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同人漫画サークル

アイザック・アシモフ「黒後家蜘蛛の会1」

黒後家蜘蛛の会 1 (1) (創元推理文庫 167-1)黒後家蜘蛛の会 1 (1) (創元推理文庫 167-1)
(1976/12)
アイザック・アシモフ

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【あらすじ】
レストランで月1回「黒後家蜘蛛の会(ブラック・ウィドワーズ)」と称して晩餐会が行われる。
参加者は、化学者・画家・数学者・弁護士・作家・暗号専門家である。
毎回ホストを一人立て、ゲストを招く。
食事しながら会話する中で、謎が生じてくる。
参加者は、それぞれ素人探偵ぶりを発揮するが、答えが出ない。
そんな時、問題を解決するのは、いつだって給仕のヘンリーだった。
連作短編集。

【感想】
学生時代、「黒後家~」の話題が出てくる小説を読んだ事があり、それ以来気になっていた作品です。
専門家達を差し置いて、意外な人物が謎解きするなんて面白そう、と思ってました。
実際面白かったです。

ジャンルとしては、ミステリーで、その中でも安楽椅子探偵ものに分類されるようです。
推理小説と言っても、毎回殺人事件の話をするわけではなく、もっと身近で生活感のある謎解きをしてました。

ヘンリーの出す回答は、盲点をつくような、それでいて簡単な内容であることが多いです。
いざ正解が分ってみると、何で気づかなかったんだろう…といったものばかりです。

ヘンリーが事の真相を言い当てる前に、ブラック・ウィドワーズのメンバーが的外れな議論をします。
この無駄な推理部分がすごいのです。
作者の知識量の豊富さが伺えます。
メンバー達は、聖書や古典を深読みしまくったりします。

作中で、メンバーが、作者アイザック・アシモフの噂話をするシーンがあります。
アシモフの肩書きは、SF作家で、ブラック・ウィドワーズ会員の知人という設定です。

アシモフのSF小説は、1冊だけ読んだ事あります。短編集だったと思います。
ミステリーも良いですね。
「黒後家蜘蛛の会1」を読んだ限り、SF要素は見当たりませんでした。
超常現象・オカルトに関する話題はありましたが、仰天の結末が…。

テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/09/29(月) 00:56:16|
  2. 読書感想文(小説)

アーサー・C・クラーク「幼年期の終わり」

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)
(2007/11/08)
クラーク

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【あらすじ】
巨大な宇宙船の群れが地球にやってきて、主要都市の上空に留まった。
オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる彼らは、50年間姿を見せないまま、人類を統治し平和をもたらした。
オーヴァーロードは、どんな外見をしているのか。そして、彼らの真の目的とは。

【ネタバレなし感想】
超科学文明の中で、コックリさん!
このギャップが面白かったです。
交霊会ということでしたが、外国にもコックリさんがあるんですね。

超科学文明の中にあって現役で活躍する、テープレコーダー、そして、フィルムカメラ。
古典SFでは、よくあることですね。
通信機器や記憶媒体は、SFで描かれた未来よりも、現実世界の方が進歩しているのです。

「涼宮ハルヒ」シリーズの、「情報統合思念体」に類する要素が二つ出てきました。
オーヴァーロードの自律進化が行き詰ってるという点と、オーバーマインドという考え方です。

「新世紀エヴァンゲリオン」の人類補完計画や、「機動戦士ガンダム」のニュータイプ等も連想される内容でした。

恐らく、後のSF作品に影響を与えている小説なのでしょう。
  1. 2008/09/22(月) 01:14:23|
  2. 読書感想文(小説)

有栖川有栖「絶叫城殺人事件」

絶叫城殺人事件 (新潮文庫)絶叫城殺人事件 (新潮文庫)
(2004/01)
有栖川 有栖

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【あらすじ】
犯罪社会学者の火村英生(ヒムラ・ヒデオ)が探偵役、推理小説作家の有栖川有栖(アリスガワ・アリス)が助手役のミステリー。
建造物にまつわる、6つの物語。
表題作は、「絶叫城」というカルトホラーゲームを模倣したかのような連続殺人事件を描いたもの。

【途中まで、ネタバレなし感想】
火村・有栖コンビの話を読むのは、これで3作目だと思われます。いや、4作目かも。
有栖は、関西弁です。
火村は、黒手袋をしていて、キャメルの煙草を吸っていて、若白髪がある、というのが特徴なようです。彼は、英都大学の助教授です。

「有栖川有栖」で検索すると検索候補に「火アリ」と出ます。
ヒム×アリとアリ×ヒムだと、ヒム×アリの方が一般的なんでしょうか。
漫画だと二人とも美形ですね。(表紙しか見たことない)
アリスが少年のように描かれているイラストを何度か目にしたことがあります。
ファンの方は、作中の有栖川有栖と、現実の作者であるところの有栖川有栖さんを完全に切り離してイメージしているようです。

【以下、ネタバレあり感想】 【“有栖川有栖「絶叫城殺人事件」”の続きを読む】

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/09/17(水) 20:14:22|
  2. 雑記

大槻ケンヂ「リンダリンダラバーソール」

リンダリンダラバーソール (新潮文庫)リンダリンダラバーソール (新潮文庫)
(2006/08)
大槻 ケンヂ

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【あらすじ】
僕は大槻賢二、20歳。
女子と話した時間が総合しても10分以内という暗黒の高校時代を送り、専門学校を経て、三流大学にもぐりこんだ。
「筋肉少女帯」というバンドをやっていた僕は、ライブハウス「ラ・ママ」の前で、ラバーソールを履いた少女コマコに声をかけられた。
「ねぇ、ブルーハーツって知ってる?」
「筋肉少女帯」は、メジャーデビューし、バンドブームの渦に飲み込まれていく。
大槻ケンヂの自伝的小説。

【ネタバレあり?感想】
すごく読みやすくて面白かったです。
実在のミュージシャン名や具体的なエピソードが沢山登場するので、完全にエッセイだと思って読んでいましたが、フィクションも含まれているそうです。

派手なバンドマン達が髪を立てるのに使用していたのがダイエーで買ったスプレーというのが微笑ましかったです。

バンドブームの最中と終焉、その後が描かれています。
あの熱狂はなんだったのか、それについて、オーケンは次のように語っています。
「新旧交代のジョイント」「音楽業界史における“ひずみ”」「世代交代劇の捨て石」。

「のび太的万能感」についての話は、興味深かったです。
中身はダメ青年のままなのに、ブームという超常の力で、等身大以上に自我を肥大させてしまうというような内容でした。

オーケンの彼女コマコが、いい事言うんですよ。
そして、オーケンもちょくちょく深い事を思うんです。
全体的には、バンドブームをめぐるドタバタ喜劇といった感じなのですが、その中にまっすぐな、感動的なメッセージが混じってます。
それが全然クサくなくて、素直に沁み込んで来るのが、オーケンの文章のうまいところです。

よく、映画や小説・ドラマを見て、「この二人はお互い何が良くて付き合ってんだろう?」と疑問に思うことが多いのですが、オーケンとコマコは、お似合いのカップルでした。
波長が合うし、なぜ惹かれあうのかが分る感じがしました。
どちらも魅力的な人物なのです。

が、このコマコ、実在しないそうです。
http://park12.wakwak.com/~pikari/repo/ootsuki/hmv060702.htm
上記のページは、「ナゴム小決起集会」というトークイベント(?)のレポートです。
オーケンがコマコはいないと言っています。
また、以下のブログでオーケンの「20年間わりと全仕事」というCD付き書籍について書かれています。
http://vanpamusic.seesaa.net/article/103323425.html
>ちなみに私も「リンダリンダラバーソウル」のコマコは実在の人物だと思ってました・・
>うーん、残念?
とは、ブログ主のコメント。

じゃあ、コマコが言ってたイイ台詞って創作なのかよ!
がっかりするどころか、なおさら感心です。
もしかしたら、実際誰かに言われた台詞をコマコに転用したのかもしれませんが、実話の中に自然とそれを組みこんでいるところがすごいです。

あとがきが熱いです。
ひきこもりの青年からもらった本書の感想
「栄光なんて一時の幻なんでしょうか?オーケンさん、だったら最初からロックなんてやるもんじゃないんでしょうか?」
に対するオーケンの返事が実に良いです。

みうらじゅんさんの解説は、次のような書き出しです。
「人はミーハーを隠して生きている。
自分は決してミーハーじゃないと言い訳しながら生きている。
そのくせ本物を目指しているわけでもなく、人に笑われないよう“そこそこ”の人生を送ろうとしている。」
バンドブームの頃のミュージシャンって、文才ある人多いですね。
あと、漫画やイラスト、演劇方面にも活躍されてたり。
音楽に限らず、なにかを表現したいという気持ちが強いのでしょう。
で、それに才能が伴いつつも、劣等感や非モテの精神(実際はモテてたりするけど)などちょっとネガティブな要素を持ち合わせていて、いい塩梅の作品を生み出せるのだと思います。

リンダリンダ~本編で出てきた次の一節が印象的でした。
引用の引用になりますが、
「本当は、表現したいという衝動があるだけで、表現したいものなど、実は何一つないのである」(by末井昭)
ううっ、痛いところを付かれた!という感じがしましたが、この本を読み終えたころには、衝動があるだけいいじゃねーか。なんだかんだで結局、その初期衝動に回帰してくんだから。と思えました。

「長島温泉マンダム事件」に笑いました。
うううううううううん!
マ~ンダ~ム!

テーマ:読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2008/09/13(土) 22:10:02|
  2. 読書感想文(小説)

猫とドール

いただきものの人形を玄関に飾っておいたら、預かり猫のクロミちゃんとシマちゃんが乗ってました。
人形の足の上がお気に入りなようです。
猫と 西洋人形

お人形

テーマ:猫のいる生活 - ジャンル:ペット

  1. 2008/09/12(金) 22:54:47|

舞城王太郎「みんな元気。」

みんな元気。 (新潮文庫 ま 29-2)みんな元気。 (新潮文庫 ま 29-2)
(2007/05)
舞城 王太郎

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長編(中篇?)1本と短編2本。
【あらすじ】
「みんな元気。」…目を覚ますと、隣で姉が浮かんでいた。
「Dead for good」…友達の兼増のサディズムは果てしない。
「矢を止める五羽の梔鳥」…山火事と避雷針と連続殺人事件。

【ネタバレなし感想】
「ふすう」「はぐぅ」「ふぇたふぇた」など変な擬音が沢山出てきました。
物語の中の時間の飛び方が異常です。
小学生目線で話を進めてると思ったら、19歳を過去形で語ったり。
なんじゃこりゃ。
悪夢のような小説です。

3作とも猟奇的表現を含みました。最近、若干耐性ができてきましたが、まだまだグロが苦手です。
文章ならまだしも、映像や画像は、絶対無理です。

前に、舞城作品を読んだ時は、「村上春樹 酒鬼薔薇聖斗 2ch 萌え ギャル を足して割って 強烈な個性で和えた」という印象でしたが、今回は少し違いました。
「町田康 筒井康隆」要素を少し感じました。(町田作品も筒井作品もちょっとしか知りませんが)

「みんな元気。」は、家族という単位について、未来の可能性とそれを選択することについて、といった内容を通して愛というものを語っていたように思います。
性的な内容が結構ありました。
同性同士のエロもちょっとありましたが、百合ものには分類できないと思います。精神的に何か違う感じがします。

すかしてるようなふざけているような文体でありながら、熱さがあり、また、哲学的・精神分析的でもありました。
植木ばさみなどは、テーマの表現としてかなり直接的だったと思います。
飛べる、飛ぶ、ということ、体が裏返る、飲み込まれるということは何を意味しているのかは、まだ分りません。
他の人の考察を見たり、もっと読み込みこんだりすれば理解できるのかもしれません。

残り2本も短いながらインパクトありました。
「Dead for good」は、暴力描写が多い殺伐とした雰囲気の中、「誰かを殺すことが~、誰かを生むことが~」の部分が前向きで、光を放っているように感じられました。
「矢を止める~」は、かなりカオスでした。(他の2本もですが)
漢字や言葉の遊びとそこから生まれるイメージと夢と現実がごちゃまぜです。

テーマ:本の紹介 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/09/11(木) 19:49:39|
  2. 読書感想文(小説)

吾妻ひでお「うつうつひでお日記 DX」

うつうつひでお日記 DX (角川文庫 あ 9-2)うつうつひでお日記 DX (角川文庫 あ 9-2)
(2008/08/23)
吾妻 ひでお

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「失踪日記」刊行前の日々を綴った私的漫画日記です。
「失踪日記」は既読ですが、今は手元にないので、感想は書けません。

本作には、「うつうつひでお日記」の他、メイド喫茶探検記「ひでおのロリアル探検隊」と江口寿史先生によるあとがき漫画が収録されています。

帯に「何もしていません。事件なし、波乱なし、仕事なし。」と書かれている通り、劇的な出来事はありません。
漫画家の日常が描かれています。

日記内容とほぼ無関係に美少女のイラストが描いてあります。
これが、可愛いのです。足首太いところとか。

吾妻先生は、ひどい鬱病なので、しょっちゅう薬を飲んでいます。
精神安定剤、睡眠薬、痛み止め、抗鬱剤。
ふとした瞬間から不安になったり、重い気持ちになったり、無気力になったりしてしまうようです。
そんな中、ちゃんと漫画描いてます。
今日一日、一ページも漫画を描かなかった私とは大違いですよ。

吾妻先生は、アルコール中毒で断酒中なのですが、「失踪日記」の時のようには、酒に執着してはいませんでした。
アル中は、大分改善したのでしょうか。

吾妻先生は、本を沢山読まれています。
丁度「うつうつひでお日記」と一緒に買おうと思ったけど手持ちの金がなくてやめた本を、吾妻先生が作中で読んでました。

最新の漫画やラノベも読まれてます。
ガンスリやホーリーランド、GANTZ、のだめなんかがお気に入りようです。

自分以外の作家の絵やもらったフィギュアを模写しています。
CLAMP先生のちょびっつ。より、ちぃ。
美水かがみ先生のらき☆すたより、岩崎みなみ。などなど
すごく似ています。
旬の画風を研究しているんでしょうか。
全く違う絵柄が描けるとは、さすがプロです。
シューティングゲーム東方のキャラクター(だと思われる)も描かれてましたよ。

バンド「たま」の「さんだる」というアルバムを聞いているコマがありました。
たま聞いたら余計心の具合が悪くなるんじゃ…とちょっと心配です。
吾妻先生が聞いてた曲は、「情緒不安定な夜は薬剤師に貰った薬飲む」
みたいな歌詞を含んでますし。(↑歌詞、かなり言い回し変えてあります。)

「町を歩く(失踪日記)」のページ調整中のエピソードがありました。
「失踪日記」と舞城王太郎さんの小説がシンクロしたシーンがあるそうです。
それは、「アル中が酒やめてロールケーキ1本食いする」場面です。
そんな珍しいシチュエーションでカブるとは。
吾妻先生は、共時性(シンクロニシティ)と呼びました。
吾妻先生的にロールケーキのシーンは削りたくないとのことでした。
実際載ってたかどうかは失念しました。すいません。

吾妻先生の好きなTV番組やラジオ番組、お笑いタレントのことも、この本を読むと分りますよ。

江口寿史先生は、ルーズソックスの復権を願っているそうです。

テーマ:感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2008/09/07(日) 23:15:51|
  2. 読書感想文(漫画)

寺山修司 未発表歌集「月蝕書簡」田中未知・編 解説・佐佐木幸綱

月蝕書簡―寺山修司未発表歌集月蝕書簡―寺山修司未発表歌集
(2008/03)
寺山 修司

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父から貰った本です。
寺山の未発表作を集めた歌集です。

完成した短歌なのか、未完成で発表するつもりのなかった短歌なのか微妙な作品もあったそうですが、それらも収録されています。

1ページにつき1首掲載されています。ページの使い方が贅沢です。

同じ部分を含む短歌が連続したりします。
例えば
「父と寝て背中あわせに読みつづく地球空洞説の一節」
「父と寝て目をあけている暗黒やたった一語の遊星さがし」
「父と寝て虐げられている夜の寝台の果て沈む木の船」
「父と寝て父の寝顔を見し夜より行方不明の風見鶏かな」
といった風に。
これをわざとやっているのか、この中の一首だけに絞ろうといくつか書いたのかは分りません。

短歌一つ一つでも作品になっていますが、複数の短歌のイメージが続いていて、物語のようにもなっています。
上に挙げた最初の短歌を引き継ぐ一首として次のようなものがあります。
「父二夜かえらざる夜を手でまわす地球儀の内なる空洞」

父シリーズの他に、母、姉、おとうとのシリーズ等もあります。
また、猫や蝶等同じモチーフが繰り返し登場します。
「一夜にて老いし書物の少女」から始まる短歌がいくつも連続します。

帯や解説の佐佐木さんは、
「義母義兄義妹義弟があつまりて花野に穴を掘りはじめたり」
という一首について、読者がイメージを膨らませ、偽家族が集合して穴掘りにいたる物語を楽しむことが出来るのだとおっしゃってます。

寺山文学に慣れ親しんでいる人が読むと、既視感のある寺山ボキャブラリーが並んでおり、過去の自己作品を模倣しているような印象があるようです。
しかし、今までにない新たな部分もあったとのことです。
私は、まだ1~2冊しか寺山作品を読んでいないので、そこら辺分りませんが。

奇怪でシュールでダークな作品が多く、短歌というものに対するイメージが変わりました。

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

  1. 2008/09/07(日) 21:08:56|
  2. 読書感想文(小説)

朝倉かすみ「田村はまだか」

田村はまだか田村はまだか
(2008/02/21)
朝倉 かすみ

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【あらすじ】
札幌ススキノのスナック・バー「チャオ!」には、小学校クラス会の3次会としてやってきた、男女5人の客がいる。
彼らは、満40歳で、皆、小学校時代の同級生田村を待っていた。
田村は、まだか。
全6話の連作短編。(長編かも?)

帯には、「喝采よ、早く来い。」「来いよ、田村。お前が来たら何かが変わる気がする。」と書いてあります。

【途中まで、ネタバレなし感想】
「札幌である。ススキノである。」という書き出しで始まります。文章のテンポが少し変わってました。

「チャオ!」のマスター花輪春彦は、同窓会中の5人に、暫定的にニックネームをつけていきます。
見た感じの印象や、飲んでいる酒の名前からとって。

物語が進むにつれ、各人の本名やその人生、バックグラウンドが分っていきます。
それぞれの過去の中に、印象的な人物がいたり、記憶に残るエピソードがあったりします。

現在パートは、まさに現代のようでした。
ブログや携帯メールが出てきますし、「無茶振り」という言い方も最近のものだと思います。

恋愛要素が多めです。いや、恋愛というか、そこをすっとばして男女の仲の話というか…。
普通に年を重ねてる人には、共感できる部分があるのかもしれません。
私には、高度すぎて。

中村理香の小学生時代、心の根っこは私と同類でした。が、その先の考え方が真逆に行ってまして、表に出ている行動も全く似ていませんでした。
考え方は、小学生時代の田村に近いです。生きていることを無意味だとは全く思わないので。

【以下、ネタバレあり感想】
【“朝倉かすみ「田村はまだか」”の続きを読む】

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2008/09/07(日) 00:32:38|
  2. 読書感想文(小説)

映画「崖の上のポニョ」感想【9/5追記】

宮崎駿監督のジブリアニメ映画「崖の上のポニョ」を見てきました。(2008/07/21)
午前中映画館に行ったら満員だったので、チケットだけ買って、夕方見ました。

伊集院光さんのポニョ感想と2chレス抜粋のポニョ解説記事について追記しました。(2008/09/05)

【あらすじ】
崖の上に住む5歳の少年宗介は、さかなの子ポニョ(本名・ブリュンヒルデ)を拾う。
ポニョは、父親のフジモト(人間であることをやめた男)によって連れ戻される。
宗介のことが好きなポニョは、再び陸を目指す。

【途中まで、ネタバレなし感想】
所々客席の子供達が笑っていました。
上映後「面白かったー」と言っていた女の子がいました。
子供向け映画としては成功なのではないでしょうか。

一緒に見た人も面白かったと言っていました。

宗介の家では、親をリサとか耕一とか名前で呼ぶようです。

モールス信号のシーンで、パソコンの入力画面のような字幕が出るのが面白かったです。
通信内容も笑えました。

ポニョの妹達が大量すぎてかわいかったです。

北欧神話を知っていると、深読みできまくりらしいです。
私は、神話知らないのですが。

背景が、いままでのジブリ作品と違いデフォルメされていました。
線がフリーハンドでぐにゃぐにゃに曲がり、色はパステルかコンテかしりませんが、画材のタッチがそのまま出ていますし、パースはあえて狂わせてあります。
ネットで、これは子供の目から見た世界を表現しているのではないか、という意見がありました。

(2008/09/05追記)
伊集院光さんが、自身のラジオ「深夜の馬鹿力」で、ポニョを全否定というくらい痛烈批判してました。
が、その中で「所々あっちに行きかけてる所があった。」「これから宮崎さんが完全にあっちに行っちゃうのか、戻ってこられるのか気になります。俺をしてはこのまま行ききった方が、和製デヴィッド・リンチになれると思うんだけどなー。」というようなことをおっしゃってました。
境界を越える、境界の向こうに行く、一線を越える、というイメージは、ポニョを絶賛している人と似たような解釈ですね。
アンチとファンが、同じ作品を同じように捉えているという現象は面白いと思います。
まぁ、伊集院さんの場合は、ポニョという作品の世界観が、というよりは、宮崎監督自身がマトモとアレの境界をさまよってる、という風に言ってるんだと思いますが。
伊集院さんの見た劇場では、子供に不評だったようです。
上演前、トイレでポニョの歌をソウルフルに熱唱していた子供がいたのに、閉幕後誰も歌っていなかったという。
周りの子供の反応で、ポニョを見た大人の感想や印象も変わってきそうです。

ポニョ絶賛&解説記事(リンク先ネタバレあり
崖の上のポニョが神過ぎた件:ハムスター速報 2ろぐ
(追記終わり)

【以下、ネタバレあり感想】
【“映画「崖の上のポニョ」感想【9/5追記】”の続きを読む】

テーマ:2008年映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2008/09/05(金) 22:49:37|
  2. 映画感想

フランツ・カフカ「城」

城 (新潮文庫)城 (新潮文庫)
(1971/04)
フランツ カフカ

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上の表紙画像は、私が買ったものとは装丁が違います。

【あらすじ】
城から測量士として招かれた(?)Kは、雪の中の村に到着する。
城からは連絡がなく、仕事をさせてもらえない。
昔からの助手が後から追ってくると言っていたKだが、見知らぬ助手がつけられる。
酒場で働いていた女と許婚になり、小使として学校に寝泊りし同棲する。
その間、たった数日の出来事である。
城へは、入れないままだ。

【途中までネタバレなし感想】
巻末の解説を読んで、この作品が未完であることを知りました。
600P超読んでオチが分らないとは…。

この作品は、とにかく登場人物の台詞が長いんです。
なので、小説以外のメディアには向かないだろうと思いました。
が、ネットで検索したら、映画化や舞台化をしていることが判明しました。
ええー。

他の感想サイトさんでは、この「城」という物語を、作者カフカの人生や実存主義・哲学と重ねて論じていました。
私には、そのような知識がないため、あくまでもこの小説を読んでの、表層的な感想を書かせていただきます。

【以下、ネタバレあり感想】
【“フランツ・カフカ「城」”の続きを読む】

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

  1. 2008/09/04(木) 00:15:30|
  2. 読書感想文(小説)

ジブリの絵職人 男鹿和雄展 トトロの森を描いた人

スタジオジブリ作品などアニメの背景画を担当し、また、アニメ以外にも活動の場を広げている絵師、男鹿和雄(おが かずお)さんの展示会を見てきました。

森や川などの自然物を多く手がけていらっしゃいますが、ビル群などの人工物も描かれています。
どちらも大変お上手です。

木々の緑色がエメラルドグリーン入ってる感じで、鮮やかながらも優しい色合いでした。
実物や写真より絵の方が綺麗だと思います。

夕焼け空などをアナログ・水彩で描けるのはすごいと思います。

実際にアニメに使用された背景画はもちろんのこと、背景画の前段階で、スタッフ間での色彩イメージを統一させるために描かれる美術ボード、白黒(所々着色あり)で描かれた背景設定も展示されてました。
背景画と美術ボードは、パッと見ほとんど同じものもありました。
細部は背景画(アニメで使われる絵)の方が手が込んでますし、色味も違う場合がありますが、それにしても、実際には本番で使われない美術ボードをここまでしっかり描き込むのか…、と驚き感心しました。

何箇所かモニターが設置してあり、展示されている背景が使用されたアニメのシーンが繰り返し流れていました。3秒~6秒くらいの映像でした。
背景画単体で見ると、まだ「絵」という感じがしますが、実際にキャラクターのセル画が乗り彼ら彼女らが動き、それにカメラワークがつくと、それはもう「絵」ではなく、キャラクター達の生きる「世界」そのものになってしまっている、という感じがしました。

トトロが寝ている森を穴から覗くといった趣向の立体展示がありました。
私は最初トトロがいるのに気づきませんでした。

アニメ以外の仕事では、もっと淡い色を使った作品等、背景画とは違った画風のものもありました。

テーマ:映像・アニメーション - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2008/09/03(水) 20:46:35|
  2. 雑記

レオナール・フジタ展

日本人でありながらフランス人レオナール・フジタとして生涯を終えた画家、藤田嗣治の絵画展を見てきました。
公式サイト→http://leonardfoujita.jp/

テレビで何度か藤田の特集を見ました。
毎回「すばらしい乳白色」と称えられていました。
絵の地の部分だったか、人物の肌だったかの乳白色が、藤田独自のものなのだそうです。

美術館表の看板や美術館サイトでは、猫を抱いた藤田の写真が全面に押し出されています。
前髪パッツンのマッシュルームカットに丸メガネと口髭。
大変個性的で目立つ容貌です。

フジタ展では、自画像も数多く紹介されてました。

幻の大作が展示されてました。6年かけて修復したのだと言います。
タイトルは、「構図」と「闘争」です。
大きな作品で、群像が描かれていました。

藤田と言えば裸婦のイメージが強かったのですが、男性(闘士)の絵や動物、風景の絵もありました。
猫の絵がかわいかったです。
腕ひしぎ十字をしているような絵もありました。

子供の絵が数点あり、特に3頭身くらいに描いたものは、絵画というより現代ポップアートに近いと思いました。

初期の絵は、人体のバランスをわざと崩しデフォルメしたような作品が多かったのですが、晩年になると真っ当な、と言うか、実物に近い人間の描き方になってました。
キリスト教をモチーフにした宗教画やその習作を残しており、最後の晩餐も描いていました。
宗教画に藤田本人が紛れ込んでいる作品もありました。

猫の絵と猫を抱いた藤田の写真がプリントされた絵葉書を買いました。

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2008/09/03(水) 20:22:54|
  2. 雑記

映画「デトロイト・メタル・シティ」感想

公式サイト→http://www.go-to-dmc.jp/index.html
【あらすじ】
根岸崇一(松山ケンイチ)は、オシャレな渋谷系ポップソングを歌うミュージシャンを目指し、大分から上京した。
が、なぜか悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ(DMC)」のボーカルギター、「ヨハネ・クラウザーⅡ世」としてカリスマ的人気を誇ることになってしまう。
ボクがしたかったのは…こんなバンドじゃない!

【途中までネタバレなし感想】
根岸の歌いっぷり(クネクネした動き)と走り方が気持ち悪くて面白かったです。
根岸が路上ライブ中、大きく横に反るのとかが笑えました。
クラウザーさんメイクをしていても、内面が根岸の時は、動きや表情がナヨっちいです。
身も心もクラウザーさんな時は、走り方もかっこいいです。

最初のシーンは、DMCの映画とは思えないほど、良い感じの音楽と映像でした。
根岸が上京する際の、母や弟との別れが描かれているのです。

ギャグやインディーズ戦国時代の描写は大分削られているので、そこら辺をもっと楽しみたい人は、原作コミックを読んでみたらいいと思います。

「NO MUSIC NO DREAM」が全体を通してのテーマになっており、映画としてまとまりがあったと思います。

映画のみのオリジナルシーンや台詞も結構ありました。

ジャック・イル・ダークを演じている方は、大物海外ミュージシャンなので、原作通りだと大変なことに!と思っていましたが、そこら辺はなんとかなってました。彼は迫力があって役に合っていたと思います。
ジャックの歌う「ファッキンガム宮殿」が無駄にかっこよかったです。

映画を見終わってからしばらく、劇中歌「SATSUGAI(殺害)」と「甘い恋人」が頭を離れませんでした。

劇場では、あちこちで笑いが起こっていました。

根岸のお母さんがキュートでした。

ジャギ様は、ものすごくうねうねしてました。彼は、メジャー志向が強くMステに出たいみたいです。いつも社長のご機嫌取りをしています。

カミュは、イメージ通りでした。ブルマブルマ言ってました。あんななのに、ドラム叩いてるとかっこよく見えます。不思議。

劇中歌は、全て吹き替え、口パクなのかと思っていたのですが、エンディング見たら「唄 松山ケンイチ」って書いてた箇所があったような…。
見間違いじゃなかったら、どこで歌ってたんでしょう松山さん。

【以下、ネタバレあり感想】
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

  1. 2008/09/02(火) 23:45:14|
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