野良箱

同人漫画サークル

映画「KINGSMAN‐キングスマン‐」感想

【あらすじ】
洋服の仕立て屋「キングスマン」の裏の顔は、国際独立諜報機関だった。
所属するハリー(コリン・ファース)は、スーツに眼鏡、傘、指輪、ライター、ペンに模したさまざまな秘密兵器で戦うエージェントだ。
ある日、街のチンピラで無職の若者エグジー(タロン・エガートン)は、ハリーによって見出され、「キングスマン」の一員となるべく教育を受けることとなる。
IT長者ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)が企てる世界規模の陰謀を、「キングスマン」は、止めることはできるのか。

【途中までネタバレなし感想】
大変面白かったです。最後の方は、ずっとニコニコ顔で見てました。こんなので笑ってしまうのだから、人間の心にはあらかじめ残酷なものを楽しみエキサイトする回路がセットされているのかもしれません。

スーツの男性が紳士的に派手な戦闘アクションをするのが見たい人にはぜひおすすめです。

映像、美術、演技、音楽に申し分なく、そういった点に関するマイナス事項がないためストレスを感じないまま多くのアクションを楽しむことができました。

R指定で痛そうな場面はありますが、感覚が麻痺したので、もっとやれ、という気持ちになりました。

マイ・フェア・ジェントルマン。服装の重要性を改めて認識。
スーツをフルオーダーしてみたくなります。

ハリーは、エグジーの亡き父親と旧友なので、二人は擬似親子に見えます。
本編の途中で気付いたのですが、予告に映っているエグジーを、完全にハリーと見間違えていたことが判明しました。
記号性の強さもありますが、立ち居振る舞いが(カメラに映った角度もあいまって)、そっくりだったのです。

デバイスの表現は、タッチパネル式の操作が主流でした。
国内外問わず、映像作品に登場する科学捜査班やスパイのつかうガジェットは、操作のたびにやたら効果音がします。
もし本当にこのような諜報部が存在したら、わざわざ事あるごとに電子音など出さず、余計なエフェクトもつけないと思いますが、この映画は、既存の、特に昔のワクワクするようなスパイ作品を引き合いに出したオマージュになっていましたから、ちょっとバカなくらい突き抜けた方が、楽しいかっこよさが出てくるのでしょう。
子供が憧れ真似したくなるような面白さです。R指定なので見ることを推奨されていはいませんが。

コンピュータやサイバー空間、ITの表現といえば、緑色のちらついた半透明の映像、一文字ずつ高速でタイプライターのように表示されていく文章、と、どこかで相場が決まっていたようです。

マーリンやアーサー、ランスロット、ガラハッドというネーミングから、「アーサー王と円卓の騎士」をモチーフにしていることは分かるのですが、元ネタに詳しくないため、各配役との関係性は読み取れませんでした。
昔見たディズニーの「王様の剣」というアニメ映画では、マーリンは魔法使いでした。
今作でのマーリンは、「キングスマン」の頭脳、ハッキング、操縦、通信、戦闘、人事、新人教育担当のスキンヘッドでした。
007のQに服装と立場が似ています。

やたら金属質な足音の両足義足美女ガゼルは、その義足自体が鋭利な刃物でありエゲツない戦いをしますが、常に上品で冷静です。
ストレートの黒髪や、メイド服を極限までシンプルにし喪服も兼ねたようなパンツルックもあいまって存在感がありました。
誰もその容姿につっこまず、奇抜さに言及しなかったので、偏見の少ない寛容な世界なのかもしれません。
彼女の場合、生活の上では何不自由なく、機能としては生身よりパワーアップしていますし。

英国的な紳士服、アクセサリーの正反対として配置されているのが、アディダスのジャージ、野球帽、スタジャン、スニーカー、その他ヒップホップ系・B系ファッションなのだと思います。
エグジーとヴァレンタインは、服だけ見ると同じ勢力です。

リミッター解除の色気と爆発の浪漫は、適切に抑制が効いているからこそなのかもしれません。

 kingsman


【以下、ネタバレあり感想】
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  1. 2015/11/03(火) 04:32:53|
  2. 映画感想

ディズニー映画「シュガー・ラッシュ」感想

シュガー・ラッシュ オリジナル・サウンドトラックシュガー・ラッシュ オリジナル・サウンドトラック
(2013/03/20)
V.A.

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【あらすじ】
ゲームセンターの営業が終わった後、キャラクター達は何をしているのか。
30周年を迎えるレトロアーケードゲーム「フィックス・イット・フェリックス」の悪役ラルフは、瓦礫の山に住み、住民から憎まれ、毎度決まってマンション屋上から泥の中に落とされている。
「本当はヒーローになりたい」と願っている彼は、その証である金メダルを手に入れようとする。
やがて、90年代レースゲーム「シュガー・ラッシュ」の世界に迷い込んだラルフは、そこで、生意気なレーサー志望の少女、ヴァネロペと出会う。

【途中までネタバレなし感想】
私は、2D、日本語吹き替えで見ました。
字幕を見る必要もなく、全員、声や演技が完璧に合っていましたから、ノンストレスで入りこめました。
作中登場する文字は、絵に合う形で書き直されています。

とても面白く、緩急がついた、子供から大人まで楽しめる熱血で、シリアスな中にもコミカルさを忘れない内容でした。
普段、アニメや子供・ファミリー向け映画なんて見ないよ、という方にもお奨めです。

シナリオや設定が、良く出来過ぎているくらい練られているので、余計な予備知識を与えないよう、何を話したらいいか分からないほどです。

予告やポスターの類からは、意図的に隠されているように思えるキャラクターやその出身地が大変気に入りました。
これは、後述します。

かつてのSF名作群を精一杯POPにしたらこうかもしれない、という部分があり、単にかわいいだけではない深さがありました。
登場人物に自覚があるヴァージョンのメタ・フィクションです。

音楽が素晴らしいです。
物語は、現実であるゲームセンターと、そこにある筐体の内側で進行するのですが、ゲーム世界では、BGMが8bitミュージック、チップチューンと呼ばれるような、ファミコンっぽいテイストになるのです。
それをベースに、エレキギターやシンセサイザー、オーケストラを重ねた、壮大なエレクトロロック調になっており、新しさとクラシカルな雰囲気、両方がありました。
かわいかっこいい。
「いかにもディズニー劇中伴奏らしい曲」も効果的に使用されています。

作中作「フィックス・イット・フェリックス」は、なんでも壊すラルフと、その妨害をかわしながらマンションを修理していく主人公フェリックス・ジュニアの戦いを描いたゲームです。
80年台から稼働している設定なので、外から見た時は、粗くてシンプルな画面ですが、(実写映画で言えば)「カメラ」がゲーム内に入った時、3Dアニメらしい滑らかな絵となるのです。
しかし、背景が、ドット絵を立体的に再現したものであったり、コマ落ちしていてまるでクレイアニメのようにぎこちなく動く人物もいたりして、レトロゲーファンには、嬉しい演出となっています。

あらすじからして、この映画全体がメタ・フィクションなのですが、さらに外側である現実、つまり私たちの居る世界に属するだろう映画観で流れる、物語前後のディズニーロゴ、蒸気船ウィリーといったお決まりの部分にまで仕掛けがあるのでお見逃しなく。

エンディングのスタッフロールが見どころです。
若物やお子さんが、見たら新鮮かもしれませんね。
リアルタイムで、あるいは、ヴァーチャルコンソール、携帯アプリ、有野課長などで80年代ゲームに触れたことがある人なら、ニヤリとすること請け合いの演出となっています。
これまた曲が良くで、体が動きそうになりますよ。
ファンサービスと、元ネタへのリスペクトが行き届いて、さすがディズニーはエンターテイメントをずっとやってきただけあるな、と感心します。

はみ出し者、悪役、欠陥品、孤独、侵食、トラウマ持ち、という一見重たくて悲しく、憎しみに満ちた話にしかならなそうな要素がいくつもあります。にも関わらず、ポジティブな力に溢れた、後味の良い映画でした。

上記のいくつかについて、「それを取り除いて、矯正して、治して」こそハッピーエンドというのが普通だとすると、本作の場合「そのまま肯定する」という魅力がありました。

ゲーム世界の住人は、ひとたび筐体にコインを入れられれば、例え、諸事情により、もう意味をなさなくなったとしても、プログラム通りの台詞「助けて!」を言います。
毎日、自分の役割をひたすら果たし、壊し、直し、戦うだけ。
これは、現実の人間と大差ないかと思います。
朝起きて、電車に乗って、会社に行き、帰って、寝るだけ。
職業上、あるいは年齢や他者との関係性から、しかるべき立場を察知し演じ続ける。
悪い事ではないですが、そんな日々に嫌気がさし、苦痛だ、空しい、飽きた、偽りだ、と感じ、変わりたいと願うのも珍しい事ではないでしょう。

お菓子の国である「シュガー・ラッシュ」は、とてもかわいらしかったですよ。キャンディーの樹、オレオの兵隊、チョコの池、喋る飴玉、箱の中にひしめく小型スナック。

既存の実在ゲームキャラクターも複数登場します。ストリートファイターシリーズからは、リュウ、ケン、ザンギエフ、春麗、ベガ、ブランカが、その他、パックマンとその敵モンスター、クッパ、ソニックなどがいますよ。
日本製ゲームネタも多いです。

ネタバレの前に、同時上映「紙ひこうき」について簡易感想を。
「無駄撃ちでも空回りでも、その時々に真剣だったのなら、いつか過去の想いが自分を最良の未来に導いてくれる」というお話なのかなと思いました。
あれって、何の書類でしょう?
完全3Dではなく、人物線画などは手書きのものを合成したと、TVで見ました。モブキャラの「生きてる」感がすごかったです。
音楽や色調もよし。

【以下、シュガー・ラッシュ本編 ネタバレあり感想】
【“ディズニー映画「シュガー・ラッシュ」感想”の続きを読む】

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  1. 2013/04/15(月) 12:17:34|
  2. 映画感想

細田守監督アニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」感想

おおかみこどもの雨と雪 オフィシャルブック 花のようにおおかみこどもの雨と雪 オフィシャルブック 花のように
(2012/07/23)
「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

商品詳細を見る

【あらすじ】
人間の母は、おおかみおとこの父と恋をした。
二人の間には雨と雪という子供が生まれた。
やがて一人となった母は、子育てに奮闘する。

【途中までネタバレなし感想】
事前情報なし、ポスターのキービジュアルしか知らない状態で見ました。

予想外の始まり方でした。物語の舞台や年齢設定など。

もうすこし母性本能への信仰とかマザコンっぽい話かと予想していましたが、禁忌に触れそうなレベルで別のアブノーマルさを感じました。

音楽も映像とのリンクも美しく、あらすじから行って静的で地味な絵になりそうなものを、アニメーション動画の魅力いっぱいに表現しておられました。

別におおかみと人間のハーフじゃなくても、ちょっと世間から浮き気味の家庭にはありそうな立ち位置の主人公一家。
まだ、お父さんと子供が人間じゃないだけましです。

作中の一般人。あれが本当にフツウならそっちが狂ってる、と思わせる言動がいくつかありました。

人情の暖かさもふんだんに描かれています。
母が路上にへたり込んだ時、無言で傘をかけてくれた顔も分からないモブキャラなどが良い味出してました。

お子様にはあまり見せたくない場面が複数あります。
ファミリー層向け一般映画と見せかけて、抑圧された性癖や怨念がふんだんに織り込まれてそうな作品でした。
女性らしさ、男性らしさ、というジェンダーにも関わる内容も含まれます。

全員、声が合ってました。
おとうさんは、とても格好良いです。

雨と雪は、対照的な性格の子供ですけれども、成長するにしたがって変化するのが面白かったです。
時間経過の演出も工夫されてました。

【以下、ネタバレあり感想】
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  1. 2012/08/23(木) 01:02:17|
  2. 映画感想

映画「シャーロック・ホームズ2 シャドウ・ゲーム」感想

映画「シャーロック・ホームズ1」(無印)の感想はこちら
以下、「2」の感想です。
シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム オリジナル・サウンドトラックシャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム オリジナル・サウンドトラック
(2012/02/22)
サントラ

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【あらすじ】
ヨーロッパの情勢が不安定になる中、各地で起きる未解決の爆発事件。
謎を追うホームズは、その黒幕が天才モリアーティ教授だと推理するが、教授はそんなホームズをつぶすために刺客を送ってくる。
魔の手は、新婚の助手ワトソンに迫る。
ホームズコンビは、モリアーティ教授の計画を、そして戦争勃発を止められるのか。
ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ主演、ガイ・リッチー監督作品。

【途中までネタバレなし感想】
1を知らないで、いきなり2を見ても十分意味が分かりますし面白いですよ。
舞台はイギリスにとどまらず数か国移動しますので、冒険活劇としても楽しめます。

ホームズの登場シーンからして変則的でした。あやしい…。
また、ホームズとワトソンが最初に揃う所もわけのわからない状況とテンションとなっております。
前作ヒロインのアイリーンもブツ輸送係として登場。

笑いどころとほのぼの場面、戦闘シーンが多く、気楽に見られました。
メカや武器の好きな方にもおすすめです。

推理要素もちゃんとあるのですが、エンターテイメントなアクション映画+仲良しバディ(相棒)もの、という色合いが、1よりも濃くて楽しいです。

ホームズの髪が無印より少し伸びていてチャーミングです。
ワトソンは賭け事となると熱くなってしまうし、言動がちょっとチンピラっぽい時がありますね。

予告編をご覧になった方ならお分かりかと思いますが、いわゆる「公式が病気」という状態です。
どうも、ホームズの他人への変装はやっつけな事が多いようなのです。一方、背景への擬態は無駄にレベル高いです。

前作から引き続き、ホームズはワトソンの結婚により自分が一人ぼっちにされることを嫌がっています。
嫉妬でふてくされてワトソンに嫌がらせして余計ムカつかれつつ、ちゃんとワトソンの世話をして結婚を祝福してあげたりもします。
しかし、モリアーティに挑むということは、そんなワトソンを危険に晒すことになるわけです。

ホームズの兄、マイクロフト・ホームズが登場します。やたら背の高いぽっちゃり巨漢で、弟に負けないぐらい天才なのですが、さすがホームズの名を持つ者、かなり変人です。紳士かつ変態なのですが、憎めません。
ホームズ家のおじいちゃん執事、スタンリーが、笑えて仕方なかったです。
ホームズは、マイクロフトを「マイキー」と、マイクロフトはホームズを「シャーリー」と愛称で呼んだりしてました。なお、ワトソンもホームズを「シャーリー」と呼ぶ場面があります。(皮肉で)
兄弟は再会後、微妙に理解不能な会話をしていたので、暗号か、薬でもやってるのか?と感じましたが、劇場同行者の話によると、あの会話でワトソンの知力を試していたんじゃないか、ということでした。(未確認)
マイキーとワトソンは初対面なのですが、ホームズはワトソンの事を「推理力がない」とか悪く言っていたようなのです。
しかし、お兄ちゃんも認める通り、ワトソンには推理力がちゃんとありました。1に比べて、自分で考えられるようになっておりました。

2のヒロインは、ジプシーの占い師女性シムです。エキゾチックで自立した力強い女性です。
シムは行方不明の実兄を探すのに精いっぱいなので、ホームズやワトソンに対するセクシー・ロマンス要員という要素は皆無です。同じ目的を持った同士、仲間、戦士、といった雰囲気です。
主人公コンビを生暖かく見守っているような場面がありました。シムにはあの二人の関係がどう見えてたんでしょうか。

ワトソンの新妻メアリーが、とても常識的な女性でして、それなのにかなり苦労するんですよ。
メアリーはいざとなると勇敢でかっこいいので惚れますよ。2回ほど、メアリー素敵!ってなりました。
ホームズが凄い状況でとんでもない恰好で現れ「私を信じろ!」というのですがメアリーは「NO!」と言います。
アレを瞬時に受け入れるのは無理ですから、至って当たり前の反応です。
その後取ったホームズの行動がさらに衝撃的でしたけれども、さすが天才名探偵、別に行き当たりばったりでも感情任せでもなかったのです。その真相は、もう少し後で回収されます。

ホームズを下宿させているハドソン夫人は心労が絶えません。ホームズがちゃんとご飯食べないでコーヒー・煙草・コカのみを摂取、植物を部屋に生い茂らせて寝ずにおかしなことをしているので。
これ、ワトソンの結婚への抗議姿勢かと思ってたんですけれど、しっかりモリアーティ教授にまつわる事件を分析しているので、そちらがメイン要因なんでしょうね。
原作でも、一晩中、山のように煙草を吸いながら考え事してたり、阿片窟に入り浸ったりしてましたから、それが推理モードなんでしょう。そのせいで少し痩せたようです。
なぜ、ハグでお互いの体型の変化が分かるの…ホームズとワトソン…。

ホームズは、ヒーローとヒロインポジションを兼ねた主人公でした。
普通それ、非力な女の子のされることでしょう、というのもホームズが担当してました。
一方、自分がモリアーティを追うせいで命を狙われるワトソン夫妻のナイトとしても活躍しており、単なるか弱い髭お姫さまというわけでもありません。ちょっとした「ランボー」みたいでした。

映画の大まかな流れは、とある原作小説を下敷きにしています。
映画は、総じてキャラクターの戦闘能力が高いなど、原作とは別物なのに、そこは忠実なんだ!という驚きがありました。(ホームズのキャラクター設定は1の時からほぼ原作通り)

映像的には、色合い、建物、服装、特殊効果、演出、カメラワーク、編集、どれも良くできていて、安定のハイクオリティーでした。音響も良いです。

【以下、ネタバレあり感想】 
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  1. 2012/03/19(月) 15:03:14|
  2. 映画感想

浅野忠信主演映画「[Focus]フォーカス」感想

[Focus] [DVD][Focus] [DVD]
(2000/10/06)
浅野忠信

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【あらすじ】
TV番組ディレクターは岩井は、盗撮マニア金村(浅野忠信)の取材をする。
一行は、偶然、拳銃受け渡しについてのやり取りを傍受してしまう。

【途中まで、ネタバレなし感想】
全編、取材班の持っているTVカメラの映像で進みます。映画を撮っているカメラマンと、作中のカメラマンは、同一人物です。本人は、一度もカメラには映らなかったと思います。
これは、P.O.V.(ポイント・オブ・ビュー)と呼ばれる主観撮影の手法だそうです。
また、ジャンルとしては、「モキュメンタリー(擬似ドキュメンタリー)」に分類されそうです。

数年前、この映画を深夜テレビで途中から見てしまったので、しばらくノンフィクション番組かと思っていました。
取材場面以外に、不自然なディレクションや、やらせをしようとしている所、取材対象とディレクターが一触即発になっている場面などが入っているので、「なぜこの部分もTVで流すんだろう」と、違和感はありましたけど、それもそのはず、映画だったのです。

画的には「とち狂った水曜どうでしょう」です。

主人公の盗聴マニア金村が、とても気持ち悪くてオタくさくて良いです。
長髪、眼鏡、と言ったいかにもなオタルックであるのはともかく、喋り方やテンションの変動、仕草が異様にリアルで、浅野さんだと気づきませんでした。
半笑いで喋る、独特の姿勢、頭ペコペコしてる、おとなしいけどキレたら何するか分からない感じ、好きな事には饒舌で上から目線、丁寧語と雑な物言いの入り混じる言葉遣い。
特に、「イラッ」と来てる時の、あともう少しで暴発しそうな雰囲気が上手いです。
金村の自宅やその周辺を撮らないと約束していたのに、ディレクター岩井は無視して少しずつその辺りに踏み込んできます。

以下、おおまかな会話内容。
金村「プライベートは撮らないっていったじゃないスか。俺、ヤですよ。こんなだったら最初からやりませんって。」

食い下がる岩井Dに対して、
金村「やぁ~~~~~~~………しつこいっすよ。」

ちょっと文字で表せない感じの半ギレ感が見事でした。

金村は、一般人の電話や様々な無線を傍受しています。
近所の女性の生活音盗聴にも成功しています。
この事について、悪びれる様子はありません。

金村「あ、盗聴器仕掛けたのは俺じゃないですよw」

おそらく、その女性の父親が、娘の部屋に盗聴器を仕掛けたのだろう、ということでした。

ここで、テレビマンの悪癖が出ます。その女性に直撃取材しようと言い出すのです。

金村は、意外と常識的でして
「その女の人は知らないわけでしょ?だったら、ショック受けちゃうじゃないですか。テレビを見てる人は面白いかもしれないけど…」
という女性擁護の立場を取るのです。
自分も盗聴しているくせに。

Dの憎らしさがまたリアルでですね。

セリフも成り行きもキャラクターもとにかく全編いい具合に胸糞わるいし後味も最悪だしで、そういう所が好きな映画です。

特に、女性が見ると不快感すごいはずです。
取材陣に一人女性がいるんですけれども、色々あって、彼女の裸体が出てきます。
その経緯もひどいです。

金村が泣く場面って何度かあるんですけれども、一度も顔が映らないのです。声だけ。
単純に、泣いている、というだけではなく、怒りと悲しみと絶望と悔しさと恨みと困惑の入り混じった叫びだったりして、すさまじい迫力があります。
そんな時、一貫して言葉遣いは荒いのですが、トーンの強弱がありまして、情けない感じの強まる時もあれば、怖さや狂気が全面に出る所も。

金村は、物語前半と後半での豹変ぶりがものすごいのですが、映画撮影スタッフも、焦ったそうです。
「浅野くんがもう大変なことになっちゃって、うわあああああああって叫んでるし。だから、『これは危ない』ってストップかけたんだよね。そしたら、浅野くんケロっとして『はい止めまーす』ってw」(オーディオコメンタリーよりうろ覚え抜粋。)
監督も騙すくらいの、ガチ発狂っぽい演技で、これは見ものですよ。

マスメディア、TV局の横暴が、誰かの人生を狂わせていく様子が描かれています。
視聴率取りたさに、人の心を踏みにじっていくとこうなる、という例です。

金村「なんで俺ばっかりこんなことに(泣)」

形勢逆転、下克上、リバーシブルと呼べそうな要素があるのですが、いくらなんでもここまでくると萌えにくいよ!というレベルです。
それと、ざまぁみろ自業自得だ、という展開には、なりそうでならないのが意地悪くて素敵だと思います。

個人的には、暫定ベスト・オブ・浅野忠信です。

【以下、ネタバレあり感想】
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  1. 2012/02/08(水) 15:11:27|
  2. 映画感想

映画「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)」感想

真ん中がストレンジ・ラブ博士。
(両サイドは、他の映画に登場するキャラクター。)
老人達の愛で世界がやばい

博士の異常な愛情(1枚組) [DVD]博士の異常な愛情(1枚組) [DVD]
(2011/01/26)
ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット 他

商品詳細を見る

【あらすじ】
冷戦下、ソ連は、密かに開発したデゥームズディ・デバイス(皆殺し装置)を保有している。
これは、もしもソ連に攻撃が加えられた場合、放射性物質をまき散らす爆弾を自動使用し、世界中の生物を滅亡させてしまうというものである。(放射能半減期は、93年)
ある日、アメリカ空軍の司令官ジャック・リッパー将軍が、ソ連への核攻撃命令を下した。リッパー将軍は、精神に異常をきたしてしまったのだ。
急遽、アメリカ大統領、軍高官らによる対策会議が開かれることになる。
ソ連に核が一発でも落ちたら世界滅亡。果たして、それを阻止できるのか。

【途中まで、ネタバレなし感想】
10年以上ぶりに再見しました。
記憶の中より、さらに小ネタやギャグが多く、強烈なブラックユーモアが炸裂していました。
のっぴきらない状況を描いている割に、馬鹿すぎて笑えます。

「ストレンジ・ラブ博士がブランド社に発注した」皆殺し装置は、ソ連のものではなく、アメリカが開発している同種の物であるようです。

軍事費1年分より安上がりだから、「皆殺し装置」は経済的。こんな理由で、終末カウントダウンに突入ですよ。
当時の核開発競争を揶揄した内容なんだと思います。
「皆殺し格差」という言葉からもそれがうかがえます。

博士は、「皆殺し装置」は、戦争抑止に役立たないという結論を下しています。現に、破たんしていますしね。
人為的ミスを排除した、正確で非情な装置。それは、絶対に作動させてはいけない、という点でのみ意味がある兵器なのです。
つまり、存在を知らしめなければ、その効果は発揮できないのです。
では、どうして公表しなかったのか。
ソ連大使曰く「今度の月曜集会でサプライズ発表する予定だったし、ほら、うちのトップは人を驚かせるのが好きだから」。
技術が盗まれないよう、一国で独占したかったのでしょうか。

てっきり、最初の「皆殺し装置」自体、博士の発明品だと思ってたんですけど、先に作ったのはソ連なんですね。
コンピューター制御による、絶対報復最終兵器ですので、人間の意志で「やっぱ報復やめるわぁ。」とかできないのです。「核撃ったら必ず撃ち返される」と分かっている状態で最初の一発を撃つ奴はいない、という理屈で作られているんですね。

(「皆殺し装置」に博士が一切関与していない、という証拠もない。隠された秘密兵器の存在をなぜか知っており、既に同型を発注していたり、装置とは無関係の所でも「コンピューター任せ」を好んだりと、怪しさが残る。)

ストラブ博士と同じ役者が演じている英国空軍マンドレイク大佐と、アメリカ大統領マフリーは、かなり常識人ですね。比較的マトモ、かつ、困った人達への対応が紳士的で、ユーモアも持ちあわせています。

タージドソン「たった2000万人の犠牲済むんですよ!」
大統領「それは大量殺人で、戦争ではない」 

ここ、大統領が男前でした。
タージドソンは、アメリカさえ良ければ構わない、どんどん我々の力を見せつけていこう!というキャラクターですから、むしろ「R作戦」に乗り気だったんですよね。(この時点で、まだ皆殺し装置の存在は知らなかったと思う。せっかくだから、そのままソ連を攻撃しちゃえばいい、というノリ。)

10年前は、一人3役だということに気付きませんでしたし、今見ても、別人に見えます。雰囲気が違い過ぎて。

再見して最も驚いた点、それは、ストラブ博士の出番少ない!!という事です。
「博士は殆ど全編出ていた」くらいの気持ちでいたのでしたが、シーン的には2回しか登場しません。映画の半分を過ぎたあたりでようやく、初セリフです。開始から約1時間後。
博士は、会議が始まった時から地味にいるんですけど、存在感がありません。
しかし、くわえ煙草の博士が、車椅子でバックして会議室の机からシャーっと離れる瞬間からもう目が離せません。
博士は、表情も動きもとても奇妙です。ちょっと見開いたような目、歯をむき出し口角の上がった張り付いたような笑顔。彼には、右手が勝手に上がってナチス式敬礼をしそうになる発作があります。そんな時は、必死に左手で押さえます。
それと、大統領を「総統」と呼び間違える事も数回。
博士は、元ドイツ人で、今はアメリカに帰化しているようなのですが、未だ中身はモロにドイツ人、しかもナチス的思想を持ったままらしいのです。
言う事きかない右手(黒手袋)から左手に煙草を持ちかえようと苦戦したり、右手が自分の首を絞めたり。
やることなすこと言うことすべてが、気色悪くて不気味でどうかしていて、とてもかっこ良いです。

ソ連への核攻撃命令(R作戦)が下る前の、爆撃機内はだらけ切っています。
しかし、一旦「R作戦」が発令されると、変にやる気を出してしまいます。特にテンガロンハットのコング少佐が。

このお話、女性は一人しか出てこなかったと思います。それは、タージドソン将軍の愛人です。ベッドの上で下着姿。
それ以外の女性と言えば、ポスターや雑誌の中のグラビアアイドルぐらいでしょうか。
女性は、ひたすら、男性の性的欲望対象としか描写されてなかったと思います。
これぐらい男だらけの話で、その男たちは全員女に対して馬鹿、という空気はとても好きです。
エロ要員、お飾り、景品、動機、目的としての女性キャラクター。良いですね。
紅一点の人格をほとんど無視している分、彼女のセクシーさと、ビジネス的電話応対の優秀さが、良いギャップを生んでいました。

マンドレイク大佐が、グアノに自動販売機を撃たせるシーンが好きです。公衆電話をかける小銭がなかったのです。

↓セリフ一部省略

マンドレイク「コーラの販売機を撃ってくれ、小銭を出すのだ」
グアノ「私有財産だぜ」 
マンドレイク「銃と弾はその為にある!」 
グアノ「もし大統領が出なかったら、コカ・コーラ社に訴えられるぜ!」

(「コーラ」じゃなくて、「メーカー」だったかも。)

マンドレイク大佐は、少し小心者ではあるけれど、リッパー将軍に比べたら超常識人、くらいに思ってました。が、せっぱつまってくると変な事言うんですね。そして、グアノさんのツッコミが規律・法令順守方向だったので驚きです。彼、「この緊急事態だ、細かいことは置いといて」って言いそうな見た目だったんですけど。訴訟は嫌なんですね。

ストレンジ・ラブという名前は、ドイツ名を英語に直訳したものです。
タージドソンが「変わった名前だな」みたいに反応するんですけど、ジャック・リッパーもマンドレイクもタージドソンも変ですよ。
ジャック・ザ・リッパー(切裂きジャック)、マンドレイク(=マンドラゴラ。引っこ抜くと叫んでその声を聞いたら死ぬって言われている植物。実在もする。そちらは、叫ばないけど強い幻覚作用を持つ。)から来ているんでしょうか。人名には、滅多に使われないだろう音です。

リッパー将軍は、敵からの傍受を防ぐため、敵から攻撃されないため、と、ラジオを全部回収するよう言ってました。被害妄想らしい行動ですね。

リッパー「ラジオが音楽をやっている( `_ゝ´)ムッ」
マンドレイク「ソ連の攻撃が事実ならラジオはやってませんよ(;´Д`)…爆撃機引き返し命令の暗号と、部屋の鍵はどこです!???(゚д゚)」(ドアが開かない)

↑このあたりも笑えました。マンドレイクが閉じ込められました

冒頭、「この映画に描かれるような事故は絶対に起こりえないと、合衆国空軍は保障します。」「また、ここに登場する人物はすべて架空で、実在の人物との関連は少しもない」という字幕が出るのが笑えます。
そう書かれると、逆にぁゃιぃ。

【以下、ネタバレあり感想】
【“映画「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)」感想”の続きを読む】

テーマ:色あせない名作 - ジャンル:映画

  1. 2012/02/07(火) 22:14:08|
  2. 映画感想

大泉洋・原田知世主演 映画「しあわせのパン」感想

【あらすじ】
「水縞くん」と「りえさん」の夫婦は、東京を離れ、北海道で喫茶店「マーニ」を営んでいる。
おいしいパンと温かい飲み物、食事が、人々の心を解きほぐしていく。
季節は、夏、秋、冬、そして春へと巡る。

【途中までネタバレなし感想】
レイトショーに遅刻しまして、オープニングの前を見逃しました。
りえさんがストレスでぎりぎりになったあたりで北海道に行ったようなので、何らかの心の病になったのですかね。
時々わけもなく悲しくなるりえさんですが、そんなりえさんが空を見上げる横顔が少年少女のようにイノセントでした。

お店の2階が宿泊施設になってるんですね。

お店には個性的な常連がおり、近所には、野菜や米、肉を生産している農家がいます。
全体的に宮沢賢治・ジブリ的な、幾分童話寄りに誇張してある世界のように見えました。
あんなにあんなな農業従事者夫婦(広川さん)や郵便屋さんは、現実にはいないと思います。
月も絵本の中の月をCGで描いたような雰囲気でした。

オーガニック・スローライフ系生活情報誌に載っていそうな、服装、家具、内装、小物でした。
素朴で抑えた色合いの。
ナレーションやセリフの入れ方も、そういった雑誌のコピーや編集、記事の文体に近いものがあります。

予告を見た人から「結構、話、重そうだったよ?暗い…」と聞いていたので、某「嫁が10年間にわたってうつ病になる映画」くらいのきつさかなぁと覚悟して行きました。
結果、もっと柔らかく明るいトーンのお話でした。
部分的には、その某映画よりも重い要素があったくらいですが、なんとかなりそうな気がしていて平気でした。

泣かないようこらえていたので喉の奥が締まって痛くなりました。そういうお話です。悲しいのではなく、愛だなぁとか、人生だわ…とかそういうような漠然とした感動でそういうことになりました。

完全にふわふわした雰囲気映画なのではなく、スポットの当たるキャラクターが毎回変わる短編集、オムニバスのような作りです。それぞれの区切りで、一旦ストーリーは終わるので、ちゃんとしています。
だから、全編ほのぼの癒しまったりというわけではありません。谷や波乱がある分、カタルシスがあります。

作中登場する「月とマーニ」がどういう絵本なのか分かってないのですけれど、アバンタイトルで紹介されていたのでしょうか?

オープニングからして手フェチ向けムービーな所があります。
別に手が撮りたいわけじゃなくて、料理やパンを見せたいんでしょうけど。結果として、手の映る時間が長くなっています。

固定カメラでピタッと同じ距離を保って、たとえば、真上からとか、離れたところからとか、真正面からとか、そういう撮り方の場面が多いです。うるさくなくて良いと思います。

最初の「夏の客」が酔っぱらったり叫んだりする人なのですが、劇場で聴くと音量大きいのでご注意を。
キンキンします。声質も言動も刺さります。
少女マンガ原作の実写ドラマや、ギャルゲー的な展開をします。オタではなく完全にリア充寄りの。
この空気は、「夏」の間だけです。

【以下、ネタバレあり感想】
【“大泉洋・原田知世主演 映画「しあわせのパン」感想”の続きを読む】
  1. 2012/02/07(火) 05:36:33|
  2. 映画感想

スタンリー・キューブリック監督映画「時計じかけのオレンジ」

時計じかけのオレンジ [DVD]時計じかけのオレンジ [DVD]
(2010/04/21)
マルコム・マクドウェル、パトリック・マギー 他

商品詳細を見る

【あらすじ】
アレックスと、その仲間の少年達は、日々、浮浪者や老人をいたぶり、女性を犯し、面白おかしく暮らしていた。
やりたい放題やって帰宅したアレックスは、大好きなベートーベンのミュージックを楽しむのである。

【途中まで、ネタバレなし感想】
映画の存在はずっと知っていたのに、視聴を避けていた映画です。
なぜなら、ジャケットやポスターに見られる、目を強制的に開かせる器具、そして、なにやら手に持っている尖ったもの。その印象が怖かったからです。

結論から話しますと、該当シーンは、全く平気でした。
とはいえ、暴力描写が多いので、ヴァイオレンスが苦手な人は、見ない方が良いです。

思ってたのと違う!すごいしっかりしてる!!というのが最大の印象です。
序盤は、酷いなりにイメージ通りだったんですよ。ところが、途中からの展開には、驚きでした。
もっと、ナンセンスな「雰囲気を楽しむ為だけの映画」かと。
テーマや問いかけがはっきりしていて、たしかにこれは映画史に残るわ、と納得の、骨太なお話と映像でした。

リバーシブル精神にあふれる脚本で、何がS(サド)で、何がM(マゾ)だか分からなくなります。
立場や価値観の反転具合が気持ち良いです。

スペースオペラや科学オカルト、「すこし不思議」とは、また違うタイプのSF映画です。
社会風刺スラップスティック・ダークコメディ・サイコサスペンスというのでしょうか。ちょっと、ジャンルが迷子です。

肉体よりも精神に来る苦痛さ加減でした。
それでいて嫌じゃなくて面白かったです。

音楽が凄くかっこよいです。メインテーマらしきものは、テクノやエレクトロニカの類でしょうか?プラス、プログレだかわからない何か。
それ以外の部分だと、主人公の愛好するクラシック音楽や、それの編曲版みたいなのがかかってたと思います。
ボーカルにエフェクトが掛かった曲の歪み方が好きです。

キャラクターのファッションと背景がどうかしてました。
これは、どの時代を想定しているんでしょうか。
「結局、訪れなかった近未来」みたいな、エログロサイバーな何かでした。カラフルで、悪趣味。
アレックスのお母さんは、日本の昔の魔法少女みたいなロリっぽい服装とカラーカツラでした。あの世界では、あの恰好が普通なのでしょう。

女性が出てくりゃ、だいたい裸に剥かれると思ってよい話です。
「漫画みたいな乳」展覧会です。
あれらは、特殊メイクとかじゃなくて、本当に、各女優さんの胸なんでしょうか。
細身で背が低いのに胸だけポンと大きい子や、お尻の大きな熟女なのに意外とささやかな胸だったりと、服を着ている時のイメージとギャップがありました。

私が見たのは無修正版というやつで、女性の隠れなきゃいけない所はそんなに映ってなかったですけど、男性のはちょっと映ってた気がします。( ´_ゝ`)男女ともに見ても嬉しくない…。
性描写が多い割に、正しい形にすらなっていないアート的イメージポーズ集といった雰囲気です。

男性の股間を攻撃する場面が多いので、男性にはつらい映像かもしれません。

この映画を予備知識なしで見られて幸運だったと思います。
そのような訳で、以上、極力ストーリーについては触れずに書きました。

【以下、ネタバレあり感想】
【“スタンリー・キューブリック監督映画「時計じかけのオレンジ」”の続きを読む】

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/12/30(金) 11:55:44|
  2. 映画感想

スタンリー・キューブリック監督映画「2001年宇宙の旅」感想

小説版感想は、別ページです。

2001年宇宙の旅 [DVD]2001年宇宙の旅 [DVD]
(2003/12/06)
キア・デュリア、ゲーリー・ロックウッド 他

商品詳細を見る

【あらすじ】
人類がまだ猿だった頃、謎の石版モノリスが出現した。
時は流れ、人類は、宇宙飛行をするようになった。
月で別のモノリスを掘り起こした数か月後、人工知能による制御装置HALを搭載した宇宙船は、木星を目指す。

【途中まで、ネタバレなし感想】
小説版は既読です。

映画には「ト書き」や「地の文」がないので、様々な部分を映像のみで表現しています。
ナレーションや字幕はあまり使わない派のようです。
説明や言葉、名称がなかったりする分、映画版だけ見ると理解しにくい所があるかもしれません。
しかし、変にリアリティがあります。「お話」というよりは「実録」に近い雰囲気です。

本だと、モノリスがどういうもので、どんな影響を回りに与えるか書かれているのですが、映画だと、謎度合が増してます。
本当に、なんだか分からない四角く黒い板なのです。
冒頭、モノリスについて、説明したり感想を述べるキャラクターは、いません。猿なので。
キーキーキャイキャイわめいて音としてはやかましいのですが、意味的には、とても静かでした。

全く古い映画に見えない、大変美しい色合いと、セット、メカ、衣装でした。
作中の技術は、すでに現実世界でも実用化されています。
音声認識や、テレビ電話など。
原作で電子新聞を閲覧している場面は、i padで想像してましたが、新聞の場面自体なかった気がします。
ニュースを見ている所はあって、かつ、画面内の人と会話できていたようなので、あれが、新聞代わりなのかもしれません。
モニタは薄かったです。

HALの声を初めて聴きました。某ママルポッドとか某タチコマのイメージがあるので、女性の声かもしれないと考えていました。
実際は、落ち着いていて低音の、紳士的な声でした。
ゆったりと、聞きやすいトーンで話します。

家具や機械、室内は、ほぼ赤と白の二色で統一されていました。
椅子の形など、現代的でお洒落です。

重力の制御っぷりなど、しくみは分かりませんが、一見ふつうの飛行機の中のようで、やっぱりここは宇宙なんだなと、ハっとさせられる、スタイリッシュかつコミカルな場面がいくつかありました。

HALの本体は、広い制御室全部なのでしょうが、その分身のような「顔」に当たる部分は、あちらこちらにあって、船内を監視し、乗組員や本部と通信しているようです。
顔らしき所は、多分、スイッチかなにかと、カメラ、スピーカー、マイク、でできているんだと思います。
カメラのありそうな赤い円形部分は、「目」と認識しました。一つ目です。
HALのモノアイがドアップになる場面が何度かあります。
異様に迫力あります。カメラ的には何の効果も移動もなく、ただ、バン、と止め絵で数秒です。
人間や動物みたいに、目で訴えかけることはしない、ただの無機質なランプです。
それなのに、何かを想い、じっと見つめているように思えるのです。

主人公ボーマンの性格や見た目は、非常にニュートラルです。特におかしい所があるとか、嫌な奴だとか、優しい人ねとか、そういった印象がなくて、ただ単に人間、男の人、という雰囲気でした。

あらすじを他人に説明したら、正気を疑われるような内容にもかかわらず、淡々と映像化されていました。
コンピューターグラフィックを使ったと思われる部分も、最新映画技術と大差ないようにお見受けしました。
見せ方が上手なんでしょうか。滑らかに動き過ぎないのが、かえってリアルなのかもしれません。

【以下、ネタバレあり感想】
【“スタンリー・キューブリック監督映画「2001年宇宙の旅」感想”の続きを読む】

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

  1. 2011/12/27(火) 10:48:25|
  2. 映画感想

映画「ベニスに死す」うろ覚え感想

ベニスに死す [DVD]ベニスに死す [DVD]
(2010/04/21)
ダーク・ボガード、ビョルン・アンドレセン 他

商品詳細を見る

【あらすじ】
眼鏡で髭の中年男アッシェンバッハが、静養の為ベニスに行く。そこで、ビョルン演じる超美少年タッジオ(タジオ)と出会う。アッシェンバッハは、ひたすらタッジオをストーキングする。

【途中までネタバレなし感想】
大分前に見たので、記憶が曖昧の状態で書きます。
(2012/09/30劇場にてニュープリント版を見たので、少し追記しました。)

アッシェンバッハがチャーミングで間抜けで笑えて可愛かったです。
アッシェンバッハは、作曲家兼指揮者らしいのですが、最近スランプみたいです。
友達のミュージシャン・アルフレッドにも「自分の音楽と一緒に墓に入りたまえ!」と罵倒されるぐらい散々で、観客にも不評でした。

アッシェンバッハとアルフレッドは、「美」について激論を交わします。
それは、ベニスに来る前の回想だと思われます。
絶対的な自然の美と、芸術家の創り出す人工的な美、の事だった気がします。

よそ様のブログを参照した所、「芸術」「音楽」と、「悪魔性」「曖昧さ」「感情」の関係について、二人の意見はことごとく対立したようです。
アルフレッドはアッシェンバッハの真逆なので、つまり、彼は、アッシェンバッハを攻撃し、否定する事になります。

本編と違う時間軸で、「美」という概念そのものずばりについて言い争っている、要素をむき出しにして語っている、という点ですでに面白く、好きでした。この部分は、室内劇に近い印象です。

とにかくタッジオが美しいです。
少年らしい子供っぽさと大人っぽい色気の混じった、ちょうど中間期です。声変わりは終わっているか変わり切っていないくらい、です。
タッジオの男友達は、単なる友人なのかゲイなのか分かりませんが、割とタッジオにべたべたします。スキンシップ過多です。
タッジオ、お母様に対しては、まだまだお子様という様子でした。

タッジオが別の少年とじゃれあっているのを見たアッシェンバッハがうろたえるのですが、結局どうもできません。
何度も、おっさん、行くなら今だ!話かけろ!触れてしまえ!と思いましたが、アッシェンバッハは何も言えず、何もできません。
狭いエレベーターで、タッジオを含む少年達とすし詰めになっても、降りるタッジオを追う事はありませんでした。

アッシェンバッハが、写真に口づけているのを見て、この人変態?と思いましたが、あれは妻と娘の写真だったのですね。

水着姿で浜辺で遊ぶタッジオを、アッシェンバッハは新聞片手に見つめています。
その他の場面でも、新聞を持ってます。自分の姿を隠したり、視線をごまかすのに重宝するのではないかと思われますし、実際記事も読んでいるようです。
アッシェンバッハは、浜辺に似つかわしくないスーツと帽子姿で、何かを紙に書きつけていたように見えました。
あれは、楽譜ですか?
だとすれば、ダッジオの美しさ、彼から受けた感銘と、そこから生じた情熱や感情を、ダッジオ自身にぶつけ返すのではなく、芸術に変えようとしていたことになるので、まさに「昇華」と呼べる行為ですね。
その曲が完成していたら、アルフレッドに「やっと君なりの美を見つけたんだね。それこそが、君の音楽だ。」と絶賛されていたような気がします。

アッシェンバッハは、すごく必死で本気なのでしょうが、一言もお話してないタッジオに対し、本人が聞こえない所で愛を告白し、一方的に別れを告げている所が笑えました。独り言ですもの。ものすごい自己完結ぶり。しかし、とてもガチで切実。

アッシェンバッハは、タッジオとどうこうなりたい、とか、タッジオに好かれたい、とかそういうことではなく、タッジオそのものになりたいようにも見えました。
タッジオはアッシェンバッハをどう思っていたか分かりませんが、少なくとも存在を認識しているようで、アッシェンバッハとすれ違いざまに視線を合わせてきたり、ちょっと立ち止まってみせたりします。
アッシェンバッハに見せつけるように、ポールをクルクル回りながら歩くタッジオ。
その後、アッシェンバッハもポール回りやりかけてやめたんですよ。
タッジオには似合う行為ですが、いい年したおじさんがそれをしたらみっともないし、変人だと思われてしまいます。
(ただし、通路横に立ち並ぶ小屋の、柱部分だけに触れながら歩く。単なる体調不良で壁づたいに移動しているだけにも見えるけど、柱へのピンポイントタッチ=タッジオの真似に思えた。)

浜辺や地元の人々、タッジオの家族は、アッシェンバッハの挙動不審に気づいていたのでしょうか。
実際あんな人がいたら目立つと思うのですが、本気でスルーしているとしたら、「映画世界のベニスにおいて、アッシェンバッハを気にする人は、ものの見事にいなかった。」と、受け取け取ることにします。
メタ視点だと、演出上の都合、という感があって面白いです。
(舞台劇における、「ステージ上の死体役が歩いて退場しても、物語外の出来事として無視する。」「複数場面を同時進行で演じる場合、スポットライトの当たってないキャラクターが一定の姿勢で固まっていても、別に静止してるとは受け取らない。」などの、お約束みたいで。)

アッシェンバッハは、自分の老いや、醜さを恥じているようでした。(アッシェンバッハは、あの年齢として十分にかっこいいと思う。というか、あの年齢だから余計かっこいい。)

老いる事よりも、無理な若作りする事の方がよっぽど滑稽で醜いものなのかもしれない、と感じました。
原作未読なので、どういう解釈が物語のテーマとして相応しそうかは存じません。


仲間に砂のお城作りを指示するダッジオが、かわいかったです。

なんとか、人工美サイドにも勝ってほしい所です。芸術家がんばれ。いつか、自然美を超えられると信じて努力することで、たとえ超越できなくても、相当に美しいものが出来そうな予感です。

ダッジオの姿かたちは、ただそこにいるだけで「究極の美」という説得力を持つ為、少女に変更する案が却下され、ビョルンが選ばれてよかったです。
照明がダッジオだけに当たっている場面も多いですが、少し視線を外すと、暗闇の中で静止しているホテルマンのシルエットも美しかったりします。

橋を渡るダッジオ一家や、日傘を持って移動する婦人群、華やかな帽子、など何の意味があるかはまるで分からないけれど、印象的、という美しい場面が沢山ありました。
ダッジオの座り方、ポーズ一つをとっても、しっかり監督の指示が行き届いていそうです。
メイキングを見たら、監督の髪の生え際や眉毛、仕草がアッシェンバッハと似ていました。監督は、小説の「文字を読む」のではなく、「イメージを見る派」らしいです。
読んだ側から、情景が映像で浮かぶのでしょうか。
映画作りでも、カメラ位置や人物の立ち位置など、精密にこだわって撮り直してましたし、感性が特殊なのかもしれません。
先ほど、印象的と書いた場面もメイキングに収録されており、何気ない移動行為にまで、明確なヴィジョンを持って撮影していたのだなと感心しました。

ダッジオ抜きで見たら、彼の幼い妹、母親、娼婦も超絶美形でした。

アッシェンバッハと友達音楽家アルフレッドのモデルらしい、作曲家グスタフ・マーラーとアルノルト・シェーンベルクについては、まったく存じ上げません。作中使用されていた楽曲は、マーラーのものだそうです。
今、マーラーのwikipedeiaを見たら、ルックスもアッシェンバッハに似ていました。

【以下、ネタバレあり感想】
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  1. 2011/12/14(水) 20:32:47|
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