵がいて、それを正義のヒーローが倒して拍手喝采、ついでにヒロインとのラブロマンスもあって大団円」かなと思ってました。
ところがダークナイトは色々と違いまして。
たしかに悪い敵がいてラブロマンスもあるんですけど、その方向が意外でした。

日本のオタクが凄く好きそうな、少なくとも私の好きなテーマでした。
正義とは何か、悪とは何か。

バットマンは、完全な善玉扱いではなかったんですよ、今回。
バットマンがマスクを脱ぐことを条件に、ジョーカーが市民を殺していくんですが、それでも正体を現さないバットマンやバットマンがいるのに平和にならないゴッサム・シティの現状に市民の不満は高まります。
バットマンよりも分かりやすい正義漢として登場したのが、検事のハービー・デントです。
素顔を晒しているし、市民の味方だし、人気があります。
バットマンは、彼こそがバットマンの後継者だ、みたいなこと言ってたと思います。
別に、バットマンのマスクを継ぐとかではなく、デントがこれからのゴッサム・シティを守り照らす光なのだと考えたのです。

ヒロイン絡みでは三角関係っぽくて、バットマンはデントに密かに嫉妬したり、嫌味な態度を取るなどしてました。

デントは登場早々コイントスしてましたけど、これが大きな意味を持つとは…。
デントはすごくいい人だったので、「ああ、最初、見た目で悪役っぽいって判断してごめん」と思いました。

背景などの映像がとても出来ていました。どこまでがセットでどこからがCGなのでしょうか。
よく分からないので、本当に建物を爆破してるように見えました。撮影にどれだけ金がかかっているのかと。

【以下、ネタバレあり感想】
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  1. 2010/03/06(土) 22:06:04|
  2. 映画感想

佐野洋「推理小説実習」感想

推理小説実習 (新潮文庫)推理小説実習 (新潮文庫)
(1983/01)
佐野 洋

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1978年に「小説新潮」誌上で連載された企画です。

まず、推理小説をいくつかのパターンに分け、それについて過去の実例を挙げて説明します。
他のミステリ小説家や評論家によるパターン定義も紹介されています。

その後、実際にその型に当てはまる新作ミステリを書き下ろす、というスタイルです。

この本では、「犯人当て」「倒叙」「アリバイ崩し」「心理サスペンス」「事件小説」「楽しい犯罪」という6種類の推理小説が説明され、書かれています。

「犯人当て」は、文字通り、誰が犯人なのか当てる事がメインの小説です。
小説部分は、全員共謀説を臭わせつつ別の展開をしたりして面白かったです。

「倒叙」は、犯罪を起こす所を描いてから、それが暴かれるまでを作品にしたもののようです。
犯人の心理に主眼が置かれています。
「倒叙」の代表的な作品「殺意」は、全十三章のうち、実際殺人が行われるのは第七章だと言うのです。
冒頭で殺人シーン、そこから探偵役の追及、というイメージを抱いていたのですが、ずいぶんと遅いですね。
本書の小説部分でも、犯人の殺人に至る過程を丁寧に描いているため、事件が起こるのは遅めです。

「アリバイ崩し」、これは、犯人は早々に一人に絞られるのだけれど、どうしてもアリバイが崩せない。そこをどう崩すのかが見所のジャンルです。
作者の佐野さんは、この「アリバイ崩し」に偏見を持っているとのことです。
何も嘘のアリバイを言わずとも黙秘すれば逃げ切れるものを、推理小説の登場人物は、自分から偽アリバイを主張するから看破されるのだ、と言います。
そのようなわけで、小説部分も一風変わった終わり方になってます。

「心理サスペンス」の定義はなんだか難しいです。
ここは、佐野さんが拡大解釈して「人物の心理的葛藤を通して事件なり犯罪なりが書かれた推理小説」としています。
小説実例は、「犯人当て」に通じるものがありました。

「事件小説」とは、一般的には実在の事故・事件をモデルにしたり、アレンジしたりしたものとされているようですが、では、どの規模の事件を扱っていれば「事件小説」と呼べるのか、どの程度史実に沿っていれば「事件小説」と呼べるのか、そういった線引きが曖昧であることから、作者の佐野さんは、「探偵や犯人ではなく、事件そのものが主役である小説」と定義しています。
これは、かなり独自の考え方でしょう。
普通なら、「三億円事件」や「JFケネディ暗殺事件」を描いていれば「事件小説」と言えそうです。
作者さんは、自身の定義から、PTAが乗るはずのバスが、別のバスに摩り替わっていたという「事件」をメインに小説化していました。読みやすくて面白かったです。

「楽しい犯罪」というのは、「ピカレスク」「悪漢小説」の呼び代えです。
魅力的な犯罪者が主人公の話で、彼や彼女は、どこまでも悪者というわけでもなく、むしろある人達にとっては正義ですらあるという存在です。

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学

  1. 2010/03/01(月) 00:47:03|
  2. 読書感想文(小説)

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