![]() | コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書) (1992/10) 臼井 隆一郎 商品詳細を見る |
【概要】
コーヒーの誕生から現在までの歴史、コーヒーと世界との関わりを紹介した本。
【感想】
イスラム教、フランス革命、黒人奴隷、人種差別、植民地、ファシズム、その他市民生活とコーヒーとの繋がりが書かれていました。
コーヒー・ハウスが議論の場だったことがあるのですね。
単にコーヒーを飲む場所ではなく、株取引・保険・新聞・郵便など幅広い用途に使われる多目的ホールだったようです。
イギリスのコーヒー・ハウス文化は完全に男性のもので、女性層を取り込むことができず廃れたそうです。(その後、紅茶がイギリス家庭に入り込んだ。)
コーヒーについて述べた文書、文学、詩、歌詞等が所々に載っています。
「コーヒーは市民生活の体内に循環する黒い血液である。しかも戦意高揚に欠かせない。コーヒーが切れれば、戦争に敗けたも同然である。」
「(コーヒーが)ドイツで市民生活の鬼っ子ファシズムを生むに至る。」(カバー折り返しより)
といったあたりは、あまり真に受け過ぎないようにします。
カバー折り返しに「コーヒーという商品の歴史を、現代文明のひとつの寓話として叙述する。」とありますし。あくまでも「寓話」として読んでおきます。
どうやらコーヒーという新商品が市民に浸透するにあたり、優秀なキャッチコピーが存在したようです。本当に市民がコピーの影響を受けたかは定かではありませんが。